↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/64

act10:離別「虚無の底で」

前に早めと言った結果がこれだよ!act10。すみません、書きだめ作って

このお届けとは思わなんだった…完全にネタバレとなる今回、どうか楽しんで

頂けたらと思いつつ。


「今日ゼス君は水浴び抜きっ!!!(びしっ!と指差し」

「それと、こっちにあまり近寄らないと助かる。1日程度じゃ臭わないとは

思うがね(ジト目」

「あえて言わせて貰おう、賛成であるとっ!!(イラッ☆と来るドヤ顔」

お前にそんな権限があんのか。と突っ込みたくなるのを俺は押さえた。てか

1人テンション高いよな。また何かバカそうな毛が立ってるあたり何かしら

受信したのか。俺は肩をすくめて皆の意見を受け止める事にした。


(俺はいいけどな…少しなら慣れてるし)


正直な話、俺はアスカレナ中佐にはすまないと思っていた。あの茶化しも実は

それが最後で、しばらく会えない事になるらしいからだった。あの時容赦なく

返したのはいたずら半分でもあったのでやってしまった感があるな。央都に

戻ったら再度重ねて謝った方がいいか。しかし。


(結構急だよなぁ…何か動いたか?)


昨日、処罰を決めたテルラスクの警備隊がその日の夕刻(俺がセルアの邸が

ある丘でおっさんとなぐり合いを終えた所に出くわす前)、町内の再調査を

していた中佐達に駆け足で会いに来たらしい。どう考えても動かしたヤツは

しぼられてくる。


まずは大佐、正直信用できるものじゃないが次と比べりゃまだマシな方か。

んでもう1つが、ヤロウだ。オレが面合わせたその日に模擬戦で玉けり遊びの

玉にしたアイツな。名前?ニアテルスとかいう単語があったか。他に便所で

やったのも含めて根に持ってるだろうから何かしら中佐にやるとは思う。


あと…もう1人いたか。中佐はお姫さんとは面識ねーみたいだったしよ。まず

ありえないと思うが、軍部まですでに乗っ取ったあのふわふわ女。…言ってて

無いとは思った。数日前にオレと別れて央都に帰って軍部制圧してもメリット

得られそうな事が無いしな。


それでその警備隊の隊長が報告してきたのが、緊急指令なんだそうだ。何でも

現在俺達がいる場所からガブラヌ山脈をまたいだちょうど西側で魔獣共が

大暴れしだしたんだと。あっちの方面だとエピラフの森も広がってるから

その辺の魔物どもも、かんでそうだなあオイ。―商業都市:テルラスク―に

運よく量産型機龍があったおかげであっちへの到着には困らないそうだが。


…本当に運よくかどうかは分からないけどな。ま、それはともかくとして。


ワイヴァーンといやあ、俺の相棒最近乗ってやってないんだった。セルア達が

水浴びから戻ってきたらちょっとのってくるよう進言しとくか。そんな俺は

今は3人が近くの海岸付近で水浴びしている間、機龍や近くに異変がないか

見張ってたりする。数枚の岩を利用し3人と俺自身を隔てさせて、だ。


「ゼスくーん、ちゃんと周囲警戒してるー?」

「問題も異常も無い。あったら知らせるからな」

「うん、もうちょっと頑張ってね。ヒビキちゃんの髪流し終えるのが相当

大変みたいなんだ」

「オッパイコノヤロオッパイコノヤロオッパイコノヤロオッパイコノヤロ…」

「スマナイナ」

「あー、いや。うい、了解した」

「そういうことで、チャッチャとやっちゃうからヒビキちゃんそっち向いて。

うん、ホント綺麗な髪だよねえヒビキちゃん。洗い甲斐あるって言うか…」

「マタ…デカクナッタナ…」

「?何のこと?」

「イヤ…ナンデモ…ナインダ…」

「?はえー」

「オッパイコノヤロオッパイコノヤロオッパイコノヤロオッパイコノヤロ…」


あれがクスプの言ってた女の子会話ってやつか?よく分かんねえなあ。てか、

軍曹の姐さん。さっきからオッパイコノヤロ?としか言ってないが大丈夫か?

しっかりしてもらわねーと後々こえーぞ。ジョーダンなってねえからな。


…1つ思いついた事があるらからせんぱ…隊長に今度言ってみるか。…何か、

未だに慣れてねえんだよなあ。ついこの間まで先輩って呼んでた人が軍の

隊長だぜ?俺、このままどこ行くんだって感じだよなあ。あのお姫さんの

振り回しっぷりはホントとんでもねえよ。


…一応道を見失ったわけじゃないだろう。実際、俺の道のすぐ先にはあいつと

言う―敵:復しゅう相手―がいるわけだしすぐ首をつかめる手前まで来てる。

まってやがれ…なんて考えてると。体全体を大きい布1枚で隠したセルアが

駆けて来た。何だ?と思う俺の目の前へ取っ手の付いた水入りの鍋を勢いよく

突き出してきた。…あぶねーな、おい。


「昼ごはんにそえられる海産物とかお魚さんとか!採れたよ~」

「へえ、―機龍軍高:ティスフィーブル―でも見なかったのがあるのな。てか

俺に作れって話?」

「先に軍曹さんの運転する機龍に置いてきて!今日の昼ごはんはこれだって」

「見張り良いのか?」

「早めに戻ってきて、と言いたいけど…もうすぐ3人とも機龍の方戻るから。

あんまり遅いなら探してくれるでしょ?」

「成程な。んじゃ待ってるぜ」


こいつまた階級にさん付けかよ。隊長いるんだぞ…と内心で苦笑ながら俺は

受け取る。自分がしっかり取っ手を握ったのを確認したセルアはぱたぱたと

岩影の方にかけてった。素足のまんまだったのかよ、ケガとか考えねえのか。

てか、布がすごく湿って体に密着してたのを見ると、まだあいつ自身体を

拭ききらないでこっち来てたよな?風邪ひく心配は…あいつ大体バカだから

いいか。しっかし揺れんなあ。さっきも大きくなったとか隊長あたりとかが

言ってたっけか?


…未だに分かんねぇ。んな脂肪のカタマリみてーのが揺れるのに何の利点が

あんのか?大佐は重力がなんだとかさわり心地がどうとか言ってたが未だに

わかんねぇ。そりゃ背中や腕やらでぶつかった事があるが、何も感じない。

隊長も何かうらやましいとか言ってたし、軍曹の姐さんもさっきもまるで何か

取りつかれたみてーにオッパイコノヤロとかほざいてたが何がいいんだ?


俺は早い所そんな間抜けな思考を放り投げてため息ついた後、試験機の中へ

入って行った。昼飯のあと、隊長に提案いわねーとな。…セルアにも折を見て

いっとかにゃならねえ事もあったし。


*


「君のワイヴァーンで先行してくる、と?」

「悪くないとは思うんですが、どうですかい?」

「ん~!?ふぇふふんほあろもへふぁみひっはふほー!?」

「かんで飲みこんでからもの言え」「よくかんで飲みこんでから言いなさい」

「テルラスク方面の海産物は帝国一ぃいいいいいー!いやぁ、私の故郷とは

大違いなのである…」


それぞれ言いたい事を言いながらセルアがうまく採取した海岸の幸を携帯型の

調理具で料理し、各々がしゃぶる中で。エルゼスは先程思いついた提案を

ヒビキに伝えた。アスカレナが急な用事で出向いた帝国大陸の北西。調査の

監視からその指令に急きょ変更されたことから見て、調査隊として来た自分達

特務隊もこの北東の方でいつまでもうろついていいわけではないだろう。

幸い、証拠となる類のものは既にある程度そろっているので、速やかにこの

調査を終え、―要塞都市:イアシェ―以外に点在する他の村落や駐軍拠点は

ただ見て回るのも選択として出てきている。


しかし、余り調査をおこたるような真似は不誠実だろう。それに、この4人は

支援者としてネーペルリアとレイアもまだ合流していない。それに加えて

アスカレナは案外簡単にこの北東へ帰還してくるかもしれないと言う事実も

含まれていた。アスカレナも急きょ入った指令を聞いていたが余裕顔で肩を

軽くすくめていた。恐らく彼女の手にかかれば、簡単に終わる事件のようで


『何、すぐに戻る。運良ければイアシェの方でまた会おう』


そう自信ありげにアスカレナは4人に言い残し、上層部へ支給がされていない

通常の量産型機龍に乗りテルラスクを飛び立って行った。あの速さなら半日と

かからず、山脈を越えて現場へ着く事だろう。もしかしたら、そこで展開中の

軍と既に合流しているかもしれない。そう考えると、分担してそれぞれが

調査に向かうのはいい話かもしれなかった。エルゼスがこれからエクスドで

向かうのは残り2つの村落。ヒビキ達は一足先に


「大丈夫なのか?」

「確かにオレ1人…てのはちょいと問題起こしそうで心配ですかい?言った

手前で自分も不安ではあるんスけど」

「不安ではあるな。ここまで調査には努めてきていたようだが。少なくとも

セルアを連れていくべきか?」

「ん、いいの?ヒビキちゃん」

「確かに私が行ってもいいんだが…」

そこでヒビキはエルゼスとセルアの2人を交互に見てニッコリと作ったような

笑顔を浮かべる。エルゼスはセルアが視線をこちらに向けたのを感じながら

ヒビキを見た。恐らく最近妙にギスギスしている2人の仲をこの1つ年が上の

少女は思っているから言った言葉なのだろう。あえてエルゼスはそんな彼女の

言葉に乗った。


「了解、連れて行きやすな」

「え、え?」

「よし、ではこの食事よりしばらく経ったら2人は」

「え、決定事項~!?」

「時代は言ったのだな、かわいいは正義と!」

最後にわけのわからない事を唐突にベルクが言ったのを合図にセルアを残し

誰もが食事の席を立った。ハンガーへ向かうエルゼスへまるで犬のように

後ろでまとめた髪と少女にしては大きな果実のように育った胸の両方を

揺らしながらセルアは付いていく。2人を出迎えたのは


ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


まるで―叱責:しっせき―のようなエクスドの咆哮だった。


「おーっとと」「わわわーわー!」

「怒ってんのか?」


ガアアアアアアアアファァアアグゥウウウルルルルルル…


当たり前だとでも言う様にエルゼスにむけてあんぐりと口を開けた顔ごと

エクスドは向けて来た。

「」

「悪かった、悪かったっての。この通りだから、な?」


腰を折り、頭の前で両手を合わせ、エルゼスは謝る。しばらくエクスドは

うなっていたが、諦めたのかすねたのか


プイ


そんな音がするようにそっぽを向いた。エルゼスとセルアは顔を見合わせる。

そんな2人を


ひょい


「お?」「わわわ!?」


文字通り自分の背中にエクスドは2人を投げ乗せた。ストンと複雑な表情で

互いの顔を見合わせた2人にハンガーの通信機器から声が聞こえてくる。


『あーい、しーきゅーしーきゅー本日は晴天なりー。2人とも、坊ちゃんに

乗ったかい?』

ベルクの言う坊ちゃんと言うのは恐らくエクスドの事だろう。エルゼスは

背中越しにセルアを見る。ギュっとエルゼスの腹筋の前で両手を握った

セルアはエルゼスの目を見てしっかりとうなずいた。背中で感じる彼女の

胸の大きさを察するに、どうやら更に大きくなってるのは本当らしい。

そう思いながらエルゼスは聞こえてきた通信の方へ声を上げる。

「何とか問題なさそうだ。出発の準備は皆できてるぞ」


『あいよ、準備よさそうだね。それじゃ、いってらっしゃーい!』


ベルクの声と共にエクスドが入ったハンガーの前方がパカッとあいた。

エルゼスがエクスドの首から魔力で形成した綱をパチンと鳴らすと。


エクスドは2人を乗せて大空へ飛び立った。


*


「のう、セヴァルや」

「はっ、エアリシド陛下」

「妾に仕えてからお主は何年になるかのう」

「関係ありましょうか」

「な?」

「自分は過去・現在も、そしてこれからも永遠にエアリシド女王陛下の為に

あります」

何故、そのような顔をしなさった。【私】には最早どうしようも無かった。

愛すべきものがそう長くないと知り、私はもうあなた以外に将来の生きがいを

見出す事は出来なかった。


エアリシド陛下の智をもってしても、黒滅の秘薬は見つからなかった。唯一の

手掛かりであるエッチェンバルグがアナファルジャにいる。私は一るの望みを

持ってその者達を帝国に引き入れた。向こうもそれを快く受け入れ、姫様も

「つまらんのぉ」等と皮肉をいいながら私の望みを後押しして下さった。


しかし、しかしだ。手にする事は出来なかった。秘薬は全て破壊されていた。

最後のあてであるエッチェンバルグ家がそう言ったのだ、


何者かの手により秘薬が破壊されたと。


何て事だ。たった1人の思い人すら救えないのか、私は。最早、私の妻は

セルアを出産した。可愛い私の妻と顔の形がもう似かよっていたが、それを

喜んでいる余裕すら…最早無い。私には道が1つしかなかった


愛しき人がもう長くないと知ったその時から私の夢はもう音を立てて崩れた。

無理してでも生むと決めた娘にも最早合わす顔は無い。むしろ、娘と出会う

その頃には私は陛下の魔力でおかしくなっているだろうし会って欲しいとは

思えない…だから、それは【私】とよべていた自分自身の魂を砕く、1番の

機会だったと言える。


…



…時は流れる



…


「使いの人が来てた時点で分かってはいたけど…あなたの愛した人が生んだ

ものが生きてたって言うのに…!それすら―」

「生きていた?知らん。どうでもいいからこの町の支配人及び各開発方面の

責任者を出せ」

「あなたが見捨てた妻であり、あたしの母であるお母さんが治めていた、

そしてあなたの娘であるあたしの街だよ。…あたしが今この町の責任者、

こんな他でもない自分が見捨てた町に何しに来たって言うの!」

「娘?母?見すてた?何を言っている。そんなモノは記憶していない」

「記憶していない!?まるでただのデクね!頭でもおかしくなったの!?」

「どうでもいい。指示を伝える。今回受けた自分の役目はそれだけだ。…仮に

自分がおかしかろうがなんだろうがデクだろうがそんな事はどうでもいい」


「何だ、お前か」

「死ネ、死ンデオ前ガ見ステタ天ニイル母サンニジゴクカラ謝レ!!!」


…………何故、憶えていた?憶えておく必要のないものを


…夢でも見ていたか。夢など知った事ではない。それよりも


「おはようございます、エアリシド陛下」

「うむ。早い目ざめのようじゃの、セヴァルや」

「本来なら寝る必要性すら感じられなくあります」

「…」


自分は主である陛下と言葉をかわした。そして不可解に思う。最近になって

陛下は自分の言葉で顔をくもらせるようになった。何を考えているか?それは

感情で伝わってくる。悲哀だ。だからと言って自分がどうできる程自分は

万能ではない。それも相手が陛下では恐れ多いことでもある。そう考えた

自分に陛下が話しかけて下さった。


「のう、セヴァルよ」

「はい、いかがしましたか陛下」

「お主を…―妾:わらわ―の従者から外すと言ったらどうする?」


「ありえない。それなら死ねとあなたは自分に言うのですか。死にますが」


バカな。今更何を言っているんだ。自分にはあなた以外もう何も無い。それを

分かっての冗談なのか?


「…そうじゃったな、忘れろ。そして…忘れるよう寝ろ」

「いえ、自分にはすべき事がまだ―」


ギロリッ!!!!!!!!!!


反論を自分が言いかけた瞬間、陛下はまるで悪鬼の如き怒気をはらんだ目で

自分をにらんで来た。何故だ…

「主の体がもうガタついておるのが分かっとるじゃろう!1日くらい休め、

主は休みも無く働いておると聞いたぞ!」

「関係ありません、自分はただ―」


なおも反論する自分の顔を陛下の手がおおう。どうやら―魔術:実力行使―で

意地でも自分を動かせたくないらしい…何故だ。何故、ナゼ、NAZE…


「ええい、この手がかかる従者め!主は、寝ろ!!主人命令だ!」


これ以上繰り返す間もなく自分はまた暗闇へ意識を閉ざしていく…


―act11へ続く―


本当に今回はお待たせして済みませんでした。やっぱりフラグは追って進めと

ガイアから学習してきた次第です(何


次回、実は意外な展開になるか?と思いつつ…5日以内には投稿予定です。

大丈夫かとも思いますが頑張ります。お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。