第38話 胸の違和感 恋と雲 恋の雲
「・・ねぇ 飛鳥ァ」
休み時間 不安になった私はすぐに飛鳥の元へ行く。
「ん、何?」
「明日のお祭りなんだけど・・・」
「あー どうかした?」
「本当に 2人で行くの?」
「・・・は?」
わかってるよ 私から言ったんだから・・・こんなの私が聞くのおかしいよねぇ
でも・・・
「だって飛鳥・・・あれからずっと機嫌悪いっぽいんだもん・・・」
わかっちゃうんだよ
隠してるつもりかもしれないけど どこか機嫌悪げ・・・。
「・・・急に何言い出すかと思ったら・・・疲れてるだけ。燐のせいじゃないよ」
そう言って飛鳥は微笑んだ。
「・・・本当に?」
じっと飛鳥の目を見る。
「本当だよ?ゴメン・・・顔に出てたか」
「・・・なら よかったけど・・・」
変わってないとかいったのは私。
だけど やっぱり何か変わってしまった。
飛鳥は今までよりやさしい。
いいことだし・・・嬉しいけど
なんか・・・変。
胸の奥に違和感が生まれてる。
いっそのこと・・・
指を入れて えぐりとってしまいたい
恋ってなんだか 難しい。
もやもやして 雲みたい
見た感じはふわふわして やわらかそうで 触れてみたくて 楽しそうで。
だけど実際は
ハッキリした形のない
ふわふわというより ぼやけた感じ・・・
どうすればいいのか わからない
『こうしたい』と願うのに
そうする方法を私は知らないの。
結局 曖昧なまま 私はお祭りの日を迎えた。
やっぱりなんだか胸の奥に違和感があって
なんだか もどかしかった。
「飛鳥!」
待ち合わせのお店の前で飛鳥を見つけて声をかける。
振り返った飛鳥は なんだかご機嫌で 楽しそうで
私に気づくとにっこりと笑った。
それがなんだか嬉しくて
違和感の雲は 風で流された。