表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
三章.雪月花の勇者御一行、異世界体験!
53/110

50.かわいそうだね、魔王さん。

所変わって、魔王城。そこで魔王率いる愉快な魔族の仲間たち(小規模)は…………


「魔王様~お茶が入りました~」

「おぉありがとうディアブロ。あ、そこ置いといて」


命を狙われていることなどつゆ知らず、優雅な午後のティータイムが行われていた。かんぱい。あ、ナレーションは私ストロンガーでお送りしております☆


「了解です。…………ところで、何をされていらっしゃるのです?」

「え?あぁ、街の主婦から要望があった汚れがよく落ちる洗剤の開発」


そう、洗剤作り。


説明しよう!この魔王は周辺の街人の身を案じ洗剤とか殺虫剤とか風邪薬とかを開発しているとても善良な魔王なのだ!やはり説明パートは私の十八番だけあって上手く差し込めたね、うん。今後もちょくちょく便利屋一行に解説(横槍)入れようかな。


まぁそれはともかく。このまったりとした、つかの間の平穏はまだ保たれている。


「……せんざいつくる、まおーさま………ぶふ」

「おいフェル今笑わなかったか!?」

「…………きのせい、きのせい」

「最近私のことを『カオウ』って呼ぶ人も増えてきたんだよなぁ……魔王だっつの」


カオウ。そう、花【自重】アタ【更に自重】


「まおーさまにぴったりじゃん……よかったね…………ぶふ」

「また笑ったよねお前!?」


そしてここで、事態は急展開を迎える。


「全くもうフェルったら…………まぁ、こうして平和なのはいい事ですけどね」


一本。


「全くだな。無駄な争いなど無意味だ」


二本。


「…………フェルは、つまんない。…………なんかここらで、そうどうとかおき」


三本立てた所で、同時。


「覚悟ーッ!!!!!」

「きゃぁぁぁ!?ちょっ、ドアがぁっ!?」


加熱したお膳立て(フラグ乱立)は、危険な領域(フラグ回収)へと突入する…………!!


「ちょっと、このドア高いんですよ!どうしてくれるんですか!?いくら蘇生魔法でも何度もかけると品質低下起きますよっ!?」

「そこ!?いやそれより、だいぶヤバい気がするんだがこれ!?なんか殺意に塗れた少女がドア斬って来たぞ!?ちょっとフェル、どうすんの!?」

「…………これはこれで、おもしろいから、がんばれ♡」

「お前それでも側近かっ!?」

「あんたが、魔王ね?…………魔王は打ち滅ぼされるべき存在。さぁ、あんたの罪の数を数えなさい。数え終わる頃には冥府に送ってあげる」


違うんです、私は主婦に『魔王のおじ様』とか『洗剤メーカー』とか『カオウ』とか呼ばれるレベルの善良な魔王なんです…………。という心の叫び虚しく、届かず。いや口に出せば伝わるかもしれないが、焦ってその発想に至れない魔王。そこに、この魔王が花〇たる所以がある。


「あ、あのあの、違うんです…………私達、ここで暮らしてるだけのただの魔王様と悪魔っていうか…………」

「よし、斬る」

「無理だよフェル!これ説得出来ないよ!何とかして!!」

「えっ…………フェル、こどもだから、せっとくとか、わかんなぁい」

「あんた齢500年くらいでしょうがこんのロリババア!クソ妹!」

「ゴチャゴチャ言ってる余裕はあるようね。じゃあ…………叩き斬ってあげる」

「ひぃぃぃぃぃぃ!!」


二人とも腐っても魔王と悪魔。しかし揃いも揃って人間の女の子に剣を向けられるだけで悲鳴をあげる。それでいいのか魔族、と思いたくもなるが…………


…………だが、それでも時間だけは稼げた。


剣先が魔王の肌に触れ、ツーと血が流れた、その瞬間。


「たのもーっ!!」

「はなちゃん止まれー!ちょままちょまままってちょっとだよっ!!」

「あぁぁぁドアが最早原型をとどめてないぃぃぃ!!」


抑止力(ストッパー)の登場である……………………!


あ、ストロンガー休憩入りまーす。あとはレイ君、よろしく!

























なんか誰かからバトンを受け取ったような受け取ってないような…………あ、どうも。レイです。…………え?何やってるのかって?そりゃあ勿論…………


「突っ込め突っ込めー!」

「あっいやちょっ、ライカちゃん!?ハナちゃん止めるのが目的だから、轢くのが目的じゃないから!!」


最近多い交通事故(とらっか闖入)ですよっ!!


本当に六花速すぎだろ、とらっかでも遂に追いつくことは叶わなかったぞ…………これがチートと言うやつか…………。


「ちょっ、はぁ!?あんた達何やってんの!?」

「それはこっちのセリフだよ~!何魔王さん殺そうとしてるのさぁ!キャー、まおうごろしよーっ!!ってやつじゃ~ん」


かたや剣の切っ先を魔王に向け威圧感を放つ六花。……そしてかたや、とらっかに乗ってドアを突き破って荷台から説得を試みる口調がゆるゆるのクッキー…………うーん、この差。


「だ、だって…………魔王と言えば諸悪の根源じゃないの」

「魔王が?」

「諸悪の根源??」


疑問の声をあげるリヴィとライカの二人。そして次の瞬間には…………


「魔王が諸悪の根源って~!この魔王に限ってありえないわよ、だってメルヘンなポエムを書き綴っちゃうような人なのよ!?虫も殺せないのよ!?怖いから!」

「ですよぉ!この前なんか野良猫にエサやっててすっごく微笑ましかったんですから!」

「君達なんでそんなこと知ってるのかねぇ!?あっやば動くと剣先がガリガリいきそう」

「え、今の話ガチだったんですか魔王様」

「……めるへなーしんぞうよわよわあいびょーかまおーさま……りゃくしてめしあさま」

「救世主!?」


魔王何やってんの…………。この世界、本当にこういう所は平和だよなぁ…………なんか七賢者とかいるけど。


「えっ…………じゃ、じゃあ、勘違い?」

「だよ~」

「だな」

「だね」

「そうよ」

「です」


そして、場に沈黙が落ちる。


ガタと言う音を立て剣も床に落ちる。


「大丈夫ですか魔王様!?」

「あ、あ~…………心臓止まるかと思った」

「だいじょうぶですか(わら)まおーさま」

「今嘲笑しなかったかなぁフェル!?」

「勘違いで人…………いや魔王を殺しかけるとか…………は、恥ずかしい……」


勘違いのレベルが高すぎる…………確認取ろうよ、六花さん……。


…………まぁ、何事もなくて良かった…………。


























「アイスティー入ったよー。はい、どうぞ」

「ありがとうですぶろりん!」

「…………すいみんやく、いれておいたぞ…………☆」

「えっちょっ、はぁっ!?」

「嘘つくなよフェル」

「ちぇー、ばれた…………」


なんだか得体の知れない汚さを感じるんだが、何でだろう…………?まぁ、いいか…………いいのか?


「話してみると結構いい人達ね。なんでホント話聞かないで飛び出したりしたんだろあたしったら…………」

「…………きにするな、びーまいなす。みずにながしつつこんごもこれをねたにして、あおるから」

「…………あんたいい性格してるわよね…………あと誰の何がBマイナスだって?是非とも教えて欲しいわね♥」

「ぇ…………ご、ごめんなさい。しーは、あるのでは…………」


クッキーはすぐだったけど、六花も魔王城の面々と打ち解けられて良かった。…………なんか、フェルが調子乗ってるけど…………煽んなって。


「ところでさ、二人はこの世界を観光してるんだよね」

「そうそーう。おすすめスポットとかある~?」

「そうねー………あ、あそこはどう?最近できた観光スポットなんだけど、面白くてオススメだよ」


ほう、最近できた施設。ってことは俺が行ったことない場所か。六花達ついでに自分も街のことを知れるし、ウィンウィンだな。


「トゥットファーレのみんなは知ってる場所だよ~」

「えっ?わたし達が知ってる場所?」


ルミネが疑問の声を零す。…………最近できて、なおかつ俺達がその存在を知っている…………?って、まさか!?


()()()()()、最近観光が熱いんだって」


俺達が造った場所だったー!?

ちまちま書いてきたこの小説も、気づけば番外編を除いて50話達成しました。飽きっぽい私が今まで続けられたのも、応援してくださった読者のみなさんのお陰です。ありがとうございます。これからもまだまだぐだぐだとしたトゥットファーレの冒険譚は続いて行きますよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ