51.ファントム・アンド・パセリタウン
「それではお待たせしました!パセリによるパセリとパセリ以外のためのアトラクション、『ジェット・ストリーム・コースター』発進でーす!」
「きゃっほ~!いけいけ~!ぶんちきぶんちき、ぱっぱ~!!」
「い……いや……死にたくない‥‥‥‥誰か、助け」
「逝ってらっしゃ~い♥」
「いえ~!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ジェットコースター楽しそーですね!」
「いやこれ、それで片付けていいのか……?」
現在地、パセリの街。ルミネが錬金術で創り出した文字通り魔法の街。自分達で造った街だ、当然構造やあるものは全部知っているはず…………なんだけど。
……そこには、何故か見覚えのないジェットコースターが鎮座していた。ちなみに、ガイドの人はもう何となく分かると思うけどナナさんだった。
「ねぇ、わたしあんなの造った記憶ないんだけど」
「同感ね。私もあんなのがあったとは記憶してないわ」
「ちょっと行かない間に何があったんだこの街…………」
「あ、キミ達来てたパセか!久しぶりパセ!」
そう言って駆け寄って来るは、ミジンギさん。俺達の所に着くと、上機嫌な様子でぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「見たパセか!?ジェットコースターパセよ!集客効果抜群パセ!ふふふん!」
「いや、ジェットコースターなのは分かるんですけど…………どうしたんですか、あれ」
「いやー、最近幻霊がいっぱい湧いてるからそれを魔力源にして魔力稼働式マシンを作ってみたんパセよ。機械いじりが趣味なもんでパセ」
意外な趣味、発覚…………ミジンギさんが機械いじりをしている画が頭の中に微塵も浮かばない。あ、これギャグじゃないよ?
…………まぁそれはそれとして、気になるワードがあったよな、さっきの会話。そう、それは…………
「そういえば、幻霊ってなんなんですか?俺、知らなくて」
幻霊だ。この世界に来て、幽霊とかゴーストとかには会ったけど…………いや俺自身がそうだけども。とにかく。幻霊ってのは幽霊やなんやとは違うのかな?
「あー、幻霊ってのは一言で言うと『実態を持たない魔力から生まれマナからなる生命体』パセ。ゴーストなんかとは出自の違いから区別されるパせね」
…………また新しいワードが出てきたぞ。マナ?それってあれか、カードゲームとかで使う…………
「何考えてるのかわかんないけど、多分違うよ」
「です。マナってのはあれですね、高次の魔力の渦巻きというか源というか…………まぁ、精霊種とかが使うような高度な魔法の源流ですね」
「なるほど、分からん!」
あはは、自慢じゃないが俺の学校での成績はオール3(のマイナスあたり)!そんな高度な話されても理解が追いつきません!…………自分で言ってて悲しくなってきた、自虐は控えよう…………。
「…………まぁ、身体の作りからしてつよいってことね。うん」
「アバウトだなぁ」
…………まぁ、なんか強そうなやつと認識しておけばいいのか?
「でも弱いから捕まえて動力源に出来るパセ。実際あの中には幻霊てんこ盛りパセ」
「前提が根底から覆されたんですが」
強いのに弱い…………?もはや何も分からない…………。
「うーん、どう説明すればいいのかな…………高次の魔力って言っても、質は大分異なるというか…………高濃度高純度の魔力から生まれた幻霊は強いよ。ただ、強力な魔力の流れがあってもそれを身体に取り込めるかは差が大きいから…………強力な魔力の中から生まれたやつで千体に一体くらいが異次元クラスに強くなる、みたいな感じだね」
「よーするに、たまにヤバいやつがいるけど普段はそんな気にしなくていいって事です!魔力のブースターとかには欠かせないんですよ、幻霊さん!」
…………ふむ。じゃあ、現状あまり気にする必要がないのか…………たまに害に転じる基本は益獣みたいな感じか。なるほど。
「で、その幻霊がいっぱい湧いてるんですよね」
「パセ。これほどいっぱい幻霊を見たのは初めてパセね」
「確かに外にもいっぱいいますもんね、幻霊…………。わたしも最近よく見かけます」
「え、そんなのいたのか?」
「幻霊は気配を消し去る隠密魔法を得意とする種族だから、注意を凝らさないと見つからないわよ」
「まぁ注意してもレイさんの貧弱な魔力では感知できませんよぷくすー」
「後で羽毛布団作るから部屋来い、ライカ」
「天使の羽を毟る気ですかっ!?やっ、やですよ!!」
そう言って俺とライカが取っ組み合いのケンカをしていると、ミジンギさんからの一言。
「うーん、大量発生の原因、やっぱり魔力の奔流が原因パセかねぇ…………どっかで大規模な術式が組まれたとか」
「あー、確かにそうかもしれないわね」
「魔力の奔流…………ライカちゃんが魔力暴走させてポンポン爆発してるからじゃ、ないよね」
「えっ」
「…………お、お前…………」
取っ組み合いは一時ストップ、真っ赤な顔は一気に真っ青。ライカ…………つ、遂に…………豚箱…………?
「それはないパせねー。天使クラスの魔力って別格だからそもそもそんなので身体構成したら焼き切れるパセ。そんなのがうじゃうじゃいたらこの世の終わりパセよ」
「あっ…………そ、そうですよ!天使の魔力からは幻霊出来ないんですよ!知ってましたとも、ええ!」
((((絶対嘘だ))))
この場にいる四人の気持ちが、一つになった瞬間だった…………。
まぁ、実際に前科持ちになったら店にも悪評が付くだろうし良かった良かった。
「あ~、た~のしかった!お肌スベスベになった気がする~。ドーパミンドーパミン」
「し、死ぬ…………くらくらすりゅ…………う、うえぇ」
そんな雑談をしている間に、六花とクッキーが帰還。六花、絶叫系苦手だったんだな…………お、お疲れ様です。
(そのまま事故を装ってしずくんに抱きついちゃえばいいじゃ~んほらほら)
「は、はぁ!?きいろ、何言って…………うぷ、だ、だめだ」
クッキーが何を言ってたのかは全然聞こえなかったけれど、本格的にあれは駄目そうな気がする。車に乗ったあとのライカと同じだ。とりあえず、対処しなきゃ!
「大丈夫か?とりあえず落ち着け。な?」
「あ、ありがと………………玲」
「エチケット袋もありますよ!見られたくなかったら天使特製視覚遮断結界も貼ってあげますので!」
「ライカもありがと…………でも、もう大丈夫。落ち着いたわ」
「…………むぅ」
「どうしたのルミネ?不機嫌な顔して。生理?」
「…………別に」
「っていうかキミにはデリカシーってものがないのパセ……?女の子同士でもそれ聞くのはどうかと思うパセよ」
「照れるわね」
「褒めてないパセ」
…………何故六花を気遣っただけで、ルミネが不機嫌になるんだろう…………。全く持って、分からん。
「っていうか次はどこ行く~?はなちゃん」
「そうね…………そろそろお昼時だし、ご飯食べに行きたいかしら」
「!なら!」
「あそこね」
「あそこだな」
「あそこだね」
ご飯を食べに行く、という言葉に反応し、俺達便利屋メンバーは一斉に同じ場所を思い浮かべる。……俺達にとって、飲食店と言ったらあそこだよな!次の目的地は…………
「「「「喫茶店『エルマーナ』!」」」」
「ふぁ~…………やっとシフト終わりましたぁ~…………」
「お疲れパセ」
「ふふ、ありがとうございます!じゃあ、ご褒美としてぱんつ…………」
「発言撤回パセ」
「がーん!…………まぁ、マスターが嫌なら仕方ないです。幻霊でも狩って気をまぎらわせます…………っていうか本当に幻霊多いですね」
「そうパせねー。…………ぁ、そういえばおそらくの原因の話し忘れたパセ」
「そうなんですか。でも、あれですよね?魔力の大規模な奔流と来たら、上位魔術を無理矢理行使したとか。例えば…………」
「天界を介さない異世界からの人の召喚とか」




