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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
二章.建築業者系アルケミスト、始めました
44/110

41.帰ってきた日常を、これからも

「や………」

「やっ……」

「「「「「「「「やったぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」


ルミネとシフォンちゃんの全身全霊を込めた一撃は見事ベノムを穿ち、奴は爆発四散した!邪悪な魔力も完全に感じられなくなり、周囲に満ちていた瘴気は段々と晴れていく。俺達……紆余曲折あったけど、何とか勝てたんだ!


「やったぁ……ぐすっ、みんな無事で良かった、本当に……。すーちゃん、助けに来てくれてありがとうぅ~……うぇぇぇ……」

「約束したじゃない、必ず助けに行くって。それと……しーちゃん、よく頑張ったね。お疲れ様」

「!!…………それは、ずるいよぉ……涙止まらなくなっちゃうよぉ……ひっく、ひっく……うわぁぁぁぁぁぁん!!」

「よーしよし、よく頑張ったね。親友として鼻が高いよ」


緊張の糸が一気に切れたのか、シフォンは涙を流す。それは、先程までのような悲痛で痛々しい涙ではなく、達成感と安堵に満ち溢れた清々しい涙だった。


「……ようじょ×ようじょ……ふむ……わるくない」

「フェルちゃんも幼女みたいなものなんじゃ……」

「……わたしはさんびゃくねんはいきてるから。だてに、あくまやってない」

「なるほど!つまりフェルちゃんはロリババアってことです――」

「だまれとしまてんし。きさまもごひゃくねんくらいはいきてる、だろうが……!」

「お前の方がババアじゃねーか」

「ババアって言うなですー!私は超絶美少女天使ですー!!」


こうした何気ないいつものぐだぐだしたやり取りも、戦闘が終わったという安堵感を加速させる。本当に勝てたんだな、俺達……。


「……まぁなにはともあれ、あざとようじょがぶじでよかった」

「ふぇぇぇぇぇぇ~……フェルちゃんも助けに来てくれてありがとうぅぅぅぅぅぅ~」

「……きにするな。あ、それと……」


それと、何だろう?……何やら俺の勘が、不穏な空気を察知しているのだが……。


「…………潜伏戦(かくれんぼ)

「…………え?」

潜伏戦(かくれんぼ)、わたしのかち。ふふふ……さいごまでかくれておくんだったな、あざとようじょ……!」

「…………あっ」

「「「「「「「……えぇ……」」」」」」」


お、大人気ない!これは酷い!


「ふふふ、これでまたわたしがかちをつみあげてしまった……へっへっへ」


悪い顔してるなぁ、フェル……。


フェルとシフォンちゃん以外の全員が、困惑した様子で吐息を漏らす。なんかこう、ちょっとボス倒して感動って感じだったのに、何でこう台無しにしちゃうのかねぇ……。ま、それが俺達らしくもあるけどね。


「ううう~……悔しい悔しい悔しい!そういえばかくれんぼだったよ、これ!あー、もう!あの怪物さん地獄に落ちてくれないかなぁ!?死ぬだけじゃない追加のせーさいをよーきゅーするよ!」

「しーちゃん、怖い怖い」


シフォンちゃんも肝が据わってるな!ここの幼女はキワモノしかいないのか、おい!


「……それより、マジックアイテムはどうなったんだ……?」

「あっそうだよ、マジックアイテム!すっかり忘れてたわ!ハルバさん、思い出させてくれてありがとうございます!」

「忘れる方がおかしいんだけどな」


ごもっとも。


「マジックアイテムは~…………あ!ありました!」


そう言って、ライカは封印の台座から二つに割れた石を取り出す。以前まで紫色だった石は、ベノムの封印が解け倒されたからなのか美しい瑠璃色になっていた。


「割れちゃってますけど問題なく使えると思います!寧ろ二箇所で使う予定だったんで好都合です!」

「じゃあ、これで……」

「うん。公園も街も、造れるよ」

「これでほぼ依頼達成だな」

「……良かった……本当に良かった……」

「あっハルバさん泣いてます!そんなに私達の活躍に感動しちゃいましたか!?」

「いや、あんなクソみたいな戦い方してたのに誰も死なないで良かったなと……」

「酷いですっ!?」


何はともあれ、当初の目的はほぼ全て達成。いや、本当にハルバさんの言う通りだ。誰も死ななくて良かった……。……でも、俺全く役に立ってなかったからなぁ……。鍛えないとな……。


「……それじゃ、そろそろ帰ろっか……ってストロンゲストちゃんとシフォンちゃんがいない!?」

「……やつらは『魔王ちゃんの様子見に行こうキャッキャッ』っていって転移魔法(ワープ)できえたぞ」

「……魔王ちゃん……」


ロリっ娘にもちゃん付けで呼ばれる魔王とは一体……。あの魔王だって威厳ぐらいあるだろ、ほら、ゲームしてたり大会出たり喫茶店で働いてたり……。


……あっ、無いわ。威厳。


「じゃあ、私達も外に出るわよ」

「あいあいさーですー」

「あ、なら見送るよ。ほらフェル、行くよ」

「おけ。()()()()()()()()()()()()おねーちゃん」

「悪意塗れの言葉をどうもありがとう!?よーし、後で説教だからね!!」

「……にーげるんだよー」

「あっちょっこら!待て!!あ、ごめん、勝手に城から出といて!扉解錠しといたから!それじゃあ!」

「……行っちゃったわね」

「……お前達、本当に自由過ぎるだろ……」



すみません、本当にすみません。



























「おかえりパセ!どうだったパセか!?」

「死にかけました」

「し、死にっ!?ま、まあそれは全員帰ってきてるみたいだからいいとして……マジックアイテムは?」

「この通り!ばぼーん!!」


擬音が進化し過ぎだ。なんで じゃーん→ぼかーん→ばぼーんになってんだよ、最早完全に爆発してんじゃねーか!


「おお……!す、凄いパセ!溢れる魔力を感じるパセ!これなら……これなら、きっといけるパセ!!」

「そうよ、私達にかかれば不可能なんてないんだから」

「ありがとうパセ!やっぱりキミ達にお願いして良かったパセ、大好きパセ!」


ここまで喜んで貰えるなら、やった甲斐があったよな。……やっぱり、便利屋っていい職業だな。この笑顔を見ると幸せな気分になれる。


「マスターが喜んでます!そこの雑種、本当によくやってくれました!褒めて遣わす!」

「ナナちゃん、言い方ぁ!!」

「いやもうなんか猫かぶるの疲れました!これから毒舌キャラで売っていきます!」

「開き直ってんじゃねぇパセ!」

「ナナ……お前……」


ナナさんはもう、行き着く所まで来てしまっている気がする……。もう酢豚野郎の一歩手前ぐらいまでゲスさレベルが上がってますよ、ナナさん。


「全くもう……うちのナナちゃんが迷惑かけたパセ。あれでもいい子……いい子……?いい子だと思いたいと願ってるから、許してあげて欲しいパセ」

「なんで素直にいい子って言ってくれないんですか!?もう、マスターの照れ屋さん♥」

「『転送(フォワード)』」

「あーれー!?ま、マスター!?」

「ふー、ふー……。……さぁ、話を続けるパセ!」

「「「「「えぇ……」」」」」


ナナさんはミジンギさんの発動した魔法により、何処か遠くへ転送された……。一瞬転送先の景色が見えたんだが、あれは……いや、止めておこう。SAN値が死ぬ。


「それがあれば、街造れるパセよね?」

「あっ、はい、そうです。わたしの魔法で造れます」

「それじゃあ、早速頼むパセ!ここにパセリ達の楽園を、パセ!」


ミジンギさんはルミネに向けてウィンクをする。ウィンクを受け取ったルミネは、顔を綻ばせて懐から紙を取り出す。


「それじゃあ、やりますね。何回もやるの面倒くさいのでちょっと気合い入れてハルバさんの公園も同時錬成しちゃいます」

「そ、そんなこと出来るのか?」

「はい、頑張れば……ですけど。えへへ。それじゃあ、やりますね!まずは設計図を取り出して……こう!」


そう言って、ルミネは魔法陣を展開する。その魔法陣の中に設計図を突っ込んで、更にルミネは詠唱を続ける。直ぐに地下空間は魔法陣に包まれ、淡い光が視界を満たしていく。


「それじゃあ、行くよ!『大規模錬成・空間創造(クリエイト・ドリーム)』っ!!」


……そして、空間は心地よい空気に包まれ、新たな街と公園が世界に誕生した。





























「ふぅ……今回も無事に終わって良かったね」

「だな」


先程と場所は変わって、ここはトゥットファーレ依頼受付。ネイブの街以来だから、五日ぶり位か。やけに懐かしく感じるのは、気のせいかな。


あの後、ルミネは無事錬成に成功。マジックアイテムでの魔力供給セッティングも完了し、あの建造物を無制限に顕現させていられることになった。


その結果、ハルバさんから家を返してもらい、土地も譲り受けて今ここに至る。あの日無一文で追い出された時はどうなるかと思ったけど、本当に何とかなって良かった……。


「今回は特に疲れたなぁ……家でゆっくり休む暇もなかったし」

「そもそも俺達のものじゃなくなってたもんな」

「あはは、そうだね」


ちなみに、リヴィとライカは夕飯の買い出し中。サフラン買ってこないように再三念押ししたから大丈夫なはず。……はず。


まぁそんな訳で、事件も解決したことだし二人でゆったりとした時間を過ごしている訳だ。もう便利屋も閉めたし、今日はゆっくり休めるぞ。


「今回はルミネ大活躍だったな。あの二人の制御からベノムへの最後の一撃まで……いや、本当に凄かった」

「そ、そんなこと無いよ……最後に決めたのシフォンちゃんだし……。……そ、それに、レイくんだってカッコ……いや、凄かったよ、うん」

「はぁ?俺が凄かった?」


それは無いだろ。最後の猛攻撃の時も俺だけ遠距離狙撃でちまちま削るだけだったし。


「いや、お前らの方が十分凄いよ。俺なんて何の力もなければ勇気なんてもんもないんだぞ?」

「そんなことないよ。今回レイくんわたしのやろうとしてること汲み取って行動してくれたり、皆にツッコミを入れてくれたりして本当に感謝してるんだよ?ありがとね」

「お、おう」


なんか、面と向かってお礼を言われると恥ずかしいな。……顔、赤くなってないよな?


「そんな風に、レイくんだって色々な力を持ってるんだよ。それは、凄いことだよ」

「例えばどんな力を持ってるっていうんだ?」

「えっ、そ、それは…………」

「それは何だって?」

「…………………………………………人を惹き付ける力、とか?」

「え?今なんて?」


めっちゃ小声でボソボソ言うもんだから、全然聞こえなかった。本当になんて言ったんだ?


「…………内緒。それより、足音がするから二人が帰って来たんじゃない?」

「え、マジ?……あ、本当だ、階段登ってきてる」


そして間もなく、ドアが開かれる。そこには…………


「買ってきたですー!」

「特売だったのよ!いっぱい買っちゃったわ!」

「……ちなみに、何を?」


…………………………。


「ふっ、愚問ね」

「教えてあげましょう。それは…………」

「「サフランよ(です)っ!!」」

「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


……便利屋は今日からまた平常運転、営業再開だ!


依頼「W作戦!造れ夢と希望!!(私が名前考えました!えっへん!)」解決!!

これにて二章完結です。来週の月曜からは三章が始まります!三章のタイトルは「雪月花の勇者御一行、異世界体験!」となっております!お楽しみに。

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