プロローグ
神様の気まぐれか、それともただの悪夢か。
西日の差し込む保健室で目覚めた僕たちの世界は、一瞬にしてひっくり返ってしまった。
目の前にいる「自分」が、こちらの顔を見て絶望している。そして、僕が声を発すれば、喉から響くのは聞き慣れない「女の子の声」だった。
「どうして、よりによってコイツと……!」
お互いに対するイメージは「なんかちょっと苦手なタイプ」。
そんな二人が、明日からお互いのフリをして学校生活を送らなければならなくなったのだ。
授業、部活、そして誰にも言えない秘密の共有。
これは、自分の身体を取り戻すための共同戦線であり、同時に、世界で一番不器用な二人の「本当の自分」を見つけるための物語。
カーテンの隙間から差し込む西日が、保健室のベッドを白く照らしていた。
「……あれ、声が、低い?」
体を起こそうとした瞬間、いつもより数センチ高い視界と、胸のあたりの妙な軽さに強烈な違和感を覚える。隣のベッドを見やると、そこには――間違いなく自分であるはずの「女子生徒」が、呆然とこちらの顔(男子生徒の顔)を見つめてフリーズしていた。
「嘘、でしょ……?」
見慣れたはずの保健室の天井が、激変した世界の始まりだった。
読者の皆様、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
本作は、日常のふとした瞬間に潜む「もしも」の物語を形にしたものです。登場人物たちが葛藤しながらも前を向く姿を通して、少しでも皆様の心に寄り添うことができたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。




