人外×メイド②
・主さま、もといトカゲ人間
本名はあるらしいけど、興味ないから普段はトカゲ人間って、心の中では呼んでいる。でも、声に出す時は主さまだよ。嫌々だけどね。
あと、この1ヶ月でトカゲ人間について知ったことはどうやら、私が今いる異世界では結構有名な人外らしい。詳しくは知らないけれど。それと身長が190センチくらいあって毒舌で、小さなことでぐちぐち責められるし説教が長くてうざい。
声は無駄に良い重低音で好きか嫌いかと言われれば、まぁまぁ好きな方かな?でも、性格が最悪だからトカゲ人間自体を好きになることはないね!これは絶対にだよ。
・デュラさん
トカゲ人間に仕える首無し人外の執事さん。
いつも燕尾服を着ていて、たまに厳しい面もあるけどもう、とにかく優しくて一つ一つの所作が丁寧でトカゲ人間とは真逆の人外だよ。大好き!
・メデュー3姉妹
私と同じメイド仲間で蛇の人外。
長女は蛇美さん、次女は蛇奈さん、三女は蛇乃さん。
顔は3体とも同じだけど瞳の色で判別しているの。長女から瞳の色は青色、黄色、赤色、信号機みたい。
3体の性格はとっても明るくて一緒にいると楽しいんだけど、ちょっと個性が強過ぎて大変かな。
・料理長のケットさん
喋ることも出来て、二足歩行も出来る白猫の料理長。マリンブルーの瞳が綺麗なんだぁ。
ケットさんはこの屋敷で唯一、私の癒しかもしれない、だって外見は全く普通の猫と変わらないからね。
爬虫類よりも猫の方が断然、かわいいよ。
* * *
カリカリ、カリカリ。
ある雨の日。現在、夜の11時くらい。
私は屋敷の敷地内にあるメイド専用アパートみたいな場所にいる。
まぁ、簡単に言うと仕事が全て終わり、私は住み込みメイドだから、こうやってアパートの123室に住んでいるんだ。部屋はベッドと机と椅子とシャワールームとクローゼットと言う名の物置しかなくて、かなり味気の無い部屋だね。
そんな部屋で私は何をしていたのかと言うと。この1ヶ月で深く関わってきた人外について自分なりに、なぜかトカゲ人間から貰った可愛らしい手帳にまとめていたんだよ。
本当に、なぜか最近は手帳とか鉛筆とか色々、ファンシーな物が手渡されるの。別に貰っても困るものじゃないから良いんだど。前まではそんなことが無かったから正直、驚いている。
「カナ〜お邪魔するわよ」
うわおっ!この声は蛇奈さん!
ドアをノックして勝手に私の部屋に入ってきたのは、やっぱり蛇奈さんだった。
「ケットがお菓子の試作品を作ったらしくてね」
蛇奈さんは髪の毛がメデューサみたいに無数の蛇で出来ていて目はつり上がっていて、胴体の部分は普通の人間と変わらないんだけど脚がある部分から下は大蛇のようだ。
「ほら、ゴキブが入ったマフィンよ」
「ゴキブって」
「うーん、黒い豆みたいな果実?味は甘酸っぱくて美味しいわ。って、どうしたのその顔」
「いえ、私が元いた世界でゴキブの名前と似たような名前の虫がいたので、てっきりそれかと」
「まさか、ケットがマフィンに虫を入れるわけないじゃない、ふふふ」
蛇奈さんの頭に住む?まぁ、よく分からないけれど、髪の蛇たちも蛇奈さんのように笑っているのか、シャーシャーシャーと鳴いている。
「ねぇ、一緒に食べましょう」
「はい、それではお茶の用意をしますね」
「ありがとう」
急遽、お茶会を開くことになりました。
まずは簡易テーブルを用意して座布団らしい物も用意して、お茶を出して、手渡して、はい完了!
普通の紅茶を一口飲んだ蛇奈さんがほっと一息つきました。それから、私も料理長のケットさんが作ったゴキブ入りのマフィンを食べると、あら意外と美味しい、木苺のマフィンみたいな味がする。
あっ、そう言えば最近トカゲ人間からお菓子をもらうんだよね。しかも、どれも私好みでさ。
「カナ、お茶の淹れ方、上手いわね」
「デュラさんに教わったので。でも、トカゲにん……いえ、主さまにはいつもマズイと言われてて」
「あらら〜」
あれ?なぜか蛇奈さんがニヤニヤしている。
「ねぇねぇ突然だけど最近の主さまって何か変わらなかった?」
「変わるって何がですか?」
「例えば、優しくなったとか」
「あり得ません!そんなこと。いつも、何かを失敗すると、ぐちぐちぐちぐち責められるし、毒舌で説教が長くて」
私はここぞとばかりにトカゲ人間の悪いところを言いまくった。そして、全てを言い切ったところで、お茶を一口。
「でも、最近はなぜかお菓子とか手帳とか鉛筆とか手渡してきたり」
「なるほど、まずは餌付け作戦ね」
どゆこと?
「え〜、てか主さまってかっこ良くない?」
「どこが⁉︎あのトカゲ人間のどこをどう見たら、かっこいいと言えるのですか。蛇奈さん、眼科行きましょう!今すぐ行きましょう!」
「トカゲ人間って、ふふふ。カナは面白いね」
髪の蛇もめっちゃ笑ってるよ。私、面白いことなんて言った覚えはないんだけど。
「主さまってここでは超有名な魔術師でイケメンなのよ」
へー、魔術師だったんだ。あまりトカゲ人間には興味ないからね。確かにトカゲ人間の部屋には大きな壺とか棚には変な薬品があったな。
「じゃぁ、蛇奈さんが主さまのメイドをすれば良いのでは」
「あははは、イケメンだけど性格が無理」
「ですよね〜」
ほら、見ろトカゲ人間!
メイドからも批判されてるよ。でも、屋敷で働く誰も、トカゲ人間のことが嫌いと言うわけじゃない、むしろトカゲ人間ラブなのだ。
なんて言うのか忠誠心が凄いね。
「ねぇ、もっと主さまについて何かないの?ふとした横顔にドキんとするとか」
「ないですね、そんなの」
「即答!はぁ〜主さま、これから大変ね」
ふん!あのトカゲ人間もとい人外にドキんとするとかないわ、マジないわ。すると、ここでまた部屋のドアがノックされた。
そして、またも勝手にドアが開き部屋に入ってきたのは蛇美さんと蛇乃さんだった。
「なに、2人で楽しく女子会してるの!」
「蛇乃もいーれーてっ!ほらケットが作った試作品のマフィンがあるからって、あれ?もう既にある!」
「実は蛇奈さんが持ってきてくれて」
「ずーるーい!蛇乃が一番なのに。いいもん、蛇乃はカナにあーんしてあげるもん」
「それは、私がやるわ!てか誰にもカナは渡さない」
「えっ!ちょっと蛇奈さん⁉︎」
「私をスルーしないで」
「蛇美さん、ごめんなさい」
部屋が一気に騒がしくなった。この後、寮長であり料理長のケットさんに怒られたのは言うまでもない。
この後のお話としては主人公は主さまに好意を寄せられるも気付かず、それどころか、すれ違いのパレードで周りの人外が胃を痛めるようなお話にしようかと考えていましたが、これにて終わりにします。
少しでも読んで下さる方々の暇つぶしにでもなれたら幸いです。
それではこれにて『人外×メイド』のお話と
『夜桜のメモ3』を終了とします。
長らくのお付き合いありがとうございました




