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世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
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第37話 準備と買い物とフィールドテスト

朝――ギルドの談話室は、珍しく活気にあふれていた。


「やった!ついに銀糸の通い衣が買えるね!」

カレンが弾む声でみんなに報告する。

ここ数日、パーティー全員で薬草採りや荷物運び、屋台の手伝いに励み、

今朝もギルド納品分の素材を売却したばかりだ。


「みんなでがんばったから、ついに大台……!」

リシェルが帳簿を見て微笑む。


レイルは財布の中身――3,370ルムを確認する。

「銀糸の通い衣が3,000ルム……しばらくまた節約生活だな。でも、みんなのおかげだ」


「いいんだよ、みんなで力を合わせた成果だから!」

カレンが胸を張り、

「お兄、かっこいい!」とミルが手をぎゅっと握る。


「ぷるるっ!」とモモンも嬉しそうに跳ねる。


 



パーティー全員で仕立て屋へ。

陽気な店主が、丁寧に包まれた“銀糸の通い衣”を誇らしげに差し出す。


「これぞ、銀糸と職人技の結晶さ。普通の防具とは違うよ」

店主は胸を張り、

レイルが腕を通すと、しなやかで冷たい金属の感触が肌を伝う。


「軽いのに、これが本当に金属でできてるのか……」

「キラキラだ!」

ミルが目を輝かせ、カレンも「似合ってる!」と手を叩く。

リシェルは「これで瘴気の森も、もう少し安心だね」と安心したように微笑んだ。


「でも、ほんとに大きな買い物だ……」

財布には320ルムほどしか残らない。


「ここからまた、冒険の始まりだな」

レイルは、少し照れくさそうに決意を新たにする。


「ご褒美スイーツ、今日はがまんしよっか?」

カレンが茶目っ気たっぷりにウィンクし、

リシェルも「食費と薬は計画的にね」と釘を刺す。


「でも、お兄、みんながいればだいじょうぶ!」

ミルが小さく拳を握り、

「ぷるるっ!」とモモンも同意するように跳ねた。


 



ギルドで保存食や傷薬、合図用の銀笛など最低限の消耗品を補充する。


「これ、甘いにおい……」

ミルは保存食をじっと見つめ、

カレンが「明日はパンと干し果物、持ってくるからね!」と張り切っている。


モモンは「ぷしゅっ」とお菓子の包みに興味津々。

レイルの頭に乗って、一口吸収しそうになりみんなに止められた。


 



昼下がり――森影の森、瘴気地帯の入口。


新しい装備を互いに確かめ、お守り石や銀笛を身につけて気持ちを新たにする。

レイルは胸元のポケットに守り石を差し込み、

カレンがそれに気づき、にやっと笑う。


「レイルの守り石、胸に入れてるの? まるで恋文でも隠してるみたい」

イタズラっぽく手を伸ばし、「落とさないでね」と守り石を整える。


リシェルは真剣な顔で「本当に大事な物だから、しっかり身につけて」と念を押し、

自分は腰のベルトに守り石入りの小さなポーチを結ぶ。


「ミルも、ここ!」

ミルはお腹の前につけた小さな巾着を自慢げに見せ、

「ぷるるっ!」とモモンはその巾着の上にちょこんと乗り、みんなを和ませた。


「もしもの時は、この笛を三回。森の中で迷ったら音で合図してね」

リシェルが合図用の銀笛を配ると、みんなが手に取り、顔を見合わせる。

自然と気持ちも引き締まった。


「お守りも合図も、これで万全だね!」

カレンが微笑み、レイルも「よし、いこう」と頷く。


 



森の入口をくぐると、空気はひんやり重く、瘴気の匂いが肌を刺す。

遠くでは、魔物の鳴き声がこだましていた。


「……瘴気、やっぱり濃いな」

レイルがつぶやくと、

「ぷしゅっ」とモモンが一歩前に出て、勇ましく森へ。


リシェルが「ここまではまだ薄いけど、油断しないで」と前に立ち、

カレンは「甘いパンも持ってきたし、休憩もばっちり!」と明るくみんなを励ます。


 


ほどなくして、小型の瘴気リスが茂みから飛び出す。


「来るよ!」とミルが身構える。


「モモン、前! ミル、右から!」

レイルの指示でパーティーが動き、

モモンは迷いなく瘴気リスに体当たり。

《にがい……でも、負けない!》(レイルにだけ伝わる声)

ミルの爪がリスの動きを止める。


戦闘後、モモンは瘴気リスから一部を吸収。

「ぷるる……ぷしゅっ!」と、今までより苦くなさそうな顔をする。


「モモン、瘴気に強くなってきた?」

リシェルが観察し、

レイルも「頼もしくなったな」と目を細めた。


 


煙玉の効果や傷薬の使い心地もテストし、

「装備も作戦も、役に立ったね!」とみんなで確認し合う。


「明日は、いよいよ本番だね」

カレンが少し緊張した声で言い、

リシェルも「大丈夫、みんなでやればきっとできる」と頷く。


 



夕暮れ、森を抜けてギルドへ帰る道すがら、

ふと森の奥で黒い外套の影が揺れる。

レイルは足を止めて振り返るが、影はすぐに消えた。


心の奥に、ほんの小さな不安を残して――

それでも、パーティーは明日に向けて歩き出す。


 



◆懐事情(第37話終了時点)

•前回残金:3,370ルム

•銀糸の通い衣購入:−3,000ルム

•傷薬・保存食など:−50ルム

•小物・合図笛など:−20ルム

•残金:320ルム

•節約モードだが、仲間と新しい装備で前向き!


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