第36話 金策と草影の歩みの日常――笑いと色気と成長と
森影の森からの撤退後、数日。
パーティー「草影の歩み」は、ギルドの掲示板の前で、作戦会議を開いていた。
「銀糸の通い衣まで、あと少し……」
レイルが財布をひっくり返してため息をつくと、
「冒険って、強くなるのも生活も、やっぱり地道な金策が一番だよね」
カレンがスカートの裾をひらりと回しながら明るく言う。
「みんなで頑張れば、きっと集まるよ」
リシェルはレイルの腕に少しもたれかかり、
「たまには可愛い衣装で仕事してみようかな」と小声で冗談を呟く。
「私も受付嬢みたいな服、着てみたいな」
カレンが調子に乗って笑うと、
ミルが「お兄、ミルも手伝う!おいしいもの、食べたいし!」と無邪気に袖を引っ張る。
「なんだかんだで、みんな現実的だな……」
レイルは苦笑いしつつも、仲間たちの明るさに自然と力が抜けていく。
◆
ギルドでサブ依頼のリストを見ながら、
「今日はみんなで一緒に、色んな依頼を回ってみようよ」とリシェルが提案する。
最初は薬草採取。
草むらでミルが元気に飛び回り、リシェルが薬草を選別。
レイルとカレンが重い袋を交代で運ぶ。
モモンは自分の体より大きな薬草を必死に巻きつけて、健気に引きずっている。
「モモンも、お手伝い……できる?」
レイルが声をかけると、モモンは「ぷるるっ!」と跳ねてみせる。
「えらい!その薬草、高く売れるよ!」
カレンがほめると、モモンはぷくっと膨らみ、ミルも「モモン、頼りになるね!」と声をかける。
その時、リシェルが「この辺、空気が重い……瘴気が少しあるかも」と注意するが、
モモンは「ぷしゅ?」と平気そうに草むらを進み、さらに薬草を吸収する。
「モモン、大丈夫か?」
レイルが心配すると、
《ぜんぜんへーき!ちょっとにがいけど、もう慣れてきたよ》
(レイルにだけ聞こえる声)
リシェルは「素材を吸収して、だんだん強くなってるのかも」と感心し、
カレンも「ほんと、不思議なスライムだね」と微笑む。
モモンはちょっと得意げにレイルの足元をぐるぐる回った。
次は商人の荷物運び。
カレンが通りに向かって明るく呼び込みの声を上げ、
リシェルとレイルが台車を押して進む。
ミルは落ちそうになった荷物を慌てて拾い、
モモンも台車の隅で「ぷしゅしゅ」とお手伝い。
そして屋台の手伝い。
カレンが看板娘として呼び込みを担当し、
リシェルとレイルが品出しや会計でサポート。
ミルはレイルの隣にぴったりくっつき、モモンは屋台の端で小さなパフォーマンスを披露する。
リシェルがレイルの手を思わず握り、顔を赤らめて「た、たまたまだから……」と呟くと、
カレンは「今日は売上アップだね!」とウィンク。
ミルは他の女性店員にじっと視線を送って、レイルの袖をきゅっと掴む。
◆
一日の仕事を終え、夜のギルド休憩室へ。
「今日の稼ぎは――280ルム!」
カレンが元気よく報告する。
「これで目標まで、あと70ルム。ついに銀糸の通い衣が手に入るね!」
リシェルが財布の残高をしっかり確認する。
「消耗品も多めに買えそうだし、少しは余裕ができるかな」
カレンがウィンクし、
レイルは「みんな、よく頑張ったな……」としみじみ呟いた。
その夜、ギルド裏の路地で、黒い外套の影が一瞬月明かりに浮かび、すぐ消えた。
誰も気づかぬまま、静かな夜が更けていった――。
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◆懐事情(第36話終了時点)
•前回所持金:2,550ルム
•サブ依頼報酬:+280ルム
•食費・宿代・小物購入:−60ルム
•残金:2,770ルム
•銀糸の通い衣まで、あと70ルム!
•消耗品購入にも余裕が生まれた




