表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
40/53

第34話 森の奥、忍び寄る影――届かぬ憧れと警鐘

リュードの朝。

薬草採取の高評価が伝わり、ギルドでレイルたちの名前も小さく話題になっていた。


「おはようございます、レイルさん。森の奥でまた異変が起きているんです」

サリナとカティアが深刻な面持ちで話しかけてくる。


「家畜や物資がやられて、住民も怯えていて……パーティーに“調査”をお願いできませんか?」


「もちろん、やらせてください」



◆ギルドでパーティー名登録


依頼票の手続きを済ませると、サリナが少し微笑みながら声をかけてくる。


「そういえば皆さん――

最近ずっと同じメンバーで依頼を受けてますよね?

この街のギルド規定に沿って、“パーティー登録”をされては?」


カティアも「パーティー名があると依頼や報酬も有利ですし、

ギルド内での信頼も上がります」と背中を押す。


レイルは仲間たちと顔を見合わせる。


「目立つのはちょっと……」

「静かなのがいい」

「ぷるっ」(モモン)


何案か出し合い、最終的にレイルが呟いた。


「……草影の歩み、かな。俺たちらしいし」

全員がほっとしたようにうなずく。


「“草影の歩み”ですね。いい名前です」

サリナがパーティー名を登録する。

ギルドの札に控えめにその名が刻まれた。



◆鍛冶屋で“銀糸の通い衣”


ギルドを出て、街外れの鍛冶屋に立ち寄る。

煌びやかな甲冑や重装備の奥――

地味な一角に、どこか柔らかな光を帯びた防具が掛けられていた。


鍛冶屋が説明する。


「これかい。“銀糸の通い衣”――古い工房の作りでな。

派手さはないが、鉄線に銀糸を織り込んである。

軽いし、魔法の加護や癒しがすっと通るって評判で……

魔術師やテイマーが、黙って選んでいくことが多いね」


レイルはその手触りを確かめる。


「……派手じゃないけど、質がいい。こういうのが一番安心できるな」


リシェル「魔法が流れる感じがする。森でも目立たないし、動きやすそう」


カレン「陶器のタイルパッドも付いてるんだ。打撃にも強いんだって」


モモン「ぷしゅ~!(さらさらしてて、落ち着く!)」


値札には【3,000ルム】。

財布を確認すれば【2,700ルム】。


「……あともう少し、か」


買いたいが、今は我慢。

仲間たちも「いつか絶対手に入れよう」と励ましてくれる。



◆森の入り口――住民の声


森の手前で地元の男が声をかける。


「お前さんたち、気をつけな。森の奥はこのところずっと変だ。

家畜だけじゃない、夜になると人影も消えるって噂が……」


カレンは「大丈夫、私たちがちゃんと調べてくるから」と微笑む。



◆森の中、不穏な前兆


木々の隙間から霧が流れ、鳥や小動物もいない。

湿った地面には引き裂かれた荷袋や巨大な爪痕。

リシェルが木肌を見つめてつぶやく。「これ、人でもひとたまりもない……」


空気が重く、湿った瘴気がまとわりつく。

ミルが耳を倒して「お兄、変だよ。あいつ……目を合わせたくない」


カレンも「なんだろう、背中がぞわぞわする。魔物っていうより、もっと“何か”……」と小声。


モモンも「ぷるぷるっ」と普段と違う震え方で、レイルの腕にしがみつく。


――その時、森の奥の茂みで、一瞬、黒い影が音もなく横切る。


レイルの背筋が凍るような寒気に包まれる。


(……何だ、あの気配。普通の魔物と違う。本能が“危険”だと叫んでいる――)



◆臨戦と静寂、そして決意


「来る……!」


レイルはスリングを握り、ミルとモモンも臨戦態勢。

リシェルとカレンも後ろで身構える。


だが影は森のさらに奥へと消えていった。


しばし誰もが無言で呼吸を整える。


「今の……ただの魔物じゃない」

リシェルが眉をひそめる。


「でも、行くしかないよね」

カレンが小さく息を吐き、

レイルは仲間たちに頷いてみせた。



◆レイルの懐事情(第34話終了時点)

•前回所持金:2,750ルム

•今回の消耗品・食費・保存食・消毒薬など購入:−50ルム

•現在所持金:2,700ルム

•目標装備:「銀糸の通い衣」3,000ルム(次の報酬までお預け)

パーティー制度・登録の利点・世界設定

•ギルドでは一定の実績や信頼を持つ冒険者は「パーティー」として公式登録できる。

•パーティー登録の利点:

 ・信頼度がアップし、より難度や報酬の高い依頼を選べる

 ・専用依頼や特別ボーナスが発生することも

 ・ギルド内での情報共有、保険や生活支援制度も受けやすくなる

 ・メンバーの昇級査定や表彰などで有利に

•登録の際はパーティー名が必要で、名声や評判もじわじわ広まっていく


--

•「銀糸の通い衣」はテイマーや補助職に人気の古工房製。

 ・軽量で動きやすく、魔法の加護・癒しを通しやすい独特な編み方。

 ・地味だが堅牢、草木色で隠密性が高く、パッドなど工夫も随所に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ