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世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
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32話 銀影の森、戸惑いと微かな光

森の奥は、昨日よりも冷え込んでいた。

木々の間から差し込む光もどこか鈍く、空気はよどんで重い。


レイルたちは、昨夜の出来事――

“仲魔との共鳴”でレイルのスリングが一瞬だけ光を放ったこと――を、

まだ頭の片隅で引きずっていた。


ミルは警戒して周囲を窺い、

モモンは“ぷしゅー”としきりにレイルの足元をくるくる回っている。



◆魔法?――仲間たちの動揺


「レイル……昨日の、見てたよな?」

リシェルが恐る恐る口を開く。


「……ああ。あれは……魔法、だったのか?」

レイル自身も困惑している。

仲魔と呼吸が合った一瞬だけ、自分の体がふっと軽くなった。

だが自分の意志で何かを“発動”させた感覚は薄い。


「でも、今までそんな現象なかったよね?」

カレンも顔をしかめる。


「……森の魔力が濃くなってるのかも」

リシェルは手のひらに残る“魔法痕”のざらつきをそっと撫でた。



◆森の調査、銀影の痕跡


森の中は異様な静けさ。

鳥も小動物も見当たらず、時折、冷たい風が枝を揺らす。


ミルが低く唸る。「キュル……」

足元にうっすらと銀色の毛、そしてひっかき傷の跡。

家畜の骨らしき白い破片が、藪の影で冷たく光る。


「……これは、昨日の“銀影”のやつだな」


モモンが素早く辺りを探り始める。

“ぷしゅぷしゅ”という音は、レイルにしか意味が分からない。

(近い、いるよ、すぐそこ)


「気をつけて」

リシェルは薬草と回復札を手に、カレンは果実爆弾を握りしめる。



◆遭遇――変異型・銀影獣


突然、木立の奥から強い魔力と共に銀色の影が跳ね出した。


それは――

狼にも似た異形の四足獣。

だが毛並みは銀白、瞳は禍々しい赤。

身体から瘴気のような魔力がうっすら漂っている。


「……出た!」


レイルは本能的にスリングを構える。

昨日と同じ感覚が、胸の奥で微かに疼く。


「ミル、左から! モモン、正面で威嚇!」

レイルの指示と同時に、仲魔たちが動く。


ミルが素早く駆け、銀影の足に鉤爪を打ち込む。

モモンは体を広げて銀影の目前で“ぷしゅー!”と威嚇、

その粘液が獣の動きを鈍らせる。


レイルの手の中、スリング石が青白く淡く光る。


「……いけっ!」


投石が銀影の頭上で小さく閃光を放つ。

一瞬、銀影が動きを止め、仲魔たちが一斉に畳み掛ける。



◆魔法の余韻と課題


銀影獣はやがて痙攣し、息絶えた。

だが森の空気は、さきほどよりもさらに重くなっている。


リシェルが膝をついて息を整える。「……さっきの光、まただったね」

カレンも「魔法みたいだったけど、危なっかしかった」と苦笑する。


「……自分でコントロールできてない。偶然……なのかも」

レイルは呟く。手の中のスリングは、静かに冷たかった。



◆報告と不穏な影


森の異変はまだ完全には収まらない。

“魔法”による異常が、さらに森の奥へと広がっている気配がある。


レイルたちは戦利品を回収し、ギルドへの帰路につく。

途中、森の端で他の冒険者の残した足跡、折れた枝、焦げた痕を見つけた。


「……誰か、魔法を使った?」

リシェルがつぶやく。



◆ギルド帰還、評価と戸惑い


ギルドに戻ると、サリナが出迎える。

「無事でよかった……! けど、森の魔力濃度が異常です。どうか気をつけて」


レイルは“魔法のきっかけ”を報告するが、

サリナもギルドも「制御できていない魔法=危険」と見ているようだ。


「今後、訓練も含めて慎重に見守ります」とサリナ。



◆日常と財布事情


報酬:600ルム(危険手当含む)

戦利品売却:+60ルム

消耗品・食費・宿代:−70ルム

現在所持金:2,820ルム


カレンやリシェルと笑い合い、

ミルとモモンはいつものようにレイルに寄り添う。


だが、

“偶然発動した魔法”のことがレイルの頭から離れることはなかった。

■【モンスター図鑑】銀影獣ぎんえいじゅう

•種別:変異型魔獣(狼型・四足獣)

•特徴:

・銀白色の毛並み、禍々しい赤い瞳

・体表から微弱な瘴気と魔力が漂う

・生来は温和だが、強い魔力や瘴気にさらされると“凶暴化”し村や家畜を襲う

•知能:野生動物レベル、まれに高い順応性を示す個体も

•出現地:リュード近郊の森、魔力が乱れた地域に多い

•弱点:閃光、音、特殊粘液による麻痺

•備考:

・かつて“銀狼”として神獣扱いされた伝説も残る

・近年は「瘴気」の影響で凶暴化した個体が多発

・討伐証明は毛皮または牙



■【装備品】スリング(投石具)

•名称:冒険者用スリング(初期モデル)

•入手経緯:

村の鍛冶屋・ドロックにて、初期冒険者装備として安価に入手

(※レイルが初めてギルドFランク昇級時、生活資金で購入)

•エピソード:

・最初は投石が苦手だったが、日々の訓練で“急所狙い”や“閃光石”投擲を習得

・素材屋やリシェルの協力で、たまに特殊石や魔力石を調達し活用



■【現時点の主な装備・ステータス】

•レイル

 ・冒険者用スリング(通常+魔力石用)

 ・皮製の軽装鎧+肩当て

 ・小型篭手(ミルの爪素材を一部使用、耐久+2)

 ・治癒薬ポーチ、簡易防御札

 ・基礎魔法(本人は未自覚/仲魔との共鳴時のみ発現)

•ミル

 ・鉤爪強化装備(鍛冶屋クラフト品、斬撃力+1)

 ・軽量サポーター

•モモン

 ・進化型スライム体(魔力吸収能力/閃光・麻痺粘液)

 ・クラフト由来の“果実バフ”による再生力アップ

•リシェル

 ・薬草収納バッグ(調合・回復アイテム多め)

 ・魔法護符

•カレン

 ・果実爆弾(小型/投擲型アイテム、混乱・麻痺効果)

 ・防御エプロン(ギルド支給)


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