第59話 何も変わらない
「……今、何時なんだろう……?
まだ、夜の九時か……」
(人間って、本当に欲望に忠実だな……。
高嶺さんを泣かせてしまったくせに、自分が悲しくなると疲れて眠ってしまうんだから……)
「……高嶺さんに謝りたい……。でも、なんて謝ればいいのか分からない……。調べよう……」
(【カップル ケンカ 謝り方】……。
検索にかけたらいっぱい出てくる。やっぱり、どこのカップルもケンカはするんだ……。
え~っと……――
『高価な物を送って精一杯謝りましょう!』
『どこかへ、デートに行き、謝りましょう』
『豪華な食事でもして謝りましょう』
『土下座しましょう』
『もう、その恋は諦めて次の恋へ進みましょう』
……ダメだ、どれもこれも使えない……)
「……っ、本当に使えないな……この、クソスマホが――」
(……ううん、違う。本当にクソなのは僕自身だ。自分じゃ分からない答えをネットに頼って、自分ではなんにもしようとしない。そんな謝り方で高嶺さんが喜ぶと思ってるのか……?
いい加減にしろ……。僕は、自分でどうしたい? 高嶺さんに謝りたいんじゃないのか? 僕のせいで、傷つけてしまった高嶺さんに謝りたいんじゃないのか?
だったら、考えろ……。自分がどうするべきなのかを。どうしたら、高嶺さんに謝れるのかを……。
変わるしかない……。ネットにはない答えを自分が見つけないといけないんだ。だから、変われ。誰も僕の代わりをしてくれる人なんていない。高嶺さんに嫌われたって構わない。何もしないよりは全然良い。自分が動いて変わらないと何も変わらないんだ……!)




