ユーフォルビア兄妹のデビュー
書籍第4巻発売時リクエスト企画より♪
シスルとフリージアの社交デビュー。お姉ちゃんは心配ですw
「そろそろお年頃だね」ということで、シスルとフリージアが社交デビューすることになりました。シスルは一七歳、フリージアは一三歳です。
え? 何で二人一緒さ? って?
べ、別にめんどくさがったわけじゃないですよ!
歳が近い二人なので、一緒にやっちゃえ☆ って思ったようです、うちの親。大雑把な人たちで申し訳ない。ごめんね、シスル、フリージア。
社交界のこととか疎い私ですから、どういう場所(会場)がいいかわからないので旦那様に相談することにしました。旦那様の方がこういうことに慣れてるでしょ?
「王宮の夜会は恐れ多すぎてダメです。う〜ん、規模とか考えたらバーベナ様のところとかアイリス様のところのパーティーがいいでしょうか? サーシス様、どう思います?」
「そもそも、なんでアルゲンテア家やサングイネア家なの?」
「え? いちおう気心知れてるから?」
数少ない私のお友達ですからね! 安心して参加できるというか。
そう考えての両家のパーティーだったんですが、
「せっかくだから、うちでパーティーを開いたらいいじゃない」
「え? いいんですか?」
「もちろんですよ。せっかくの二人のデビューなんだし」
そう旦那様がそうおっしゃってくださって、珍しく、超珍しくフィサリス家でパーティーをすることになりました。
フィサリス家でシスルとフリージアのデビューパーティーするぞ☆ と決まった数日後。
「フリージア様とシスル様はペアルックにしましょう!」
「何色にしましょう? やはりここは水色でしょうか? あ、ヴィオラ・サファイアカラーがいいですわね!」
「お二人の瞳も、奥様の瞳と同じ色ですしね」
せっかくなので主役二人の衣装も、私たちからプレゼントすることにしました。ということで公爵家に連れてこられたシスルとフリージア。
シスルは男の子だからそんなに凝るところがないので採寸を終えるとさっさと解放されたのですが、問題はフリージアです。
侍女さんたちのアイドル・フリージアのドレスを作るんですよ、みんなの目の色が変わる変わる!
マダム・フルール、ミモザ、ステラリアを中心に、侍女さんたちが寄ってたかってドレスのデザインをあーじゃないこーじゃないと吟味しています。
「せっかくだから奥様も、フリージア様とお揃いのドレスにしましょうね!」
「え、私も作るの?!」
侍女さんたちが一斉に振り向き、私に笑いかけます。うわぁ、そんな期待に満ちた目で見ないでも……ええ、作りますとも。こういう時、私の意見は誰も聞いてくれないことを私は学習済みですからね!
でも、フリージアの衣装を考えるの楽しいですね! ……あ、ちょっとミモザたちの気持ちがわかったかも。
パーティーに招待するお客様は、旦那様・ロータス・うちの両親で吟味されたようです。だって大事な出会いの場ですものね!
会場の準備の方はロータス・ダリアの仕切りの下つつがなく終わり、いよいよ当日となりました。
「うう、緊張で震えるんですけど……いらっしゃいませ!」
「ヴィーが緊張する必要ないでしょ……ようこそ!」
こそこそ話しながら続々といらっしゃるお客様に挨拶を返す私と旦那様です。
パーティーの主催なんてやったことないですから緊張でガクブルしていると、旦那様が優しく肩を抱き寄せてくれました。
「大丈夫、細かいことは僕たちに任せておいて、ヴィーはニコニコしてればいいですから」
そう言ってキラキラスマイルを向けてくる旦那様。
その言葉のおかげでちょっと落ち着きはしましたが、別の意味でドキドキしちゃいます。
パーティー会場の大広間では、シスルとフリージアの周りに早くも人だかりができていました。
さすがは今日の主役。いやいや、そんな肩書きなくたってシスルはイケメンだしフリージアはかわいいから、フツーにモッテモテですけどね!
「ちょ……シスルの周りのお嬢様方、やけに露出の多いドレスじゃありません?」
「ああ、フリージアの周りに若い男の方がたくさん……! 大丈夫かしら、行って助けてあげないと」
私ってばこんなに心配症でしたっけ?! でも気になるものは仕方ないんです!
私がハラハラしながら二人を見ていると、
「はははっ! ヴィーは過保護だなぁ。大丈夫、上手くやるって」
旦那様に笑われてしまいました。
~ シスルくんの場合 ~
なんだか僕の周りに女の人が集まってる。まあ、今日の主役だからしようがないんだけど。
「シスル様、以後お見知りおきを」
「シスル様は王宮でお仕事されていますの?」
「お姉様によく似て素敵ですね!」
グイグイ来る化粧バッチリ・露出高めなお姉さんたち。これが上流階級のお嬢様方なのか? 確か今日のお客は厳選されてるんじゃなかったっけ? 確か父上や義兄上がそんなことを言ってた気がしたけど。でもごめん、こういう人種はタイプじゃない。
苦手だなぁと思っても顔に出さないのがお約束。
じゃあ、手っ取り早くここから退散しよう。
「あ、あの方。僕を睨んで……貴女があまりに素敵なので、僕にとられやしないかと気が気でないのでは……?」
「えっ?! どちら?!」
「どなた?!」
「わたくし?!」
僕が適当な方向を見てはっとしたようにつぶやけば、即食いついてくるお嬢様たち。アグレッシブだなぁ。
お嬢様たちの視線があちこちに散っている間に、僕はさっさと知り合いのところに避難した。
~ フリージアちゃんの場合 ~
「こんなにかわいらしい方と出会えて、今日は幸運です」
「まあ! おっしゃる通り、今日はたくさんきれいな方がいらっしゃいますものね! 私の姉も綺麗ですけど」
「え?」
「僕と一曲踊っていただけませんか?」
「私ですか? よろこんで。……ああ、他のお嬢様方、今はみなさんお忙しそうですものね!」
「いや、僕は貴女と踊りたいんですが……」
自分目当てに寄ってきている男どもなのに、ちっともそう感じていないフリージア。姉以上の鈍感。
~ その後 ~
サーシス「今日のパーティーを踏まえ、シスルとフリージアによい人を探そう」
ロータス「そうでございますね。シスル様には、真っ先に肉食系のお嬢様方は排除したほうがよろしかと」
サ「そうだな。あいつ、ソッコー逃げてたしな。フリージアは……外堀から埋めていかないと、どうにもならなさそうだが」
ロ「同感にございます」
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ありがとうございました(*^ー^*)




