恋の障害? 〜ユリーさんとリアさん その4〜
活動報告より♪
またちょっと進歩したユリーさんとリアさんです。
王都の街中で偶然出会ってお茶をしたあの日から、お休みの日が合えば(ユリーさんが半ば無理やり合わせて)デートを重ねたユリダリスさんとステラリアさん。
お互いを「リア」「ユリー様」と呼び合うくらいに仲良くはなったのですが、まだ友達以上恋人未満といった感じです。
そんな日々が続いていましたが、やはりこのままではいかんと奮起したユリダリスさんは、思い切ってステラリアさんに告白しようと決意を固めました。
王都の中心街の端にあるローニュの森。そこは広大な森林公園になっていて、貴賎・老若男女を問わず憩いの場所になっています。いつもそこで待ち合わせ、そこからどこかに行くのが二人のデートなのですが、
「今日は話したいことがあるんで、少し散歩しませんか?」
「お話したいこと? ええ、構いませんわ。お天気もいいですし、絶好のお散歩日和ですものね」
ゆっくり落ち着いて話がしたいユリダリスさんが公園の散歩を切り出すと、ステラリアさんも微笑み了解しました。
公園内の遊歩道を、ステラリアの歩調に合わせて散歩する二人。最近王宮内であったことやお互いのことなど他愛のない話をしながらも、ユリダリスさんはどう話を切り出そうか機会をうかがっています。
森を抜け広場に繋がる小道の脇に適当なベンチを見つけたので、そこで話をしようと、二人は腰を下ろしました。
「回りくどいことは嫌いなんで単刀直入に言いますが、リア、僕と結婚を前提にお付き合いしてくださいっ!」
グダグダと考え込むのは性に合わないユリダリスさんが、直球勝負でステラリアさんにお付き合い(しかもいきなり結婚前提!)を申し込むと、
「お断りします」
なんと。丁寧に頭を下げながら断られてしまいました。
秒殺〜っ!! え!? 断られた!? ちょ待って。今までいい感じだったよな? つか、嫌なら何回もデートしたりしないよな!?
ユリダリスさんはボーゼンと動けないまま、まだ頭を下げたままのステラリアさんのつむじを見つめます。
「……え、と、リア? どうして、か、理由を聞かせてもらってもいいかな……?」
いつまでも固まったままでは何も進展しませんのでとりあえず気を取り直して声を絞り出すと、ようやく顔を上げたステラリアが、
「こうしてお戯れにお付き合いするのは大丈夫でございますが、結婚を前提としたお付き合いとなると、やはり身分差というものを考えてしまいますから」
という返答。
「いや、ちょっと待って! 身分差云々は今は置いといて、今まで俺がステラリアをデートに誘っていたのは『ただのの気まぐれ』だと思ってたの?」
「……ユリー様のように地位も名誉もあるお方が、一介の使用人にすぎない私に声をかけるなど、ありえませんもの」
いつもは優しい微笑みを浮かべているステラリアの表情が、切ない悲しげなものに変わりました。
なんてこったい。俺のアプローチは『気まぐれ』と思われてたんかい!!
あまりのショックに頭を抱えたくなったユリダリスでしたが、しかし。
ここで引き下がっちゃ本当に『気まぐれ』だと思われちまう冗談じゃねぇ。こうなったら意地でも『本気』だって分からせてやる! 俺の本気なめんなよ!!
俄然ファイトが湧き上がってきました。
「戯れなんかじゃないから!」
「えっ!?」
ガッとステラリアの手を握り、揺れるその瞳を真っ直ぐに見つめて、一言一言、しっかりとステラリアに言い聞かせます。
「フルールでは身分差なんてあまりうるさく言われないでしょ」
「世間はともかく、わたくしも、両親もよしとしませんわ。−−一流の使用人のプライドにかけても」
「身分って……。俺は確かに侯爵家の人間だけど三男だしすっかり放置されてるから、誰と結婚してもうちの両親は喜ぶんだけど」
「それが使用人とだなんて、話は別でございましょう?」
「『嫁は男じゃなければ誰でもいい』って言質は取ってます!」
一時期王宮内で『ユリダリスは男がいいらしい』という噂が立ったことがあり、それを聞きつけたユリダリスの親兄弟が『身分とかぜんっぜん気にしないから、お願いだから嫁は女の子を連れてきて!』と懇願したのでした。まあその噂はばらまいた本人に回収させたのですが。
「あ〜……」
うちのご主人様が大変ご迷惑をおかけいたしました、と、また黙って頭を下げるステラリアです。
「使用人っていうけど、リアはあの公爵家の使用人ですよ? その上両親ともに公爵家の使用人って、よっぽどそこらにいる庶民より身元が保証されているじゃないですか」
「それはそうでございますけど……」
困ったように瞳を揺らすステラリアに「もう一押し!」と手応えを感じるユリダリスは、
「じゃあリアは俺のことが嫌いなんですか? 本当は嫌いだけど、俺のが身分も上だし断れないから嫌々付き合ってたとかなら、俺もすっぱり諦める」
また直球を投げました。
「…………」
「身分とか、そういうの抜きにして、リアの気持ちを聞きたいんだけど?」
「…………好きです」
耳まで真っ赤になりながら、それでもまっすぐにユリダリスを見ながら答えたステラリアを、
「それが聞きたかったの! 大丈夫、リアの両親は俺が説得するから!」
ニカッと笑って抱きしめたユリダリスでした。
* おまけ *
その頃フィサリス公爵家で。
「はっっくしゅん!!」
「あら、サーシス様、お風邪ですか?」
「いや??」
「ふうん??」
ありがとうございました(*^ー^*)




