第1章 通過儀礼
ガビが初めて獲物を仕留めた朝、村は久しぶりに明るい空気に満ちていた。
まだ幼さの残る腕に、血の匂いが残っている。それでも彼は、震えを隠すように背筋を伸ばしていた。
「これで、お前も一人前だ」
父ヤンバの声は短く、しかし確かだった。その節くれ立った手は、ガビの肩を痛いほど強く、一度だけ叩いた。
母ヤンマはその横で笑っていた。息子の顔を、脂のついた大きな手でぐちゃぐちゃに撫で回し、何事かを大声で喋り続けている。
その日の夜、ムレでは祝宴が開かれた。火の周りで人々が騒ぎ、脂の滴る肉の匂いが充満する中、大人たちは意味のない叫び声を上げて笑い、互いの体を乱暴にぶつけ合っていた。むせ返るような汗と熱気。その無秩序な生命の騒めきの中で、ガビはひとつだけ違うものを見つけていた。
道端に落ちていた、奇妙な装飾品。
石と骨が不自然なほど整って組み合わされている。だが、自分たちのムレに、このような精密な細工のできる者はいない。
それを見た瞬間、父ヤンバの顔色が変わった。
「触るな」
短い声だった。だが、その裏にある何かをガビは感じた。警戒ではなく、もっと深いもの――恐れとも諦めとも取れる、これまで見たことのない表情だった。
その夜、長老ビジルが呼ばれた。ビジルは装飾品を一目見ると、長く沈黙した。
「これは……ホーホーのものだ」
ホーホー……とガビは心の中で繰り返した。遠くで聞こえる彼らの声は、自分たちの荒い言葉とはどこか違っていた。
言葉だけが、火の音の中に落ちた。




