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ノイルフェールの伝説~天空の聖女(セインテス)~  作者: 朝霧 巡
第3章 『勇者』と呼ばれた男
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【外伝~第3章のあらすじと登場人物】

ジール王国で勇者と呼ばれた男がいた。

マクシミリアン・メッサーシュミット。刀剣鍛冶の倅だったが、戦火で家族と故郷を失う。船に乗って漂流していた所を人魚族(マーメイド)のナディアに助けられ、二人で海を渡る冒険をする。

故郷を失いもう帰るべき場所がない事を知ったマックスは勇者になり、この世から戦争を失くすことを誓う。


マックスの決意を知ったナディアは、陸の上を歩けない自分は足手まといになる事に気づき、抱いた恋心を捨て去るようにマックスから離れる。

一人になったナディアは一人慟哭するが、その悲しみが彼女を精海人族(ローレライ)へと進化させた。


数多の困難を乗り越え、勇者と認定されたマックスは再びナディアの下に駆け付け、想いを告げるとともに一緒に同じ道を歩んで行こうと告げる。

マックスとナディアは再び冒険の道を歩み、多くの魔物や悪政を働く貴族を懲らしめ名声を高めていく。


途中で巨漢の戦士ゲオルグ、遊撃士(レンジャー)コンラート、治癒師のヨゼフィーネが仲間に加わり、彼等は『勇者パーティー』と呼ばれるようになる。


そんなジール王国の勇者の噂を聞きつけたフィルツブルク聖皇国の教皇アレクサンドル13世は、マックスを『アニマ教』が認める『聖なる勇者』に認定し、聖都クロームへと招待する。

招待に応じ海路聖皇国へ進む旅路で、マックスは教皇の意図を考える。同じ『アニマ教』国家であるジール王国とフィルツブルク聖皇国。国交を結んではいるが、教義の違いにより両国間の関係はお世辞にも良いとは言えない。

それでも自分を『聖なる勇者』に認定し、それを認める母国とその宰相カール・グスタフ・フォン・ラウレンツの意図はどこにあるのかと。


その時魔物が襲ってきて船を破壊しようとする。勇者パーティーで迎撃しそれを滅ぼす。その圧倒的な力に、力自慢の船乗り達は驚く。

やがて一行は聖都クロームに到着する。しかし、埠頭には二つの歓迎団が並んでいた。

教皇アレクサンドル13世の名代を名乗る首座司教ピヨートルと、総大司教ニコラス。教皇派と統制派という二大勢力の重鎮が笑顔を向けながら出迎えるが、その表情には微妙な違いがある。

「ここでも派閥争いか」マックスは内心うんざりしていた。


母国ジール王国も二つの勢力で内戦が起こっている。その内戦で彼は家族と故郷を失った。人間同士の醜い勢力争いに勇者として憤り、一向に戦いがなくならない事に彼は苛立ちを覚えていた。


フィルツブルク聖皇国で正式に『聖なる勇者』に認定されたマックスは、内々に教皇アレクサンドル13世の私室に招待される。そこで命じられたのは敵国であるマーキュリー王国にある寒村ウーラニアー村の調査だった。


理由を問うマックス。教皇はその村に特異点(シンギュラリティ)の反応があるという。これを放置すれば、アニマに悪しき影響が及び、世界に危機が訪れると言う。しかし、マーキュリーは敵対国。フィルツブルク聖皇国側の人間が易々と入国することはできないし、戦端を開く事にもなりかねないので騒動を起こすこともできない。

マックスは教皇に別の思惑があるのを感じながらも、その命に従う事にした。

宿舎に戻ったマックス達は、今後の方針について話し合う。その結果、冒険者として依頼(クエスト)をこなすという大義名分の元にウーラニアー村に向かう事に決めた。


しかし、マックス達は冒険者ではない。登録したとしても新人冒険者にそのような依頼も来る筈もない。そこでマックスは一計を案じる。

敢えて冒険者組合(ギルド)内で揉め事を起こし、マックス達の実力を組合長(ギルドマスター)に示すことにした。お誂え向きに素行不良の冒険者を簡単に退けたマックス達に関心を示した組合長(ギルドマスター)メルダースに、執務室に招かれたマックス達だったが、メルダースから、目的は何だと詰問される。


マックスに代わって目的を説明するナディアだったが、依頼料を自ら出すという明らかなルール違反なやり方にメルダースは不快感を覚える。それでも退かないナディアはメルダースに付け届けを行う。付け届けの額に驚愕するメルダース。そこで彼は彼等が特別な存在で教会が後ろ楯になっている事を察し、自身の力の及ぶことではないことを認識する。

こうして『魔の森』や『ウーラニアー村』の調査依頼(クエスト)を取り付けたマックス達だったが、メルダースは背後の教会に不穏な動きを感じていた。



【主な登場人物】


<勇者パーティー>

・マックス

 年齢24歳 マクシミリアン・メッサーシュミット 人間族(ヒューム) 勇者 性別:男

 ジール王国南端の村、ブークホーフ村で刀剣鍛冶の息子で父親の跡を継いで鍛冶師を目指していたが、王国内の抗争に巻き込まれ家族を失う。一人小舟で脱出させられ海を漂流中にナディアと出逢う。ナディアの力を借りて再び村へと戻るが、村は跡形もなく滅ぼされ、マックスは自ら勇者となり、この世界を糺す事を誓って旅に出た。

幾度の死線を乗り越え勇者となり、ナディアと再会。二人で争いの元凶を作る貴族や土豪、そして魔物を滅ぼして回っていた。その活躍はジール王国宰相ラウレンツの耳にも届き、彼はマックスの後ろ楯となって支援する。

こうして名声は海を渡り、宗派は異なるものの同じアニマ教の国家フィルツブルク聖皇国の教皇アレクサンドル13世の招きを受け『聖なる勇者』と認定されたのだが……


・ナディア

 年齢74歳(人間年齢換算で概ね20歳) ナディア・シルワ・プリーシママーリス 精人魚族(ローレライ) 仙術師(カルティベイター) 性別:女

外伝:「ローレライの歌」の主人公

人魚族(マーメイド)の少女として生を受け、仲間達と平和で幸せな生活を送っていたが、ある日漂流中の人間族(ヒューム)の少年マックスと出逢う。家族が心配で故郷に帰りたいと言うマックスに同情した彼女は、親の反対を押し切りマックスの桔梗に手を貸す。その間二人で過ごすことで、マックスに心惹かれたナディアは次第に彼を愛するようになっていた。

しかし、故郷は無惨にも滅ぼされ遺されたマックスには、妹の為に自ら作ったペンダントしか残っていなかった。勇者になり、この世の誤りを糺したいと願うマックスに共感するが、陸地を歩けない自分は足手まといにしかならないと自覚した彼女は、マックスと別れる決心をする。

マックスを想い一人涙するナディアだったが、その純粋な思念は昇華し、ナディアを精人魚族(ローレライ)へと進化させる。マックスが勇者を目指し修行を繰り返していくのと同様にナディアもまた先輩精人魚族(ローレライ)のマリーナの下で修業を重ね仙術師(カルティベイター)となる。

その後、勇者となり迎えに来たマックスと再会。事実上マックスの正妻となり、常に行動を共にしている。


・コンラート

年齢27歳 コンラート・バルクホルン 人間族(ヒューム) 遊撃士(レンジャー) 性別:男

マックスとナディアの冒険者パーティーに最初に加わった。生真面目な性格の二人に軽口を叩き、緊張を解すなどのムードメーカー的な言動で仲間の不安を払拭したりしている。罠や仕掛け、潜伏などを見破るスキルを持っている。また、弓の名手でもあり、距離200mでの命中率は90%を超える。


・ゲルハルト

年齢26歳 ゲルハルト・シュタインベルガー 人間族(ヒューム) 戦士(ファイター) 性別:男

鍛えられた恰幅のいい体格をした男で、性格は極めて温厚。持ち前の包容力でそれぞれの立場を慮りながら、仲間達の心を繋ぐとともに、彼らの心の痞えを受け止める緩衝材的な役割を担っている。

刀剣や物理武具に精通し、大盾も難なく振るえることから、壁役(タンク)としても優秀である。


・ヨゼフィーネ

年齢23歳 ヨゼフィーネ・フォン・シェルンホルスト 人間族(ヒューム) 治癒師(ヒーラー) 性別:女

気のいい前向きな気質を持つ社交的で明るい女性。ジール王国の貴族派の重鎮、シャルンホルスト伯爵の令嬢であるが、政争に注力し、領民を顧みない父親に反発。また婚姻を強引に推し進められたため出奔し、修道院で修道女として生きていく事を決めた。ところがジール内紛で実家も修道院も被災し崩壊。行き場を失った所をナディアに誘われる形でパーティーメンバーになる。異種族を忌避する傾向のあるアニマ信徒の中では珍しく融和主義者であり、精人魚族(ローレライ)であるナディアの良き理解者の一人である。

パーティーメンバーのコンラートに懸想しているが、立場と信仰心の狭間で打ち明けることが出来ないでいる。


<フィルツブルグ聖皇国>

・アレクサンドル13世

 年齢67歳 ベネディクテュス・レクス・ファン・フルーニンゲン 人間族(ヒューム) 性別:男

フィルツブルク聖皇国の君主にしてアニマ教の第665代教皇。

次期皇位を有望視されていた兄と弟が帝位を争って共倒れしたため繰り上がりで教皇に即位した。国政は執政であるオルランド総大司教に委ねている。凡庸な振る舞いを公の場で繰り返しており、自身の意思を明確にすることはない。

首座主教ピヨートルと大司教ニコラスの勢力争いも執政に裁量を任せており、国内の対立を結果的に煽っている。

それでも極秘に『魔の森』や『ウーラニアー村』の調査をマックス達に命じており、不気味さも見せる。


・ピヨートル

 年齢48歳 アウグスト・カミロ・カレンダ 人間族(ヒューム) 司教(ビショップ) 性別:男

 フィルツブルク聖皇国首座主教。教皇派に属し、統制派(貴族派)とは水面下で抗争を繰り広げている。マックスを『聖勇者』に推挙する活動を行った。


・ニコラス

 年齢50歳 フェルナンド・クレメンテ・レンドン 人間族(ヒューム) 司教(ビショップ) 性別:男

 フィルツブルク聖皇国大主教。統制派に属し、教皇派とは水面下で抗争を繰り広げている。表向きはマックスを『聖勇者』に推挙することに難色を示したが、。


冒険者組合アドベンチャラーギルド

・メルダース

 年齢57歳 ヴェルナー・メルダース 人間族(ヒューム) 組合長(ギルドマスター) 性別:男

質実剛健を地で行く元冒険者。冒険者・クランリーダーとしての実力も卓越しており、最終冒険者ランクは『妖精銀(ミスリル)』。現在は現役を引退し、フィルツブルク聖皇国のクローム冒険者組合アドベンチャラーギルド組合長(ギルドマスター)をしている。

百戦錬磨の猛者であり、かつ物怖じしない性格で、まさに『親分』ともいうべき貫禄の持ち主。酒とパイプ煙草をこよなく愛し、『冒険者組合アドベンチャラーギルド』の中では自分こそが法と言い切る。騒動を起こす輩は、たとえ王族や貴族であっても容赦なく締める。特に調子に乗って増長した若手冒険者は悉くメルダースによって『修正』される。

怒らせると魔物以上に恐ろしい人物だが、懐の深さや面倒見の良さも持ち合わせており、訳ありで力もなく何処にも居場所がない若者を保護し組合(ギルド)の職員として雇い、決して見捨てず面倒を見ている。


・モニカ

 年齢32歳 モニカ・リューデル 人間族(ヒューム) 組合(ギルド)職員(受付係長) 性別:女

 元冒険者。最終冒険者ランクは『白銀(シルバー)』。

 実はマックス同様戦災孤児で、ストリートチルドレンとして喧嘩に明け暮れる毎日を送っていたところメルダースに保護され、冒険者となった。依頼(クエスト)実行中に後遺症が残る負傷をしてしまったため引退。現在は受付担当の女性職員を束ねる立場兼メルダースの秘書となっている。

 物腰は柔らかいが、ややこしくなってくると物事を力ずくで解決しようとするなど、荒っぽい性格をしているのは上司譲り。


・ギッシング

 年齢20歳人間族(ヒューム) 冒険者 性別:男

 体力と腕力だけが自慢の意識過剰若手冒険者(クソガキ)。冒険者ランクは『青銅(ブロンズ)』で中性的でひ弱そうな人間に絡み力関係を誇示するだけが生き甲斐というようなクズ。

 身の程を弁えず勇者マックスに絡み、案の定、精神を砕かれる。


・酒場にいる有象無象の冒険者(よっぱらいども)

 モブ。女性であるナディアやヨゼフィーネに不埒な行いを仕掛け、返り討ちを遭い、最後はわからせられる。


<ジール王国>

・ラウレンツ

 年齢65歳 カール・グスタフ・フォン・ラウレンツ 人間族(ヒューム) 貴族 性別:男

ジール王国宰相。マックスの存在を早くから見出し勇者にするため画策した人物。内紛を繰り広げる王国内で、権力基盤を着々と積み上げている。野心家。

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