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不明の旅路  作者: 緩衝材
第一章【春よ、帰路を求む。】
8/17

盟友の守護関係 〜ルーローズ・ラン編〜

ランの年齢を訂正しました。

正しくは7歳❌→5歳⭕️でした。

僕、ルーローズ・ランは、今から約15年前にこの異世界に生まれ落ちた。


この異世界で一番最初に見た景色は、

今の母親と父親の笑顔だった。

笑顔がとてもそっくりで、見ていて安心する。


生後約11ヶ月。ランは他の子供よりもかなり早く立つことが出来た。

(やったー!!立った!ランが立った!)

そんな現代にいた頃のおきまりセリフを思い出し、心の中でそう言った。


生後約23ヶ月、2歳になる前。少しずつ運動神経が発達し、喋れるようになっていた。

この時は家族全員で市場へ買い物に来ていた。

市場には人が沢山おり、新鮮な野菜や肉、魚、魔法がかけられた本物のパワーストーンや洋服、何でも売ってある。


ルーローズ家は青果店で果物を見ていた。

メルが幼いランに尋ねた。

「ランちゃん、りんごとオレンジ、どっちが食べたい?」

(これは…択だなぁ。リンゴのシャキシャキ感を求めるか、オレンジのプチプチ感を求めるか…どっちにしようかな〜…よしっ決めた!)

「りんご!」

「ランちゃんりんご?わかった、お母さん買ってるから待っててね。」

そう言われてランはメルのことを待つことになった。


するとこちらに一目散に走ってくる黒ずくめの男がいる。その男はランを腕で力強く抱え、走り去った。

それに気づいたメルが叫んだ。

「ランっ!!!ラン!!!!!うちの子がっ、うちの子がぁっ!!!!!」

そのあとラカンがすぐに追いかけた。

その時ランは、

(ええーーーっ!!!?!?!やばい?!?!何?!誘拐?!?!死ぬっ!死ぬっ!!)

「ママァ”ーーー!!!パパァ”ーーー!!!」

と泣き叫んでいた。

しかし、ランを抱えている男が「泣くなガキ!次泣いたら火魔法で焼くからな!!」

(いやそれマジでシャレにならん!!やめてくれ!!解放しろ!!)


そんな事を思っているといつの間にか行き止まりに追い詰められており、男の目の前にはランの父であるラカンが立っている。

「返せ!その子はうちの子だ!!」

「それ以上近づくな!!さもなきゃコイツを火魔法で炭にする!俺はまだ生きたいんだ!!やっとコイツを手に入れたんだ!!コイツがっ!あれば俺はっ!不老不死になれっ」

ゴッ!!

と、骨が固い何かにぶつかる音がした。

その音の元はラカンの手と男の顔から出ていた。

その男はその場に崩れ落ち、ラカンは優しくランを抱っこした。

そしてラカンはランをめいいっぱい包み、涙を流した。

「ごめんなぁ…ごめんなぁ…!こんなっ、怖い思いをさせて…」

そこにボロボロで泣き顔のメルが到着し、メルもランのことを包み込んだ。

「ごめんなさい、ごめんなさい…ラン、無事で良かった…!」


この一悶着のあとその男は国に仕えている騎士によって連行された。その男は病気により余命2週間であった。

しかし、連行された後のストレスから病気がさらに進行し1週間も経たず亡くなったそうだ。


あの男がかかっていた病は原因不明で、その後流行り、死者が急増していった。

ランもその病にかかったが、何とか一命を取り留めた。

しかし、ラン自身は病気よりも人の手による“もっと生きたい”、“金を稼ぎたい”という者から命を狙われていたので、そっちの方が危険であった。

それから何度も視線を感じたり、罠を仕掛けられたり、誘拐されそうになった。


ランが4歳の頃、ランはメルとラカンが自分について話しているのを聞いた。

内容は、ランを自分で自分を守れるように鍛錬するか、護衛をつかせるか、らしい。

鍛錬させようとすると運動嫌いだから向かない、

護衛をつかせるとお金がかかって一家が崩壊する。

どちらも一長一短で、結局結論が出ずにその話は終わった。


しかし、ラン自身はお金がどれだけ大事なものなのかよくわかっていたのでランは仕方なく自分を鍛え始めた。

(20年も生きられなかった短い人生、第二の人生はもっと経験を積んで、後悔のない人生にしたい!

誰かに殺されるのはもうゴメンだ!!僕は今の人生を謳歌する!まってろ俺のセカンドライフ!!!)

この日からランは親に負担をかけないために外によく出るようになった。


─────────────────────────


ランは今年で5歳。この日は夏の暑い日だった。

そんな日でもランら自分を鍛える為にワルドの森に行こうとしていた。

「おかーさーん!ワルドの森いこー!!」

そうメルに大きな声で呼びかけた。

「はいはーい!今行くからちょっとまっててね〜!」

メルはランに負けないくらい大きな声で答えた。


ランは未だ一人で外出をしたことが無い、その理由はもちろん誘拐されない為である。

本来ならばこの歳になるとおつかいを頼めるのだろうが、頼んだことなど無い。

ランが転生者でなければいざ独り立ちする時になったら障害があったのだろう。


「はい、家出る前の確認です!水筒は持ちましたか?」

「はい!持ってます!」

「ハンカチは持ちましたか?」

「はい!持ってます!」

「警戒心は持ちましたか?」

「はい!持ってます!」

一つ一つメルが確認した。

ランも一つ一つ確認した。

「もう大丈夫だね?じゃあしゅっぱーつ!!」

「おー!!」

こうしてメルとランはワルドの森に向かった。


「うおー…でっかーい…」

ランの目の前には一本の大木があった。

(これなんていう種類の木なんだろう、メタセコイアとかではないと思うけど…ここら辺は植物とかが育ちやすいからなぁ、だとしてもこの木はデカいけど。)


そう思うとランはおもむろに肩に提げていたポーチからメモと鉛筆を取り出した。

ランはいつ誘拐されても家に帰れるようにワルドの森の詳しい地図を作っていた。


ランがこの大木の周りを歩くと木のコブがボルダリングのように偶然配置されている箇所を発見した。

ランはすぐに登ってもいいか聞くと、

「う〜ん…お母さんが見える範囲ならいいよ。それと、お母さんが帰ってきてって言ったらすぐに帰ってきてね、約束しよ?」

「うん!約束する!じゃあ登ってくるね!」

ランは約束してすぐに登り始めた。

元々、魔法の使うのが上手かったので体の力だけに頼らず、青薔薇の茎を伸ばし、棘も上手く活用出来たので木登りは得意だった。


そしてランはすぐに大木の頂上についた。

そこには雲ひとつない快晴と木の葉で出来た草原があった。

暫くランが木の上で黄昏ていると、メルから呼ばれたような気がしてすぐに降りた。


ランが地面まで降りるとさっきまでいたワルドの森はほぼ樹海と化しており、霧がかっていた。

(霧…?霧は良くないぞ?早くお母さんに合流しなきゃ。)

「おかーさーん!おかーさーーん?!」

いくら呼んでもお母さんからの返事はこない。

それよりも霧がさらに濃くなっていっている。

ここでランは霧に違和感を持った。

(霧って、大体朝に出来るもので昼にはそうそう出ない。それと、僕が知る限り、霧は雨が近いうちに降っていたりしないと絶対に出来ない…それにここの近くに水源はない。つまり…この霧は人為的な物…!)

ランは一気に震え上がった。恐怖で体が震えているのか、武者震いなのか。


ランが警戒していると、ランが向いている2時の方向から落ち葉を踏んだ時になる足音がした。

その足音はゆっくりと小刻みにこちらに向かってきている。


ランは固唾を呑む。

その足音は段々大きくなり、時計の秒針のように迫ってくる。


ザッ


ザッ


ザッ


ランが目を凝らすと霧から出てきたのは、



藤色の髪をもつ小さな少年だった。

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