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不明の旅路  作者: 緩衝材
第二章【孤注一擲】
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スズランの笑顔

不明の旅路を読んでくださりありがとうございます。

第14話にミスが発覚したのでご確認ください。

メルの発言、「おかえりを聞かせてね。」ではなく「ただいまを聞かせてね。」です。

すみませんでした。


それでは、第15話 スズランの笑顔 をどうぞお楽しみください。

春斗達は出発してからプレイグ王国を通りその向こう側、つまり西の方角へと向かっていた。


プレイグ王国は世界的に見てもかなり大きな国であり、商売が発達している。そのため無くてはならない重要な都市だ。


もちろん商売が発達していれば立ち寄る人が多く、

帰る頃には両手に土産を持っていることがほとんどである。


しかし、この時の春斗達はそれらの商売には用はない。旅に必要な物はすでに所持しているため、手ぶらで歩くだけであり何もない、ただ安全な道としてプレイグ王国を経由しているだけである。



…と、サフィニアは言っていた。

はず、なのに。


精神年齢の低いアリアは度々店の前で立ち止まったり、客引きの人に捕まったりしていた。

アリアの性格、好奇心旺盛が悪い方向へと進んでしまっている。それに加えて、アリアは地上の事はほぼ何も知らない無知状態のため、より一層強まってしまっている。


その度にサフィニアはアリアの首根っこを掴んで連れていき、咎め、それを離してからすぐに何処かでまた捕まっている。


このような事が何回も繰り返されたため、ただ歩いているはずの春斗達はサフィニアだけ眉間にシワを寄せ、息を切らし、汗もかいている。


その様子をソロとイヤモンは微笑みながら見守り、

その他は苦笑している。


そして肝心のサフィニアを困らせているアリア自身は目を輝かせながら通り過ぎていく店をひとつずつ、余すことなく目を通している。

その様子からすると、サフィニアのお咎めの言葉は彼女の耳を素通りしただけで終わっているようだ。



そんな思いもよらぬ弊害に対処し無事に何も買わずにプレイグ王国を抜けることができた。



─────────────────────────



プレイグ王国を抜けると青々とした自然がそり立っている。

ワルドの森に似ているが、ここはよく見る一般的な木が主であり、ワルドの森は巨木が主である。


そんな自然豊富なここは、『マハドアラ山(ざん)』。

太古の昔、それこそ今の世界にいる全ての生物が誕生する前。


元々あった巨大な山に隕石が降り落ち、クレーターのようになった。

そのクレーターのようなものはその地形から、

“神のゆりかご”と言われている───。



マハドアラ山につくなりそう春斗が説明をした。


「ハルト詳しいね、知ってたの?」


「いや全く…調べただけ、因みに隕石が落ちてクレーターみたいになったもののことを隕石孔って言うんだよ。」


そんな豆知識を添えながら春斗は謙遜した。

そしてまた歩きだした。


時刻は既に12時頃。立派なお昼時である。

しかし弁当や軽食を持っているわけではないため、マハドアラ山で食料を探すこととなった。

結局歩くことになった。


また暫く歩いているとソロが何かを感じ取ったかのように4時の方向に振り向いた。

しかし、春斗からすれば何か音がするわけでも見られている感覚がする訳でもない。けれどもソロは草むらをじっと見つめ、右手に剣を添える。


その時だった。

ソロが見つめていた方からなんと火の玉がいくつも飛んできたのである。

そしてソロはそれを剣に水を纏わせながら斬りきった。

全員はすぐに臨戦態勢へと切り替えた。


その火の玉の連弾が少し落ち着いた頃、アリアが両手を前に突き出した。


「地殻変動(ハラカニーヤ)!!」


相変わらずの大声でそう唱えると大地が勢いよく隆起し、小さな何かがいくつか飛び上がった。


それは小さな野うさぎである。

春斗が見ても何の不思議もない、ただの野うさぎである。


「ただの…うさぎ?」


春斗は無意識に少し緩んだ。

しかしそれを待ち望んでいたかのように野うさぎのうちの一羽が瞬時に口から火の玉を春斗に向けて飛ばした。


春斗は驚愕して反射で目を閉じる。そこにイヤモンが手を伸ばしその火の玉を一掴みした。

イヤモンの指と指の間からは煙が見える。

火傷をしたのだろう、しかしそんな事は気にもせずに真っ直ぐに春斗の方へむき笑いながら問いかけた。


「怪我はないか?」


「ない、けど、イヤモン、手はっ?!」


春斗の頭の中では火の玉の色から温度は約800~1200℃、それを握ると確実に火傷するどころか、再重症の火傷を負い、手が壊死するほどである。

なので春斗は今までに無いぐらいに焦っている。


春斗がここまで焦っているのに対してイヤモンは全く痛がっていない上、周りもそこまで心配していないように見える。


約一年間、この世界で過ごしてきたとしてもやはり怪我の価値観はまだ春斗は慣れないようである。


イヤモンの心配をしているのもつかの間、春斗の心配を知らない野うさぎ達が火の玉を作り出している。

アリア、ソロ、イヤモンがさらに構える────すると、


「あーっ!悪い子だ!!」


鈴の音のようなコロコロした女の子の声が響いた。

その声が響くと野うさぎは魔法の発動を止め、その声の主まで素早く向かった。


「もー!ダメって言ったでしょ?約束守れない悪い子にはもうベリーあげないよ!」


その声の主は見た目からして10歳ほど。肩につくかつかないかほどの淡い黄緑色のおさげに、裾にスズランの刺繍が施された彩度の低い紫色のワンピースがよく似合っている。


先程まで春斗達に攻撃的であった野うさぎ達は足元で飼い主を慕うかのように戯れている。

その女の子は小走りで春斗達の元へやってきた。


「うちの子たちがごめんなさい、わたし“スズ”!よろしくね!」


純粋な笑顔でそう言った。

まるで毒のない鈴蘭のように。

第15話、スズランの笑顔を読んでくださりありがとうございます。

誤字などがございましたら遠慮なく教えてください。

今後とも何卒よろしくお願いします!

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