コム逃走
「流石は噂のショウ・マスラギ。初めて会った時はこんなに強いとは思わなかったよ」
講堂訓練所に転移した俺に対しアリサ先輩は拍手しながら俺に近づいてくる。
「それはどーも。でも俺先輩には勝てませんよきっと。今回のは相手が弱すぎただけです」
「確かにカス、いやそこの黒ギャルは弱いかもしれんがそこのリノとアノーら頭はともかく実力は確かだ。言い逃れはできないぞ」
確かにリノとアノーはバカの割には強い方だったな。俺には敵わんし、キリさんにも敵わなんだろうな。そうだな、マルとモルクあたりといい勝負だろうな。
「そうですね。確かにあの2人は強かったですけど俺なんてアリサ先輩に比べればまだまだですよ」
「あまり謙遜するものではない。そんな謙遜されると私まで君と戦いたくなるではないか。もう時間がとれないのでできはしないけどね。さて。今は君のことよりまけたこいつだな」
アリサ先輩は俺たちに負けたコムに近づくとコムは
「ち、近づかないで!あーしに近づかないで!」
「だめよ。あなたは負けたの。約束通り退学、あら?」
アリサ先輩は急にきょろきょろと辺りを見回して何かを探している。なんだ?目の前にコムがいるのに何でどこに行ったかのような目を?
コムは講堂訓練所から出ていき、アリサ先輩は
「おい。あの黒ギャルカス女はどこに行った?」
コムとチームを組んだリノ、アノーに対して言う。
「アノーは誓って知らぬ。別にあの女などどうでもいい。アノーは清い女が好きだからな。あんな肌が黒い女子はタイプではない。よって興味がない」
アノーはいいきった後に1年A組の観客席に戻るとアリサ先輩はリノを睨みつけて
「リノ・トロンド。貴様の仕業か?」
「そうだよ。僕がやった。僕の異能は自分自身だけじゃなく1人の別の人間に対しても使えるから。でも他の生徒がコムのことを会長に言いつけていたら僕の異能でも意味はなかったけどね。僕の異能は1人の人からの認識を完全に阻害する異能だから」
リノはアリサ先輩に余裕そうに言う。リノよ。コムにそこまで庇う価値があるのか?
「確かにコムは授業態度は悪いし先輩にかなり舐めた口をきいてたよ。でもそれだけで退学だなんて可哀想じゃないか。もう少しチャンスを与えてほしい。僕からはそれだけだよ。でもコムを逃した罰はうけます」
「・・・君はいい生徒だな。いいでしょう。今回は君の覚悟に免じて彼女の退学は取り消しましょう。そしてリノ。君に対しての罰も不問とします。あなたのように良き生徒を裁くのは私の理に反します。ではこれにてエキシビションを終わりますので次の試合を再開してください」
アリサ先輩は講堂訓練所から出て行くと次の3年生チームの戦いを観戦する前に俺たち3人とリノは1年A組の観戦席に戻り、エキシビション後の一戦を見た後1年A組は教室へと戻った。




