魔法使い
「もう無理です!
これ以上魔法は連続で使えません!」
俺は無能の大将へ叫ぶ。
『無理なモノか!
貴様らには高価な『魔力回復アイテム』を注入しているのだぞ!
何なら昼夜問わず、魔法を連発出来るはずだろうが!』
大将は我々、魔法師団に「休まずマジックミサイルを連射しろ」と無慈悲に告げる。
「魔法詠唱に使うモノが『魔力』だけなら、支給された『魔力回復アイテム』だけで使い続けられるでしょう。
でも魔法詠唱には『魔力』の他に『体力』『魔法使いランク』『魔術回路』などが必要になります!
『魔法使いランク』が低い魔法使いは魔法の連続詠唱が出来ません!」
『ならばランドが魔法を使えば良いではないか!』と大将。
「え?」
『とぼけるでない!
貴様は『魔法師団』の『師団長』だよな?
貴様クラスの魔法使いであれば、魔法の連続詠唱も可能なのだろう?』
「あ、ある程度であれば・・・」
『ならば、やれ』
「お待ち下さい!
私の連続詠唱は五回が限界です!
魔術回路が焼き切れてしまいます!
焼き切れれば、もう二度と魔法が使えなくなってしまいます!」
『それがどうした?
王国と貴様、どちらが大切かなど考えるまではなかろう?
もう一度言うぞ?
やれ!』
大将がどこの馬の骨とも知れない男なら、俺だって従わないだろう。
だが、大将は国王の八男坊。
悪名高い『無能のハッサン』その人だ。