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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第6章 それぞれの想い

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第2話 真実を告げる時

「サクラ様っ? いかがなされました、サクラ様っ? 私の声が聞こえま――」

「だーいじょーぶ! ちゃんと聞こえてるってば、セバスチャン。今、どーゆー風に言えば、ちゃんと伝わるかなぁ~って、考えてただけだから」



 ……そう。

 問題はそれ。それなのよ。


 いったい、何から話せばいいのか……。

 私だって、神様がしてくれた話を、まだ、完全に理解してるワケじゃないのに。


 昔は、国王様も神様と同じ場所にいた、とか何とか……あの辺の話は、特にわかんないしなぁ……。



 ……仕方ない。

 その話をみんなにするのは、国王様に確認してみてからってことにして。

 とりあえずは、桜さんは私がいた世界へ飛ばされた――って話をしよう。



「えっと……あのね。やっぱり、さく――っ、……姫様は、私がいた世界へ飛ばされちゃったみたいなの。神様がそう言ってた」


「ピャ――ッ!?……ひ、ひひっ、姫様がっ!? サクラ様の世界へ、ですと――!?」

「……まさか、本当にそんなことが……」


 セバスチャンも王子も、そう言ったきり絶句してしまった。



 他の世界に行っちゃったんじゃー、手も足も出せないもんね。

 途方に暮れて、頭真っ白になっちゃっても、無理ないか……。



 ……さて。

 どーしよっかな……。


 姫様が、実は桜さんで、私がリナリアでした……って話は、どう伝えればいい?



 ……すぐには、信じてもらえないかも知れない。


 神様に会えたのも、話を聞けたのも、私だけなんだし。

 嘘ついてるって思われたら、そこで終わりだもの。


 証拠の品――桜さんが神様と話してた時の記録が、音声として残ってるとか、映像として残ってるとか、そういうものを示せるわけでもない。(携帯やスマホがないって、ホント不便よね……)

 証人として、神様を、ここに連れて来られるわけでもない。


 何も……ホントに何もないんだけど……。



 でも……でも、大丈夫。

 最後にはきっと、信じてくれる。受け入れてくれる。


 だって、異世界から来ました――なんて滅茶苦茶な話を、みんなすぐに信じてくれた。『嘘をつくような人には思えない』って、こっちが拍子抜けしちゃうくらいあっさりと、信じてくれたじゃない。



 だから、本当のことを話そう。

 こんないい人達を(だま)し続けるなんて、私には出来ない。



「あのっ!……考え込んでるとこ悪いんだけど……みんなにもうひとつ、言わなきゃいけないことがあるの」


 黙り込んでる二人に、思い切って声を掛けた。二人は同時に、私へと顔を向ける。


「……え……と……。前にセバスチャン、言ってたよね? 姫様は六歳の時に、一日行方不明になって……で、無事見つかったと思ったら、すっかり性格が変わってたって」


「は?……ええ、はい。その通りでございますが――?」


「それ、変だと思わなかった? たった一日で、そこまで性格変わっちゃうなんて……おかしいと思ったでしょ?」


「は……? はい。それは、まあ……。そのようなことがあるのだろうかと、思いはしましたが……。しかしそれは、姫様が何らかの理由で記憶を失くされ、そのせいで、以前のご自身さえも、忘れておしまいになられたからかと……」


「……うん。そうだよね。そう思うしかないよね。……でも、姫様が、一切記憶を失ってなかったとしたら、どうかな?」

「ピ?……記憶を……失くされては、いない……と申されますと?」


 セバスチャンは首をかしげて、不思議そうに私を見つめた。


「神様が言うにはね? 姫様は私と違って、六歳の頃に、記憶を失ってたりはしなかったんだって」


「君と違って?……それは、どういう意味だい? その言い方では、君もその年の頃には、記憶を失くしていたと……そう言っているように聞こえてしまうが?」

「えっ?……あ……えっと、それは……」


 口ごもる私の顔を、前のめりになって窺い、二人は、私の次の言葉を待ってるみたいだった。



 う……。

 ど……どーしよう?


 国王様のこと以外は、全部話そうって、決めたばかりなのに。

 いざとなったら、怖気(おじけ)づいたりして……。



 ……もう。情けないなぁ。

 みんなを信じてるんじゃなかったの?



「サクラ。もしや君は……君は、六歳の時にも、異世界に飛ばされた経験があるのか?……いや、違う。異世界に飛ばされたのは、六歳の時だけだろう? 今回の件では、異世界に飛ばされたわけではない。元いた世界に戻されただけだ。――そうではないのかい?」


「えっ?……ど、どーして……。王子が、なんで……そんなことを?」



 今から言うはずだったことを、なんで王子が言うの……?



「そうか、やはり。……やはり君は、あの時の――!」


「へ? 『あの時の』って、何のこ――……ひゃっ!?」


 (こば)(すき)も与えられないまま、突然、王子に抱きすくめられた。



 ……え……何?

 いったい、どーしちゃったの?


 ……なんでまた、こんなことになっちゃってんの!?



 あまりにも予想外な展開に、私はパニクった。

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