表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第6章 それぞれの想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/146

第1話 目覚めると、王子が

「サクラ、しっかりするんだ!……サクラ、君なんだろう? サクラ――っ!!」



 ……え……?

 この声……王、子?



 重い(まぶた)を、ゆっくりと開く。

 眼前に、心配そうに私を覗き込む、王子の姿があった。


「王……子……。どう、して……?」

「サクラ! 本当に君なんだな! よかった――!」


「えっ?……ちょ、ちょっと王子――!?」


 思いきり抱き締められていることに気付き、私は慌てて身を引こうともがいた。


 ……でも、全然ダメ。

 どんなに体を離そうと頑張っても、びくともしない。



「お、王子ってば、苦しい……。苦しいから、離――」

「嫌だ! 離さないッ!!」


 私の声をさえぎり、王子が大声で言い放つ。


「な、何言って……。離さないって、そんな――」


 王子の腕に力が加わり、ろくに身動きが取れないほど、強く抱き締められ……。

 恥ずかしさと混乱で、頭が沸騰(ふっとう)してるんじゃないかと思えるほど熱くなる。


「離したくない。……離すのが怖いんだ……。この腕を解いたら、また君は――私の前から消えてしまうかもしれない」


 聞いたことのない、心細げな王子の声に、私の胸はキュッと締め付けられた。

 心臓の音が、脳内でうるさいほど反響している。


「ど――っ、どうして、そんなこと……王子が心配する必要があるの? たとえ私が消えたとしても、桜さ――……姫様さえ戻って来るなら、その方がいいんじゃないの?」


 私の言葉に、王子の体がピクリと反応する。

 彼はそっと体を離すと、苦しそうに眉根を寄せ、唇を噛み締めて……それから、きつく瞼を閉じた。


「……私は、酷い男だ……。今更ながら思い知った」

「え?……王子……?」


「リアのことを、気にしていなかった訳ではないんだ。彼女の身を案じていたし、無事でいてほしいと、今だって願っている。……しかし、私は……君が目の前から消えてしまった瞬間から、君のことしか考えられなくなっていた。君が、君のいた世界へ戻って行ってしまったのではないかと……もう二度と、会えないのではないかと、そのことばかりが心を占めて……。リアも、今頃どこかで――慣れない場所で、心細い思いをしているかもしれないというのに、君のことだけしか――! 今まで、私なりに大切に思っていたつもりだったのに……たとえ一瞬であっても、忘れてしまうとは……。私は……私は、なんて薄情な男なんだ――!」



 王子……なんて辛そうな顔……。



 ……嫌な子だな、私……。


 王子が、こんなに罪の意識に苦しんでるのに……今ちょっと、ドキッとした。

 桜さんより、私の方を心配してくれてたこと……嬉しいって思っちゃった。


 ……最低だ。

 桜さんに幸せになって欲しいって、思ってたはずなのに……。



「……サクラ? 何故君が、そんなに悲しそうな顔を……?」


 王子の両手のひらに頬を包まれ、私の体に緊張が走る。

 不思議そうに覗き込む王子に、ハンパなく胸が高鳴って、苦しくて……。


「私のことを、気に掛けてくれているのかい? それとも、リアの身を案じて……?」

「両方です……って言いたいけど……。私は、王子が思ってくれてるほど、良い子じゃないみたい……です」


「……良い子じゃない? 君が?」

「私だって、桜さんには幸せになってほしいって思ってる。思ってるけど、でも……」



 桜さんの幸せは、王子との恋が実ることなんだ――って考えたら、すごく胸が苦しくなって……。



「サクラ……さん?」


 王子のつぶやきに、ハッと我に返る。



 ……そうだ。

 私まだ、姫様が桜さんなんだってこと、話してなかったんだっけ。


 ……でも、どう言ったらいいんだろう?

 いきなり、『実は私がリナリアでした』なんて言ったって、信じてもらえるかどうか……。



「サクラ?……もしかして、君が消えている間に……わかったことがあるのか?」

「ピョッ!?――誠でございますかっ、サクラ様!?」



 ……ん?


 ……あ。なーんだ。

 セバスチャンもいたのね。



「……うん。わかったことは……ある。でも、私も一度にいろんなこと聞いたから、まだかなり混乱してて……。上手く説明出来る自信、ないんだ……」

「聞いた? 聞いたって誰に?……まさか、神様に?」


「はい。そのまさかです。私、神様に会いました。会って、いろいろ聞きました」


「ピャピャーーーッ!?……な、なな――っ、……なぁんでぇすとぉおおおーーーーーッ!?」


 セバスチャンが飛び跳ねながら、翼をバッサバッサと羽ばたかせている。



 よっぽど驚いたんだろうけど、羽根が抜けて、空中をふわふわ(ただよ)っちゃってるし……。


 だ、大丈夫なのかな?

 あんまり抜けちゃうと、ハゲちゃったりとかしないかな……?



「か、神様にお会いしたと申されましたか!? 誠でございますかっ、サクラ様っ!?」



 ……ああ、また羽根が……。



 勢いを増す羽ばたきに、ますます心配になって来て……四方八方に飛び散って行く羽根を、思わず目で追ってしまう。



 あー……セバスチャンがハゲちゃったらどーしよー……。



 ――って、いやいや。

 ここでセバスチャンがハゲるかどうかの心配してても、しょーがないんだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ