表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第4章 ルドウィン国の王子

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/146

第18話 ザックス王国のディナー

 ……え。

 これだけ……?



 テーブルに並べられた料理を見て、まず最初に抱いた感想は、そんなものだった。



 だって……姫様が食すものって言ったら、豪華で高価で、食べきれないほどの品数や量があって……って感じだと思ってたのに。

 目の前にあるのは、パンみたいなものと、スープみたいなものと、チーズみたいなもの。それから、淡いトパーズ色した飲み物(ジュースかな?)だけだった。



 これは……量が少ないのも気になるけど、栄養バランス的にも、どーなんだろ……?



「え……っと……。夕食っていつも……こんな感じなの?」

「――は? こんな感じ……と申されますと?」


「だから、その……パンみたいなこれと、スープみたいなこれと、チーズみたいなこれと……あと、飲み物?――これで全部?」


 それぞれ食器を指差しながら、セバスチャンに訊ねる。


「はい。ご夕食は、毎日このようなメニューでございますが……」

「……そぉ……なんだ……」



 ……うぅ……。

 育ち盛りの高校生に、毎日これだけってゆーのは……ちょ~っと辛いかも。



「あの……何かお気に召さないものが、ございましたでしょうか……?」


 常に控えめなエレンさんが、珍しく言葉を発した。心配そうに、私の様子を窺っている。


「あ――。ううんっ、違うの! 気に入らない、とかじゃないんだけど……。ただ、私の世界での夕食とは、結構違うんだな~……って、ちょっと思っちゃっただけなの!――うん。それだけだから、気にしないで?」


「え――!……あ、あの……『私の世界』……とおっしゃいますのは……」



 ……ん?

 どーしたんだろ、エレンさん? 王子の方をチラ見しては、私に何か言いたそうに……。


 ……って、ああ! そっか!

 二人にはまだ、説明してなかった。



「大丈夫だよ、エレンさん。王子には、私が姫様じゃないってこと、とっくにバレてるから」


「「――えッ!?」」


 今度はアンナさんも加わっての、二重奏。


「ば、ばれてるとおっしゃいますと……その、あの~……。も、問題ございませんのでしょうか……?」


 心配そうなアンナさんに、私は笑ってうなずいた。


「うん。大丈夫みたい。王子ってば、思ってたよりずーっと、話のわかる人だったよ」

「……さ……さようでございますか……」


 ホッとしたような表情を覗かせつつ、アンナさんもエレンさんも、まだ少し不安そうだった。



 二人が心配するのも、無理ないと思う。

 だって、下手したら、国際問題にだってなりかねないんだもんね。



 でも、今はそんなことより、食事食事っ!

 お腹空き過ぎて、もー限界なんだからっ!



「じゃ、いっただっきまーっす!」


 両手を合わせてから、まずはスプーン(ここでもそう言うのかは不明)を手にして、スープを口へと流し込んだ。



 ……おっ? なかなか美味しい!



 スープって言うより、ポタージュって感じかな?

 具はどれも小さくて、いったいどんな食材なのか、イマイチわかんないけど……。


 でも、マズイって感じるものは全然なくて、ちょっと安心した。



 次に、パン(見た目はまさにパン)を一口大にちぎって、口の中へと放り込む。



 ――おお!

 これもなかなか、私好み。


 かなり素朴な味なんだけど、外はカリッと、中はふわふわ~。

 噛み締めると、意外にもちもちっ!――って感じもあって、めーっちゃ美味しい!



 じゃあ、このチーズっぽいのはどーかな……?



 手を伸ばしたところで、幾人かの視線を感じ、ハッとして固まる。

 そうっと顔を上げ、恐る恐る周りを見回すと……。


 目の前に座っている王子は、まだ食事に手をつけていないみたいで、唖然(あぜん)とした顔で私を見つめている。

 セバスチャンもアンナさんもエレンさんも、王子と同じような顔をして、私を凝視していた。



 ……う。ヤバイ。

 私、この世界では非常識とされるようなこと……しちゃったのか、な?



「えっ……と……。私の食べ方……何か、マズかった?」


 ビクビクしつつ訊いてみると、みんな一瞬、ハッと目を見開き、慌てて首を横に振った。


「いや。夢中になって食べているものだから、思わず見入ってしまっただけだよ。そこまでお腹を空かせていたとは……。気がつかなくて悪かったね」


「…………」



 うぅっ、めっちゃ恥ずかしい……。

 つまりは、『ガッついてた』ってことだよね……?



「ご、ごめんなさい。もうちょっと、落ち着いて食べます……」

「いいんだよ、遠慮しないで。正直なのは、悪いことではないしね」


 グラスを顔の前にかざし、王子は私にウィンクする。



 だからやめてっ、そーゆーキザなことするのは!

 慣れてないから、恥ずかしいんだってばっ!



 私は王子の方を見ないようにしながら、黙々と料理を食べ進めた。



 ――と、それはさておき。


 姫様に仕えてる人達って、そーゆーものなんだろうな~とは思うけど。

 食事してる間中、ずーっと横で、立ったまま控えているセバスチャン達が、気になって気になって仕方ない。



「……ねえ、セバスチャン?」

「はい?」

「セバスチャン達は、ここで一緒に食べないの?」


 思いきって訊ねたら、セバスチャンはまん丸な目を、更に大きく見開いた。


「ピャヒャッ!?……ななっ、何を突然申されます!? 私どもと姫様とでは、身分が違います。ご一緒になどと、あり得ません!」


「でも、私は姫様じゃないし。ここに国王様がいるってゆーなら、話は別なんだろーけど、いないんだから、べつにいいんじゃない?」

「それは……。しかしですな。ギルフォード様もいらっしゃるのでございますから――」


「ん? 私はべつに構わないが?」

「ピギャッ⁉……ま、またしてもそのようなお(たわむ)れを……。ギルフォード様まで、無理をおっしゃられては困ります」


「無理? どーして無理なの? 王子もいいって言ってくれてるんだから、みんな一緒に食べようよ」

「なりませんッ!!」


「え~っ? どーしてー?」

「どうしても、でございます! ご主人様と使用人が、共にテーブルを囲むなど……とんでもないことでございますぞ?」


「とんでもないって……何がとんでもないの?」

「むむぅっ――。……と、とにかくですな、ならぬものはならぬのです! この国のしきたりですので……。サクラ様も、どうかご理解くださいませ」



 セバスチャンも頑固だなぁ……。



 まあ、困らせたいワケじゃないし。

 この国にはこの国の、ルールってものがある……ってのも、わからなくはないんだけど。


 私の感覚じゃあ……慣れそうもないな、こーゆーの。

 食事は、仲の良い人達と一緒に、お喋りしながら――ってのが、一番楽しいと思うもん。


 ……高貴な身分の人達って、ホント、窮屈(きゅうくつ)でめんどくさいわ……。



 みんなで楽しくディナー……というのは、渋々諦めて。

 その後の私は、ひたすら食べることに専念した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ