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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第1章 穏やかな日常

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第4話 突然の告白、そして別離。

「え……? あき、と……?」


 びっくりして、マジマジと晃人を見返す。

 その顔が、たちまち真っ赤に染まって行って……。


「ち――っ、違うからな!? 今のは昔の話で、今の話じゃないぞ!? おっ、俺が今でもおまえのこと好きだと思ったら、大間違いだからなっ!?」


 赤い顔のまま言い放つと、晃人はプイッと横を向いてしまった。


「……でも……今のことじゃないにしても……。晃人って、小さい頃私のこと好きだったんだ?」


「う――っ。……ま……まあな。昔だけどな。ホントにホントの昔だけどなっ!」


「……へぇ~……」


 顔をそむけたままの晃人を、私はボケ~ッと、しばらくの間眺め続けた。



 十秒……二十秒……三十秒くらい経った頃、


「なんだよ!? 言いたいことあるなら言えよ!!」


 無言の状態に耐えられなくなったのか、晃人が大声を上げた。


「いや……言いたいことってゆーか、訊きたいことってゆーか……」


「訊きたいこと?」


「……うん。晃人って、私のどこが好きだったの?」


「ど――っ、どこがって……」


 『そんなこと急に訊かれても』。

 一瞬、そう言いたげな顔をして……それでも晃人は、照れ臭そうに答えてくれた。


「おまえは覚えてないんだろうけど……。おまえさ、ガキの頃はすっげー大人しくて、泣き虫でさ。いっつも俺の後をついて来て……めちゃめちゃ可愛かったんだぜ?」


「……大人しい? 泣き虫?……何それ。誰の話?」


「だからおまえだよ! ガキん時のおまえ!」



 ……嘘。

 マジで私の話なの?



「私、人前で泣いた記憶なんてないんだけど?」


「だっから昔だって言ってんだろ!? 今のおまえにそんな要素ないってことくらい、嫌ってくらいわかってんだよ!」


「……なるほど。そりゃそうか」



 ……ふむ。

 小さい頃の私は、大人しくて泣き虫だったのか。


 我がことながら信じられないけど、晃人がそうだったって言ってるんだから、間違いないんだろうな……。



「……まったく。神隠しの前と後じゃ、まるっきり別人だよ。最初は俺、マジで偽者なんじゃないかって、疑ってたくらいなんだから」


「え――」



 ……偽者?



「あ――、いやっ、今も疑ってるワケじゃねーぞ? 今はそんなこと思ってないけど――っ」



 ……なんだろう。胸がドキドキする。



 晃人が横であれこれいい訳してるけど、私の耳には全然入って来なかった。



 ――偽者?

 私が……別人?


 そんな……そんなことって……。



 軽いめまいがして、私はよろめいて背後の御神木に寄り掛かった。


「桜っ?」


「……だ――大丈夫。……ちょっと、めまいがしただけ……」


「けど……顔色悪いぜ? やっぱ今日はもう帰るか?」


「大丈夫だってば。晃人、心配し過――ぎ……?」


「……桜?」



 ――また、だ。

 また聞こえた。


 私を呼ぶ声――ううん、声じゃないのかも知れないけど……。


 誰かに……どこかへ呼ばれてるような、そんな感覚が――……。



「――っ!?」


「桜っ!?」


「……やだ――っ、何これ!?」


 体が埋まって――ってゆーか、めり込んでくみたいな……。

 木に、吸い込まれてくみたいな……。


「桜っ!!」


 晃人が強く、私の手をつかんだ。


「晃人っ! 何これ!? 何なのこれっ!?……体が――体が木の中にっ!」


「わかんねーよ!! わかんねーけど……っ!……桜、絶対に俺の手離すなよっ!?」


「離すなよって、でも――っ! 勝手に体がっ!!」



 左手が――左足が――左側の顔が、どんどん木の内部へと吸い込まれていって……自分じゃもう、どうすることも出来ない!



「晃人……晃人ぉッ!!」


「桜ぁあああーーーーーッ!!」


 晃人につかまれてる右手だけ残して、私の体は木の内部へと入り込んでしまった。



 ……何、ここ?

 木の中……って、真っ暗でだだっ広い空間なの!?



『桜!! 桜っ、桜ぁああーーーーーッ!!』


 晃人は私の手を離すまいと、外側から必死に踏ん張ってくれてるみたいだった。



 ……でも、ダメ――!


 凄い力で後ろに引っ張られてて、そう長くは、ここにとどまってられそうにない。

 まるで、()()()()()が私を捕らえてて、どこかへ飛ばそうとでもしてるみたいだ。



「晃人……」



 手が……離れる……っ!



『桜ぁあああああーーーーーッ!!』



 完全に木の内部へと吸い込まれた私は。

 晃人の声が遠ざかるのを感じながら、真っ暗な闇の中、下へ下へと落ちて行った。



 ……何これ!?

 ホントに何なのこれっ!?

 木の中がこんな広い空間だなんて、あり得るワケ!?


 ――ってゆーか、私、どこまで落とされるの!? いつ下に着くの!?


 いやいやっ!

 この勢いで下まで行ったら、死んじゃうんじゃないの!?



「冗ッ談じゃないわよぉおおーーーーーッ!!」


 そんな叫びも空しく響く中。

 私は真っ暗な空洞を、重力に従ってひたすら落下し続けた。

第1章はここまでとなります。

お読みくださりありがとうございました!

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