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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第4章 ルドウィン国の王子

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第12話 セバスチャンに相談

「じゃあもう、セバスチャン呼んでもいいですよね? 王子の力のことは秘密――ってこと以外、話はないんでしょう?」



 早くセバスチャンに、間に入ってもらわないと……。

 色んな意味で疲れる……すっごい疲れるっ!



「ああ。私の話はそれだけだよ。でも君の方は……どうすればいいのかな?」

「……は? 君の方は……って、どーゆーことですか?」


「君はリアじゃないと、私が気付いてしまったことだよ。セバスに言ってもいいのかい? それとも、騙されたフリをして――君をリアだと思い込んでいるように、振る舞った方がいい?」


「あ、そっか。……どーしよー……」



 王子にバレたって言っちゃった方が、姫様のフリしなくて済むし、私としては楽なんだけど……。

 でも、セバスチャンの立場からしたらどうなんだろ?


 私が別人ってわかっちゃったんだから、次は『じゃあ、姫様はどこに?』って話になるよね?

 そんな風に、王子から直接訊かれたとしたら……セバスチャンは、本当のことを話さざるを得なくなるだろうし……。


 ……って、あれ?


 そー言えば……王子って、私が姫様の身代わりをしてることについて、どう思ってるのかな?

 どーして、私が姫様のフリをする羽目になったのか、知ってる……ワケないよね?


 ――うん。だって、その辺りの事情は話してないし。


 だとしたら王子は、今、姫様はどこにいると思ってるんだろ?



「あの……王子?」

「――ん? なんだい?」


「えっと、王子は……どーして私が、姫様のフリしてたのか……とか、そこら辺の事情って、わかってるんですか?」

「どうして君が、リアのふりをしていたのか?……いいや。詳しい事情はわからないが――」



 ……ですよね。

 話してませんもんね……。



「ただ、あんなことがあった後だから……たぶん、避けられているんだろう? 私に会いたくないから……リアは君に、代わりに会ってくれるよう頼んだ。違うかい?」

「……え……っと、それは――」



 ……うぅ、どーしよー……。何て言えば……。

 『違う』って言ったら、ホントの理由を訊ねられるだろうし……。



 私が返事に困ってると、微かに笑みを浮かべてから、王子は少し寂しそうにうつむいた。


「言いたくないのなら、無理に言う必要はないよ。リアが会いたくないと思っているとしても、それは仕方のないことだ。傷つけてしまったのは、私なのだからね。会う会わないの決定権は、リアにある。こちらが無理強い出来るものではないのだから」


「ちが――っ!」


「……え?」



 ……違う。

 姫様は、王子に会いたくないんじゃなくて、会えないんだよ。

 姫様は今……会いたくても会えない場所にいるんだから。


 ……たぶん、だけど……。



「詳しい事情は、今は言えませんけど……。でも、これだけは信じてください。姫様は、王子に会いたくないワケじゃありません。きっと、会いたいと思ってます。――ううん。絶対会いたいと思ってます!」


「……リアが、君にそう言ったのかい?」

「えっ?……い、いえ……。直接聞いたワケじゃ、ないですけど……」


「だったら、どうしてそう思うの?」

「……どうしてって、それは……」


 私は言い(よど)み、ハッキリさせられない悔しさを、唇を噛んで堪えることしか出来なかった。


「あのぅ……。お薬は、塗り終わりましたでしょうか? そろそろ、そちらを向かせていただいても……よろしい、ですかな?」


 私達が揉めていると思ったのか、それとも、薬を塗るだけにしては、時間が掛かり過ぎていると、しびれを切らしたのか。

 セバスチャンが、恐る恐る声を掛けて来た。


「あ――! ご、ごめんねセバスチャン!……えっと……あ、あとちょっとだけ待って?」

「はっ、はい! かしこまりました」


 いつまでもこうしてるわけには行かないと、私は慌てて王子に向き直った。


「あの……。ちょっとだけ、セバスチャンと話してから、王子にバレちゃったこと、知らせるか知らせないか……決めてもいいですか? 自分の考えだけで決めちゃうのは、マズイと思うんで……」


「ああ、構わないよ。では、その話がまとまるまでは、君をリアだと思っていることにしよう」

「はい。すみません……。じゃ、じゃあ私、セバスチャンと話して来ますね」


「わかった。待っているよ」


 ぺこりとお辞儀してから、セバスチャンに小走りで近付く。


「ごめんね、セバスチャン。待たせちゃって」

「い、いいえ! 私こそ、申し訳ございませんでした。配慮が足りず……誠に、お恥ずかしい限りでございます」



 ……ああ。

 まだ、王子に言われたことをまともに受け取って、気にしてたのね……。



 まったく、王子も人が悪いんだから。

 いくら、セバスチャンに聞かれたくない話があったからって、あんな言い方しなくても……。

 彼なら、もっと上手い口実、思い付いただろうに……。



 ひたすら恐縮してるセバスチャンを、気の毒に思いながら、私は小さくため息をついた。


「セバスチャン。そんなに気にしなくても大丈夫だよ。王子のあれ、冗談みたいなもんなんだから」


「いいえ! ギルフォード様のお顔は、真剣でございました!……思えば、姫様も今年で十六……。いつまでも、ご幼少の頃と同じような感覚でお仕えしておりました、私が悪いのでございます。……ピュルルルル……」



 ……ぴゅ、ぴゅるるるるって……。


 一応、()いてるつもりなのかしら?

 それとも、ただ()いてるだけなのかしら?


 この世界の鳥って……ホント、計り知れないなぁ……。



「だからっ、気にし過ぎだってばセバスチャン! 早く浮上して? 私、あなたに訊きたいことがあるの!」

「ピュルルル……ピ?……私に訊きたいこととは、いかなることでございましょう?」


「あの……あのね。もし、私が……王子に正体バレちゃった~って言ったら、どーする?」


 セバスチャンは、一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、ピタリと固まった。

 それから数秒後、フリーズ解除して。


「ば……バレて……。ギルフォード様に、サクラ様が、姫様ではないと……知られてしまった……のですか……?」

「え?――あ、いやっ、そーじゃなくて……。もしもよ! あくまで〝もしも〟の話だってば!」



 ……なーんて。

 実際は、バレちゃってるんだけどね……。

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