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桜咲く国の姫君~神様の気まぐれで異世界に召された少女は王子と騎士見習いに溺愛される~  作者: 咲来青
第4章 ルドウィン国の王子

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第3話 王子様登場!

「カイルの姿も見えなくなりましたな。では、城へ戻――」

「私、もうちょっと探したい物があるの!」


 セバスチャンの言葉をさえぎるように、早口で言った。


「ピャッ!?――っさ、サクラ様!?」

「ごめんね、セバスチャン。もうちょっとだけ付き合って?」


「つ、付き合ってと申されましても……」

「お願い! 私のが見つかったんだもん。姫様失踪の手掛かりだって、ここに落ちてるかも知れないし――」


「姫様の? 何故、姫様失踪の手掛かりが、神様のお側近くに……?」

「何故って、私が神様の奇跡が原因で、ここに来たとするなら、姫様だって、神様の奇跡で向こ――……っ、あ――」



 ……ヤバイ。



「姫様が、神様の奇跡で……? それはいったい――」

「あ、いやっ、そーじゃなくてっ! 今のはちょっと、口がすべっ――いや! そーでもなくてっ!」



 うわわわわ……。

 何言っちゃってんの私っ?



「まさか……。もしや姫様は、神様の奇跡によって……サクラ様のいらした世界に、行ってしまわれた……と?」



 ――って、なんでそんなに察しがいいのよ?

 セバスチャンらしくないじゃない!



 私はいよいよ焦って、どうにかしてごまかせないものかと、言葉を重ねた。


「いやいやっ、そうと決まったワケじゃないしっ! わっ、私が勝手に……ただなんとなく、そーなんじゃないかな~なんて、思っちゃっただけだしっ!」


「……姫様が……サクラ様の……。そしてサクラ様が……こちらに……」


「いや、だからっ!――ねえ、聞いてる? セバスチャンっ!」


「ピ……ピィイイイーーーッ!……どっ、ど、どどどっ、どぉおーーーしたらよいのだーーーッ!? ひっ、姫様が、姫様が姫様が姫様がぁああああーーーーーッ!」



 ……あぁ……。


 セバスチャンが壊れちゃった……。



「お……落ち着いてセバスチャン! まだそうと決まったワケじゃないんだってば! 私の勝手な想像! 想像でしかないんだから、壊れないでーーーッ⁉」



 あーもうっ!

 どーして私はこう、うっかり者なのよーーーっ!?



 確信持てるまでは、言うつもりなかったのに……。

 確信持てるような物を探すために、わざわざここに来たってのに……。



 ……はぁ。

 ホントにもう、どーしよー……。



 まだパニクってるセバスチャンを横目に、私は大きなため息をついた。


 すると、遠くから、どこかで聞いたことがあるような音が響いて来て……。

 それがだんだん、だんだん……大きくなって……。


 振り向いた私の目に、それはいきなり飛び込んで来た。


「ひゃあ…ッ!?」


 私の視界を(おお)ったのは、大きな黒い影。

 その影を避けようとした私は、思い切り横に跳び、地面に手をついて側転――しようとしたんだけど。



(――ダメ! この格好で側転なんかしたら……!)



 一瞬の迷いが災いした。

 私は体勢を崩し、そのまま横向きに倒れ込んだ。


「……ッ!」



 ……()ったぁ……。

 腕を、ちょこっと()りむいちゃったみたい……。



「サクラ様っ!? サクラ様お怪我はっ!?」


 セバスチャンが大慌てで寄って来て、おろおろと私を囲むように回り出す。


「お……落ち着いて、セバスチャン。ちょっと擦りむいただけ。大したことないから」


 私は体を起こし、まずはセバスチャンを落ち着かせようと声を掛けた。

 それからキッと上方を睨みつけ、


「ちょっとそこの人ッ! 真っ暗の中、いきなり背後から現れるなんてどーゆーつもりッ!? 危ないじゃない! しかも馬って……。あんまりびっくりして、転んじゃったでしょ! どーしてくれるのっ!?」



 いきなり現れた黒い影。

 それは、大きな黒い馬だった。


 そして馬上には、当然、またがった()()が――。



「何黙ってるのよ!? こーゆー場合、まず謝るのが、筋ってもんじゃないの!?」


 馬から降りもせず、いつまでも頭上から見下ろしてる態度にも腹が立って、私はその誰かに向かって怒りをぶつけた。

 それでもまだ、馬上の誰かは一言も発することなく、こちらをじっと見つめている様子だった。



 あーもーっ!

 さっさと降りて来て謝りなさいよ!


 どこの誰だか知らないけどっ!



「――ッピ!?……あ……貴方様は、もしや……」


 ひたすらムカついてる私の横で、突如、セバスチャンがわなわなと震え出した。


「……え? もしかしてこの人……セバスチャンの知り合い?」



 だったらマズかったかな……あんな言い方しちゃって。


 ……で、でもっ。

 セバスチャンの知り合いだろーと誰だろーと、どー考えたって、いきなり突っ込んで来た方が悪いんだしっ!


 私、間違ったこと言ってない……よね?



 内心ドキドキしていると、ようやく馬上の人が口を開いた。


「ああ、やはりセバスか。こんな時間に、こんな場所で……。いったい、どうしたというんだ?」

「そっ、それはこちらがお聞きしたいことでございます! このような時間に、このような場所で……供も連れずに、たったお一人でなどと……! まったくもって、前代未聞(ぜんだいみもん)でございますぞ、ギルフォード様!?」



 ……え?

 ぎる……、ぎるふぉー……ど?



「……ええっ!? この人がギルフォード王子ぃっ!?」


 私は心底驚いて、大声を上げてしまった。

 するとその人――ギルフォード王子は、馬からひらりと降り立って、


「久し振りだね、リア。こんな場所に君がいるなんて驚いたよ。こちらも、急なことで驚かせてしまったようで、すまなかったね」


 ポカンとしている私の前に右手を差し出すと、申し訳なさそうに微笑した。

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