表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史いろいろ話  作者: 辻風一
水戸黄門
13/21

水戸光圀は副将軍ではなかった?

 ドラマの「水戸黄門」では、水戸黄門が越後の縮緬問屋ちりめんどんやの主人と身分を隠して諸国を漫遊し、各地で騒動に巻き込まれて事件を解決すべくくわしく調べあげます。

 そして、クライマックスで黄門様一行と悪代官などの悪者たちと大立ち回りとなり、格さんが三つ葉葵の印籠いんろうを取り出し、


「このお方をどなたと心得る!おそれ多くも先の副将軍、水戸の光圀公にあらせられるぞっ!」


 これを聞いた悪代官たちは驚いてその場に平伏。威張っていた代官や悪徳商人も一網打尽に捕らえられて処罰されてしまいます。


「代官ともあろう者が贋金にせがね作りに加担するとはあきれた奴らだ。恥をしりなさい!」

「しかし……おそれながら黄門様……」

「なんじゃ? 申してみい」

「黄門様って、本当は副将軍ではないですよね?」

「ギクゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 現実の悪人はなかなか退治されにくいのに、「水戸黄門」の時代劇では一時間でスッキリ解決されるので、視聴者に人気を博したドラマでした。

 多くの人が水戸光圀の肩書は副将軍だと思っていると思います。ですが、本当は「副将軍」ではないのです。これはどういうことでしょうか?


 水戸光圀の正確な身分は先の章でも紹介した通り「権中納言」です。ドラマの水戸黄門でも、


「このお方をどなたと心得る!おそれ多くも先の権中納言、水戸の光圀公にあらせられるぞ!」


 と、「権中納言」と名乗っていました。しかし、中納言では一般的に馴染みがなく、西村晃氏の時代にドラマのスタッフがわかりやすく「副将軍」に変えたようです。

 しかし、石坂浩二氏が黄門様を演じるときに、「なるべく史実に忠実に演じたい」という意向をくんで「中納言」に戻り、里見浩太郎氏もそれを引き継ぎました。


 しかし、「副将軍」と名乗っていた時代が多く、再放送も多く放送されるので多くの人が黄門様を「副将軍」と思う方が多いようです。

 さらにややこしいのですが、水戸黄門は幕末から明治にかけて「水戸黄門漫遊記」という講談が人気を博し、そちらでは黄門様を「副将軍」と名乗っていました。


 これは江戸時代のベストセラー小説である十返舎一九作の「東海道中膝栗毛」などを参考にしたもので黄門様が助さん格さんではなく、俳諧師と旅をして世直しをする話です。

 その「水戸黄門漫遊記」の講談師は謎の人物で、名前も正体もわかっていません。

 なので、水戸斉昭が息子の一橋慶喜を将軍職に就けるために、水戸家は天下の副将軍であると世間に思わせるために、先祖の水戸光圀をつかってプロパガンダに使われた……という説があります。これはあくまで俗説であり、真偽はわかりません。


 徳川幕府が倒れて薩長土肥からなる明治政府が確立すると、「徳川政権は最悪な時代だった」と流布して歴史の評価も変えました。

 政治家のパターンとして前政権をおとしめる風聞を流して自分たちを持ち上げるという方法ですね、まさに勝てば官軍、負ければ賊軍。政治の勝者が歴史を自分たちに都合よく変えていくものです。最近の研究で江戸時代の正確な評価がされ始めています。


 徳川家康はタヌキオヤジ、徳川綱吉は犬公方、幕末の老中たちは無能ぞろい……なんていうのも、実態は違うようです。

 司馬遷しばせんのように、政治家に関与されずに正確な歴史がつづられて欲しいものです――


 そんな時代であっても、明治政府は「水戸黄門漫遊記」には別格として寛容でした。

 これは元になった本物の水戸光圀が天皇を敬い、楠木正成を忠臣と称賛し、水戸学が尊王論や天皇制論に深く根付いていることであり、幕末の志士たちにも水戸家はおろそかに出来ない風潮があったのかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ