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閑話
~閑話~
屈強な肉体の男が一枚のカードを手にし、武田の家を見上げていた。
黒野光貴か……。奴に守られるなら香坂律も安心だろう。奴になら託せる。この想いを。偉大なる兄を越えるために欲していた香坂律だが、こうなるのもまた運命。ならばこの運命、甘んじて受け入れよう。
もう一度、男は自らの手元を眺めた。カードには『Dark Dirty Organization』そう書かれていた。
いつかこのカードをあいつに渡すときも来るだろう。だが、今はよそう。そのつかの間の平穏を噛みしめるが良い。
男は静かにその場所を後にするのだった。