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死者の記憶を継ぐ者 〜巻き込まれ転生で幽霊になった俺は、王女に未来を託す〜  作者:
逃げた者が戦う準備を整えた章

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軍資金

魔女曰く、今回掘り出された金銀貨や魔石は、そもそもの素材価値だけでは無いらしい。


「美術的価値、ね」


机の上に並べられた古銭の一枚を、魔女が摘まみ上げる。


「この刻印、今の王国成立前の物よ。当時の工芸技術は今より高い物も多いの」


光に翳す。


「つまり、ただの金貨じゃ無くて“骨董品”としての価値が付く」


なるほど。


「それに、この魔石」


別の箱を指す。


「今では採掘されない鉱脈の物が混ざっているわ。魔力保持率も高い」


……つまり?


「かなりの金額になるって事よ」


魔女が、にやりと笑った。


とは言え。これをそのまま市場に流す訳にも行かない。


「一度に出したら、足がつくわ」


そりゃそうだ。


突然、大量の古銭や希少魔石が流通し始めたら、誰だって不審に思う。


「だから、ごく一部を正規市場へ」


そして――


「残りは、各街々の裏で売り捌く」


裏、ねぇ。


「時間は掛かるけど、それでも……」


書類に目を落とす。


「お腹いっぱいの金額になる予定よ」


軍資金の、心配は無い。

少なくとも、当面は。


その金を元に、軍備の強化が始まった。


防壁の補修。見張り塔の増設。

弓や弩の追加発注。

そして――魔法訓練用の資材。


「資金が有るだけで、出来る事が違うわね」


魔女が、感慨深そうに呟く。


今までは、何をするにも“優先順位”を付けて、諦める物を決めていたらしい。


今回は違う。必要な物を、必要なだけ。

……まあ、限度は有るんだろうが。

それでも、今までとは雲泥の差だろう。


そんな折だった。


「おーい!」


聞き覚えのある声。


ん?振り返ると――ネルだ。


「帰ったぞー!」


……だけじゃ無い。

後ろに、三つ。いや――四つ?


幽霊の影。


「増えてんじゃねーか!」


思わず、突っ込んだ。


「いやー、結構居るもんだな!」


得意げに、胸を張る。


「紹介するぞ!」


……マジかよ。


後ろの幽霊達は、どこかぼんやりとしているが、ネルやユーシア、ミーヤ程では無いにせよ、形は保っている様だ。


つまり――まだ“残っている”。


「幽霊軍団、第二陣!」


お前、本気でそれ作る気か……

戦力が足りない今、この“異質な戦力”がどう転ぶかは――分からないな。

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