第8話 フィリア、神器解放
「アデル、お前……」
「……フィリア、行こう」
「え、ちょ、ちょっと、あの人は?」
「いいから、行くぞ」
ギムザが何か言おうとしていたが、もう知ったこっちゃない。
正直ギムザには心底失望してしまった。
3年間一緒に暮らして、良いヤツだと思ってたのに。
結局はギムザも根っこは犯罪を犯した追放者ってことだったんだな。
フィリアが話を聞いてみたらと言うのを無視して、ここから離れることにした。
俺はフィリアを抱き抱える。
「一気にウラヌスまで連れてってやる。ちゃんと捕まっとけ」
「捕まっとけって、アデル、何する、のーよぉー!?」
ここからウラヌスまでは、普通に走れば5日ぐらい。
なら天界力を高めてやれば、多分2日で着くだろう。
天界力を高め、一気にウラヌスに向けて走り出す。
フィリアを天国に返したい気持ちもあったが、今はそれ以上に、一刻も早くギムザの顔が見えなくなるまで遠くに行きたかったのだ。
速過ぎると文句を言うフィリアを無視して、俺は天界力が尽きるまで走り続けるのであった。
◇◇◇◇◇
ウラヌスに続く森の中を走りに走った俺は、天界力も体力もカツカツになり、一度休憩を挟むことをフィリアに提案する。
「休憩したほうがいいわ。いや、絶対して!」
抱えられてるだけのフィリアは、疲れてるはず無いのに、何故か怒り気味で休憩に賛同してくる。
ほんと、コイツって怒ってばっかりだよな。
疲れないのかな?
まぁ、いいや。腹減ったな。
俺は休めそうな場所を探し、フィリアをその場に置き、食料になる物が無いか近くを見に行く。
「もう、髪がぐちゃぐちゃ! アデルって女の子の気持ちとか、ほんとわかってない!」
運んで貰ったフィリアだが、その運び方にはだいぶ文句があった。
あまりにも速過ぎる移動で髪はボサボサになり、アデルの腕で抱えられてた部分は力強く握られて、少しアザになっている。
王女として育てられたフィリアにとって、この扱いはひどく耐え難いものであったのだ。
「ほんと野蛮。現地人ってみんなこうなのかしら? 常識……無いって思うけど、しょうがないのよね、教えてくれる人居ないみたいだし」
帰って来たら文句を言ってやろうと思ったが、アデルの生い立ちを考えれば仕方ないとも思い、文句を言わないことにする。
フィリアが初めて話す、アースランドの現地人アデルは、戦闘に特化した神器が使えるデリカシーの無い野蛮人で、悪魔のように恐ろしいとも思えたが、なんだかんだ自分を思ってくれる、優しい人だと思えたのである。
「文句は言わないけど、これじゃ体が持たないわ。やさしく、やさしーく教えてあげないとね」
フィリアはウラヌスまでの道のりをこれからもアデルと行動することになる。
だから休憩中に優しくダメだよと言ってあげようと思ったのだ。
「よし、アデルがいろいろやってくれたし、私も少しは手伝おうかな。えっと、アデルがご飯を探すって言ってたから、私はうーん……何すればいいのかしら?」
アデルに少しは恩を返す気持ちになったフィリアだったが、箱入り娘であるフィリアにはこの状況で何をしたら良いのかが、全くわからなかった。
「!?」
自分が何をしてあげればアデルが楽になるかを立ったまま考えていたフィリアは、草陰から襲ってくる動物の存在に、瞬時に反応する。
草陰から出てきた瞬間に、羽を展開し、自分に突っ込んでくるのをバックステップでかわす。
「何よ、いきなり! って、ぐえぇ」
下がったフィリアは後ろを全く確認しておらず、後頭部を木にぶつけてしまう。
痛くて涙が出てきたフィリアは、その草陰から出てきて、自分に攻撃してきた動物が猪であるのを確認。
「動物の分際で、王女に何してくれてんのよ!」
痛い思いをさせてくれた、ただの猪を相手に神器を解放し、雨の球体を手のひらに形成する。
「くらいなさい、雨の針千本!」
手に集められた水の球体から、細い針のような弾丸が、猪めがけて連射される。
『雨の針千本』を浴びた猪は悲鳴を上げて、その場から逃げて行く。
「どうです、私の雨の針千本の威力は? 参ったかしら、オホホホホホホ」
「……猪相手に何やってんだ?」
俺はまだ食料を探してる最中だったが、すごい音がしたから、急いでフィリアの元に戻って来たのだ。
するとそこには、神器を使って猪を追払い、無邪気にはしゃぐ、アホなお姫様が目に映った。
「猪相手に神器使うのか? 容赦ないな、お前。猪、可哀想だろ」
ただの猪相手に、神から与えられた、選ばれし者だけが持つって言われる力を使うのか、コイツ。
弱いものイジメってヤツの典型例じゃないか。
ただの猪なら神器どころか、天界力もいらないレベルだろ。
俺はフィリアに天界力だけでも十分過ぎると伝えると、フィリアからありえない答えが返って来るのであった。
「天界力ってどうやって使うのよ?」
はじめましてゴシといいます。
読んでいただきありがとうございます!
この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。
まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!
下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。
これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。




