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第7話 アデル、神器解放


「おい、説明なんか後でいいだろ。それよりも早くソイツを捕まえるんだよ」

「え、あぁ。そうだな、ヒューイ」


 ギムザが状況を説明し終わると、俺に殴られた男、ヒューイはフィリアを捕まえろと、ギムザやボンゴ村の住人たちに指示し始めた。


 俺とフィリアの周りにいるのは、ボンゴ村の住人ほぼ全員と、ヒューイがひきいて来た隣村である、シラサギ村のヤツらが数人。

 コイツら全員寄ってたかって、フィリアを捕まえると言っているのだ。


 ヒューイはフィリアを拉致して天国から来た犯人であり、その目的は『追放者の解放』だという。

 天国の王であるギースの娘を交渉材料にして、追放者を天国に戻せるようにすることが、フィリア誘拐を行った理由。

 その計画を最初に立てたのは、天国にいたヒューイと追放者であるシラサギ村のヤツらだけ。

 たまたまボンゴ村に来て、フィリアが居ると知ったヒューイは、拉致計画の理由をボンゴ村の住人に話し、その話に村人全員が賛同したことで、今の状況になっているというのだ。

 つまり、今周りを囲んでいる全員がフィリアの敵ということで間違いないのである。


「ギムザ、お前まで……正気かよ」


 その話を聞いても、まだ信じられなかった。

 ギムザが急にそんなことに加担しようとするなんて。

 3年も一緒にいたんだ。ギムザのことは大体知ってると思ってたのに……。


「ギムザ。いいから、早くその女を捕まえろ!」

「あ、あぁ……すまん、嬢ちゃん」


 ヒューイの叫びと共に、ギムザやボンゴ村の住人たちはゆっくりと近づいてくる。

 自分たちの利益のためにフィリアを使おうとする大人。

 そう考えると、周りのヤツらがひどく、みにくい存在に思えてきた。


「ふざけんなよ……なぁ!」


 俺は頭が真っ白になり、気づいたら体が動いていた。


「や、やばいぞ、アデルが!」

「おい、辞めろ。アデル辞めろよ!」

「アイツ、聞いてないぞ。みんな早く逃げろ!」


 アデルを見ていたボンゴ村住人は大騒ぎ。

 アデルの事を何も知らないヒューイとシラサギ村の住人、そして3年前からアデルと知り合ったギムザだけが足を止め、ボンゴ村の住人はアデルに背を向けて全力で逃げていく。

 アデルと今日知り合ったばかりのフィリアもその場に止まっていたが、フィリアだけはなぜボンゴ村の住人が急に逃げ出したのかを、肌で感じとっていた。


 アデルの右腕から出る異様な空気。

 川で出会った時は、見えなくて気づかなかった、小さな白い片羽。

 フィリアはアデルが数時間前にやろうとしたことを今、目にするのであった。


矛盾マオダン!」


 アデルの叫びに呼応して、神器『矛盾』が姿を見せる。

 右腕を手の先から肘まで覆う巨大な盾の鎧。盾にはライオン、拳には蛇の紋章が刻まれたその神器は、白い煙を吹き出しながら、その場にいる全員を威圧するような存在感をただよわせる。


「おい!神器が使えるヤツがいるなんて、き、聞いてないぞ!」


 アデルの神器を見たヒューイは、ギムザを責め立てる。

 だが、ギムザもアデルの神器を見るのはこれが初めて。

 その異様な存在感に、声が出ないのであった。


「やっぱり。あの時の変な空気は神器だったのね。見てるだけでなんか寒気が……って、やだ、ほんとに寒くなってきたわよ」


 アデルの近くにいるフィリアは、神器から出る白い煙に、冷たさを感じる。


 その場の全員がアデルの神器を見つめる。

 そして神器がピクリと動いた瞬間、ヒューイたちは先手を打つ。


「子供でも加減するなよ!天界力を高めろ!」


 ヒューイの合図と共にその場にいた者は皆、天使が内包する力、『天界力』を高め、シラサギ村の者たちはアデルに襲い掛かる。


 頭が真っ白になっていた俺は、自分に向かって来る大人たちを見て、自分が神器を解放していたことに気づいた。

 俺に向かってくる、自分のことしか考えない、みにくい大人たち。

 神器を人に使うのは気が引ける。でも


「母さん……この人たちは、いいよね?」


どこにいるかもわからない母さんに許可を求め、その許可が降りるだろうと自分で判断し、躊躇ちゅうちょなく、神器をるうことにした。


「うぉぉぁらぁぁぁ!」

「「「がはぁああぁぁぁ」」」


 拳の届く範囲に入る大人たち。

 天界力を高めた大人だろうが、俺には関係無い。

 力の限り拳を振り、一撃で向かって来た敵をぎ倒す。


「「「……」」」


 17歳の子供が繰り出した一撃で、数人の大人が蹴散らされる光景を見たヒューイ、ギムザ、そしてフィリア。

 その異様な光景を見た3人は、驚きのあまり、空いた口がふさがらなかった。


「おい、お前!」

「は、はい……なんでしょう?」


 ヒューイに目を向け、肩をブンブンに振り回しながら、拳の届くところまで近づく。

 神器を人に向けて使うなんて、『あの日』以来だから、5年ぶりか。

 加減とか難しいだろうから技は使わないでやる。

 でも、ムカついてんだよな。だから悪い。


「ちゃんと歯、食いしばれや」

「え、やめ……つぇ!?」


 ヒューイの「やめてください!」はアデルには届かない。

 ヒューイが口を開いた瞬間には、もうアデルの拳は発射されていたのだから。

 一言言い切る前に、アデルの右拳はヒューイの左頬に突き刺さっていた。

 そしてヒューイは顔が変形するのを感じながら、地面から体が浮くのであった。そして


「うらぁぁぁ!消えていなくなれやー!」


顔に刺さる右拳を思いっきり振りかぶり、遠くにある牛舎小屋まで、ヒューイを吹き飛ばすのであった。


「フン、汚ねぇ大人が。そこでくたばってろ」


 ヒューイが動く気配が無いのを確認して、フィリアに終わったぞと伝える。

 しかし、フィリアを助けるために戦ったというのに、俺は変なことを言われてしまう。


「あ、悪魔……」

「あぁ?天使だ、バカヤロウ!」


 震えて座り込むフィリアを見下ろして、解放した神器を解くのであった。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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