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第213話 無茶な買い物をしようとした時の事

少し後書きが長いです。

 翌日第四村で、開拓中にこのくらいの虫をしとめたぜ! とか聞いたので問題はないと思うが、一応注意を促して、俺はどんどん森を開拓して行く事にした。


 そして十五日ほど経ち、北川に経過を聞いてみることにした。

「虫関係は特に問題ないか?」

「あぁ、村の男を数人で組ませ、精神的疲労がないように五組くらい作ってローテーションしてるし、俺も別行動してる」

「それならいいけど、怪我をさせないように注意だけはしっかりな」

「おうよ。ヤベー奴がいたら、フルールさんを通して俺が出張ってる」

「なら問題ないな」

 夕方に簡単な確認だけを済ませ執務室に戻り、聞きたいことがあるので、テーラーさんの工房に向かう。もの凄く気が進まないけど。


「お疲れさまです。少しお話し平気ですか?」

 テーラーさんは無言のまま手を動かし続け、区切りの良いところまで終わったら顔を上げた。

「えぇ、問題ないわよ。なにかしら?」

「えぇっとですね。ちょっと羊以外で繊維の取れる家畜について聞きたいんですが、何か有名な物ってあります?」

 酪農もやりたいって気持ちが強いからな、ちょっと重い腰を上げてでもやりたいし。

「まぁ、カシミア山羊が有名ね。他にはビクーニャやアルパカ、毛足の長い山羊かしら? 寒い場所にいる牛の毛もあったはず? まぁ比較的涼しかったり、寒暖の差が激しい地域よね。島じゃ多分無理よ? 羊だってダレてるのに。ってかこっちの方じゃ結構不要だから、寒い地域じゃないとまず回ってこないわね」

「ですよね……」

「あー。そういえば熱い地域にいる羊もいるわね」

 確かニュージーランドの羊とか、高温多湿の日本でも平気って聞いた事があるな。

 まぁ、テーラーさんが言ったのは確かに有名すぎるな。ってかアルパカはある意味有名だったわ。毛足の長い山羊と牛? なんだろう?

「珍しい物だと、砂漠っていう砂だらけの、熱い地域にいるラクダの毛があるわね。なに? 綿と麻、ジャイアントモス以外にも手を出すの? そうなると妹達じゃ手が足りないわね。輸送する手間を省くなら、ここで修行させるから、繊維系を作らせようとしてる、第四村の獣人系の男を呼んで欲しいわね。半分以上は冗談だから人族でも女でも良いわよ」

「う、うっす」

 テーラーさんは頬杖をついて、上目遣いでご丁寧に説明をしてくれた。なんか色々読めなくて怖いわ。

「あーそうそう。ジャイアントモスのマントだけれど。十枚ほど作ったわ。どうしたほうが良い? 一枚は応接室にマネキンを置いて飾って、こっちで残りは保管しておく?」

「えぇ、それでお願いします。購入者が出たらその都度対応しますので」

「わかったわ。それなりの包装にするように心がけるわ。採寸が必要な場合に備えて、宿泊施設でも作る事ね。どうせ、残りの九枚は宣伝の為に専門じゃない商人に、ばらまくんでしょうから。後一枚縫って十枚にしておいた方が区切りがいいわね。希少性や値崩れさせないように、なるべく気をつけなさい。こっちも注文が多い場合は注意するわよ?」

「はい、よろしくお願いします。宿泊施設は近日中に手がけます」

「ほぼ生産地だから原価は妹達の手間賃くらいだけれど、普通に作るならこのくらいが妥当な値段ね」

 テーラーさんは、メモに値段を書いて俺の前に出してきた。

「上げるか下げるかはそっちの裁量で。そろそろ工房を閉めるわよ」

「あ、はい」

 渡されたメモを見て呆けていた俺を、定規でツンツンとつつきながら、さっさと帰りなさいという目で見ていたので、急いで工房を出て一言つぶやく。

「金貨二枚の大銀貨五枚か。本当に俺の故郷に家が建つな――」

 そして砂漠か。 魔族の大陸にあるか不明だけど、櫛野さんの嫁がそっちの方の出だった気がする。会田さんを通してアポとってもらうか。

 そして俺は執務室に戻ったら、早速フルールさんに頼んでもらい、明日でも平気と返事が来たので、午後一時くらいに行く事を伝えてもらった。



 翌日になり、執務室で宿屋の建設関係の書き物の作業をしていると、テーラーさんがやって来た。とりあえず応接室に急いで行き、テーラーさんの前に座る。

「早速仕事の話と言うか、お願いなんだけれど、染場を作って欲しいのよ。綿を紡いで布にして、そのままだと白で汚れが目立つでしょう? 島で染色した方が良いと思うのよ、棚が有り余ってるのよね」

「あー。染色場ですか。うっかりしてました。今までは一着作ったら鍋を使った極々小規模な物でしたからね」

「そうね、最低でも大きな寸胴みたいな物が数個置ける場所。最大で大きな樽みたいな物ね。蒸留所にあるような。まぁ、それは必要ないけど、施設は必要よ? 真っ白なシャツを汚したいっていうのなら別だけど、汚れが目立たない物も必要じゃない? 知識はあるから教育はこっちでやるわ。だから機織り場の近くに一軒欲しいわね。事実を言うなら、色物の在庫が少なくなってきてね。ちょっと在庫を大規模にしたいだけね。アレも結構手間だから」

「わかりました、着る服にも個性は必要ですからね。宿屋と同時進行で進めます。染場の方は、竈多めの他と変わらない感じで?」

「そうね、それでお願い。話はそれだけよ」

 テーラーさんはそう言うと、立ち上がって応接室から出て行ってしまった。やっぱりちょっと苦手だなぁ。


「テーラーさんはどのような件でここに?」

「んー。染場が欲しいそうです。白いシャツは汚れが目立つし、持って来た色物の布の在庫が切れそうっていってました。なので宿屋と同時進行で書類追加ですね。宿屋の図面は織田さんに任せますが、染場は修行中の人族に描かせましょう。立て込みも修行中の大工で」

「簡単そうな奴は……って奴ですか? 自分みたいに」

「そうだねー。どんどん職人も育てないとね。あー、レンガも余ってるしなんか作りたい。ウサギが逃げ出さないように、地面を掘って敷き詰めても良いかも。そろそろ最初に作った木の枠も腐る頃だろうし」

 もちろん排水はしっかりとできるようにね。


 昼食の時間になったので、ウルレさんと昼食を食べに行き、王都の地下に転移する。

 今日はレンガの時にお世話になった勇者さんだったので、とりあえずふざけることもなく挨拶を済ませ、会田さんが迎えに来たのでそのまま談話室の方に向かい、お茶をもらって飲んでいると、櫛野さんと嫁だと思われる褐色の女性が入ってきた。

「どうも、ジャスティスの時は迷惑をかけちまって。あれからろくに礼もできないまま……」

「お気になさらず。二人ともなんか更生に成功してますので」

 櫛野さんが頭を下げたので、俺も急いで立ち上がって頭を下げた。

「で、用件ってなんです?」

「えーっとですね、お隣の奥さんを探していた時に、ラクダって見ませんでした? 繊維系に手を出そうと思うんですが、放牧もやりたくて羊も島にいるんですが、熱くて一日中木陰でダレてるんですよ。品種的な問題で」

「だから熱さに強いラクダって訳か。砂漠ではないが、近くの町で運搬用に飼われてたよな?」

「えぇ、そうね。運搬もできるし乳も出す。毛も取れるで私達の生活には欠かせない動物よ」

 褐色の奥さんは、補足をするように付け足した。少しイントネーションが怪しいが、地域的な訛だろうか? それにしても……雰囲気以外は似てるな。違うのは金髪碧眼なくらいか。

 本当に人族は、どんな種族でも金髪碧眼らしい。

「それでですね、この王都からどのくらいの距離になってます? もう俺の中ではラクダで決まってるようなものですので」

「あー、どのくらいだったかな。噂を聞いては放浪してて、帰って来る時は最短距離だったから、片道百日あれば行けるな」

 シルクロードだって、歩きだけで九百日で渡った書物がでてたが、砂漠手前の街からだとしても、砂地でもないし妥当だろうか?

 んーどうしようかな。

「私が知り合いに手紙を出し、行商人を王都まで来て貰うようにして、そこから必要なラクダを港まで運びます? 王都(ここ)まで行商人来てますよ? 絨毯や宝石を売りに。少し多めにラクダを連れてくれば、そちらに売れるかと」

「そうですね……。飼育に詳しい者が確実に一人欲しいですね。後腐れがないように、奴隷が望ましいです。長期滞在はかわいそうですし」

 そういうと奥さんは、少しだけ暗い顔をしてしまった。たしか奴隷堕ちしてたんだっけ。櫛野さんの方を見ると真剣な目で、手を開いて少しだけ数回前に出し、ジェスチャーで何か訴えている。

「気にするな。こいつはクソ優しい魔族だ、人族の奴隷を奴隷扱いしない。前に話しただろう。それがこいつだよ。買われる奴隷は幸せになれる、手紙に奴隷を丁重に運ぶ事を書き足せばいい」

 さっきの気にするなは、どっちに言ったんだろうか? 俺と奥さんの二人? まぁ、櫛野さんの雰囲気も険悪になってないから、多分問題はないだろう。ただ、奴隷って言葉が駄目だっただけで――

 けど家族に会えないって意味では、幸せになれないかもしれない。ラクダの飼育ができる人材が増えたら、旅費を渡して故郷に帰らせても良いかも。それか家族のいない者だな。

「ラクダの数は三十から五十、オスとメスの比率は詳しい者に任せます。飼育員は三人くらい欲しいですね」

「わかりました。手紙にはそう書いておきます」

「ありがとうございます。それでですね、一頭いくらくらいで譲ってくれるんでしょうか?」

 俺は値段を聞いてみた。

「体が大きいほど高いですから、何とも言えません。現地では大銀貨一枚あれば購入できます。家畜では珍しくメスの方が安いんです。オスの方が大きくて荷物がより多く運べますので」

「ほー確かに珍しい。子供を産むまでの時間とかわかります?」

「季節が一巡と半分くらいです。ですので、増やすには最初から少し多めの方が良いかと」

 なら八十くらいに増やすかな? どうしよう。十匹で金貨一枚だとしてもなぁ……。

「やっぱり五十でお願いします。必要ならまた追加で購入しますので。いつ来るかわからないので、会田さんに払っておいてもらいます」

「は?」

 今まで黙ってお茶を飲みながら、会話を聞いていた会田さんが驚きながらこちらを見た。

「そして島まで運んでもらって、手間賃と島までの移動費、船代と餌代も追加で」

「あ~。えぇ、良いですよ。移動に百日なら仕方ないですよね。最悪季節が一巡しちゃいますね」

 そう言って、急いでメモを取っていた。まさか自分が関わると思ってもいなかったんだろう。

「では、そのようにお願いします」

「わかりました、故郷に五十頭、飼育ができる者を奴隷で三名で手紙を送っておきます」

「よろしくお願いします」

「わかりました。では会田さん、支払いの代行よろしくお願いします。王都から出た時点で、フルールさんを使っての連絡をお願いします」

「はいはい。研究用に王都での飼育もしたいので、十頭と一人追加でお願いします」

 なんだかんだで、会田さんの所でも保有したいんだろうか?

 その後は四人で雑談をしたり、クロスボウを作成したり、魔力溜まりができたりとかの近状を伝えた。

「クロスボウですか。こちらはマスケット銃の作成に成功しましたよ。軍隊での運用はまだまだ先ですけどね」

「ははははは……、こっちは本当に火薬作ってやがった――」

「理系も技術系もいますからね。平気ですよ、一応防衛目的ですので。技術の漏洩も極力気を付けますよ……」

 会田さんがニヤリと笑い、なんかすげぇ悪い事考えてそうな顔をしていた。島に攻め込んでこなければいいや。

注意

家畜の名前は地域名や日本語ですが、突っ込みはなしの方向でお願いします。

ラクダは日本で買うのではなく現地価格です。(日本では一頭500万だった)

ラクダを飼育している動物園様に、お問い合わせメールで飼育方法やその他色々な事を質問し、全てが返事待ちです。ですので、返事が来た場合は文章を修正する場合があります。

※いまだに返事が来ていない。

何かありましたら、感想で突っ込みを入れていただければ幸いです。


下調べが足りずに申し訳りませんでした。


以下質問内容一部抜粋

・飼育での注意点:砂漠のような過酷ではない状況下では、どのような点に注意して飼育しているか。

・毛刈りでの注意点:寒暖差が激しい砂漠でも毛が生えているラクダですが、常に高温多湿の場合でも毛が生え変わるのか。刈れるほど毛足が伸びるのか。

・繁殖での注意点:インターネットで色々調べた結果、オスはハーレムを作りますが、オス1頭に対して、メスはどのくらいの数が妥当なのでしょうか?

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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