第211話 島に魔力溜まりができてた時の事
注意:虫が出ます。
翌日の昼食前、第四村の手伝いをするのに書類の片づけをしていたら、フルールさんが変化した。
「キタガワが、飯食ったらフル装備で来いって言ってるよ」
フル装備? 何かあったんだろうか?
「わかった。と伝えてください」
俺はため息を付きながら書類を片づけ、ロッカーから上下黒の厚手の服やベスト、マチェットを机に並べる。
「何かあったんですかね?」
「たぶんね。俺の戦力が必要って事だけは確かだね。喧嘩売ったような事もないし」
俺は男同士なので特に気にすることなく、ウルレさんの前で着替えをすませ、右胸のナイフの位置や、背骨を守るマチェットの位置も確認する。
「ずいぶん変わった服ですね」
「ん? あぁ、一応コレが俺の戦闘用の服になるのかな。厚手の服だなんておかしいかい?」
「普通って鎧とか盾じゃないんですか?」
「運が悪ければ、鎧のないところに矢が当たるし、歩くと音がする。なら軽くて静かな方がいいからね。後は普段持ってる厚手のナイフを左腰に付けて、スコップをもって終わり」
そう言いながら、頭に黒の布を巻き、口元も隠せるようにスカーフっぽく首に布を巻いておく。
「胸の何もない鞘はなんですか?」
俺は【黒曜石のナイフ】を作りだし、鞘に挿す。
「こうする」
そう言って、ウルレさんがいつも座っているイスの足に右手でナイフを投げつけ、左手でも順手で抜きながら、そのままの勢いで二本目のナイフを投げて突き刺し補充する。気分は少し御髪の薄いハリウッドスターだな。
「おー、機能的ですね」
まぁ、おおっぴらに石弾とか散弾が使えない用だけどね。北川なら問題はないと思う。
「でしょ? まぁそろそろ昼食ですし、食べに行きますか」
昼食にウルレさんを誘い、少し早めに食べ終わらせてからスコップを持って、第四村に転移した。
「お疲れさまでーす」
第四村に着いたら北川が鎧を着込んでおり、なんか雰囲気が重い。
「なんだ、この物々しい雰囲気は」
「魔力溜まりだ。最近魔物を良く見かけるようになったが、森の奥にできていた。少し手を貸せ」
「魔力溜まり……ねぇ……。故郷の村でたまに魔物が増える事があるが、それが原因だったのか? あの時のアレもそうだったのかもなー」
「何を呑気に構えてやがる。放っておくと洒落にならねぇんだぞ」
北川に睨まれ、注意をされてしまった。
「あぁ、すまん。で、詳しくしらねぇんだけど、具体的にどうするんだ?」
子供の頃に魔物について授業でやったが、関係なさそうだから聞き流してたからな。
「強い魔力で吹き飛ばす感じで散らすんだよ」
北川はめんどくさそうに言った。それだけヤバイって事なんだろうな。
「近くの森での討伐とかは、結構年上に任せてたからな。人に近い見た目の魔物の討伐って苦手で」
「安心しろ、昆虫系だ」
「どっちにしろ最悪だな」
そんなやりとりをしつつ、俺は首の布を口元に巻き、胸元の鞘に【黒曜石のナイフ】を補充し、スコップを左手に持つ。
「いけるぞ」
「付いてこい」
北川が一言だけ言い、剣を吊るベルトをして、籠手を付けて走り出したので俺もそれに続いた。
しばらく森の中を走ると、今まであまり見かけなかったジャイアントスパイダーやキラービーが辺りに増えており、ナ○シカでしか見た事のないような、足の多い虫が木を這っていた。
「最悪だ。足の多い虫は嫌いなんだ」
先導する北川が、進行方向にいる魔物だけを剣で斬り殺しながら進んでいるが、返事は戻ってこなかった。
空中に四割り増しの大きなキラービーを見かけたので、見かけ次第【散弾】で吹き飛ばし、目に付いた木に這っている虫も【熱湯】をぶつけて処理しておく。
「おい、場所はどこなんだ?」
三十分以上森の中を走っているが、なんか特に変化が見られないから聞いてみた。
「もうしばらく先だ、黙って付いてこい」
しばらく色々な虫を処理しながら進むが、腐海とまでは行かないが、やけに鬱蒼としている場所に付き、北川の足がやっと止まった。
「クソ疲れる。勇者は体力の塊りだな」
肩で息をしながら、とっくに外した口元の布で汗を拭き、【水】を含ませて顔を拭く。
「おまえこそ良く走りながら、飛んでる虫を殺せるな」
「大体でしか狙ってねぇし」
散弾だからな。
「で、あのかなり奥に見える、色と大きさがやべぇサソリっぽいのが、この森の主でいいのか?」
色は黄土色だが、苔が大量に生えており、緑色に見える。いかにも毒って感じで。ハサミなんか、北川を挟めそうなくらい大きい。捕まれたら圧死か切断、しっぽの毒だろうな。
「だろうな。できる限りの高火力の魔法で気を引いてくれ、あいつの殻はかなり硬い、石の弾なんかじゃはじかれるぞ。その間に俺は、節を狙って毒腺を切り落とす!」
「あいよ」
俺は北川の後方に待機し、ルビーで杭を作り、膝の高さくらいを這わせるように音速の二倍で飛ばしたら、ソニックブームと爆音を発生させながら、巨大サソリの胴体がベシャリと吹き飛んだ。
前に一度だけエメラルドでやった徹甲弾もどきだ。
「は?」
剣を構え、俺の魔法に合わせるつもりだった北川が、変な声を出した。
「あ……ごめん。空気読まないでヤっちまった」
「あ、いや。俺も悪かった。お前の魔法で高火力とか言っちまったし」
なんか気まずい雰囲気になった。北川はまだ剣を構えたままだしな――
「で、でさぁ。この後どうするん?」
気まずいままもアレなので、話題を急いで変える事にした。
「あ、あぁ。この辺りの木を伐採して、風通しを良くして。なんかこう、魔力を直接ぶつける感じで、押し出すように魔力溜まりを散らすらしいぞ」
「了解」
北川の説明のあと、二人で黙々と風が通るように木を少し切り倒し、体から直接魔力を垂れ流す感じで、自分を中心に円として広がるようにイメージをしながら、ドラゴ○ボールみたいにおまけで声を出してみる。
そうすると、衝撃波とまでは行かないが、その場の空気が魔力で押し出される感じで、停滞していた空気が動き出すのがわかった。
無属性魔法っぽくてかっこいいな。直接魔力をぶつけるって感じが特に……。
「お、なんか空気が変わったな。たぶん平気だろ」
「多分って何だよ。多分って」
「俺だって聞いた事しかねぇよ!」
「俺も故郷では年上に任せてたからしらねぇよ。なぁ。不毛だから止めようぜ」
「そうだな……」
俺は、とりあえず巨大サソリの残った外皮にスコップを振り下ろすが、重い音を辺りに響かせながら弾かれた。
こりゃマジでやべぇ奴だわ……。ミスリルでも弾くなら、魔法で処理するしかねぇわ。北川がいなかったら、意味もなく弱い方の魔法から試しにぶっ放してたと思うけどな。硬くて質量と速度があるってすばらしいな。
「こいつってなんかに使えるか? この殻ミスリルの刃物とか弾くぞ」
「金属みたいに加工できないから放置だ。体にぴったりはまる部分があれば使えるって聞いたな」
「ふーん。放置で良いか。あ、毒腺はもらっていくぞ? マッドな錬金術師が多分使いそう」
「あいよー、あとは弱体化した残った奴の処理だから、こっちでやっておくわ、数日かかると思うけど」
「あぁ、わりぃな。こういうのって新鮮な方が良さそうだから、さっさと持って行くわ。なんなら第四村に直ぐ戻ってきて、森に入って見かけ次第処理するけど?」
「……そうだな。それで頼む」
俺は毒腺のある尻尾にスコップを当てて、節を一個分残して足で踏み込んで無理矢理千切った。こっちは柔らかいんだな。
ってかぬか床を入れてる壷のような大きさ、どんだけ毒あるんだよ……。絶対リッター単位であるな――
俺は北川の方を向いて、軽く手を挙げながら、工房近くに転移した。
「どうもー、珍しいものが手に入ったんでお届け物でーす」
開いているドアをノックして、珍しく返事があったのでそのまま中に入る。
「コレって何かに使えます」
俺は床に毒腺をゆっくり置く。
「あら、全身真っ黒。素敵ね。それにしても大きいサソリね。こんなのは見た事がないけど、薬として使うなら無理ね。港にいた頃は、裏の方に頼まれて純度の高い毒を生成してたけど……使うの?」
「必要ないので多分使いませんね」
「なら燃やしなさい。埋めたらなんか土壌汚染が怖そうだし」
「はい……んじゃ失礼します」
俺は毒腺を持ってアピスさんの工房を出るが、とりあえずベッドにつっこみは入れなかった。面倒くさそうだし。
だってベッドの上に、洗濯物が無造作に置いてあるんだもん。どれが未使用だかわかるんかな?
俺は【火球】を毒腺に放つが、新鮮なので燃えにくい。火炎放射の様な火に変えるが、やっと表面がぱちぱち言い出し煙が出始めてきた。
火山に放り込みたいけど、姐さんに絶対ぶっ飛ばされそうだしなぁ。
そんな事を思いながら、枯れ枝を燃やすような感じで、しゃがみながらパチパチと燃える毒腺を、スコップで突っつきながら淡々と炭化させる。
あ、なんかエビ食べたい。なんかわからないけどエビが無性に食べたくなった。この真っ赤になった殻がエビの色してるのが悪い。ガウリさんに頼もう。
「くせぇ! なんか炭化する臭いじゃねぇぞこれ! 煙も毒か!? 絶対この毒やべぇぞ!」
十分ほどで毒腺を灰にし、毒液はなるべくこぼさないように蒸発させた。
また第四村に転移し森に入ってうろうろするが、虫を殺した時の液体がやばい。なんか飛んでくる。
北川はコレを無視しながら、切って進んでたのか、すげぇなぁ。
なるべく触りたくないので、蜘蛛とか蜂は【石弾】や【散弾】で処理しつつ、見かけ次第に撃っていく。
メタル○ラッ○の虫ステージを思い出す。なんか……こう……ヘビィーマスィーンガーン! 的なのが欲しい。
てか、この大きなナメクジとか、足が多い虫は俺の精神を削る。【火炎放射】で処理してるけど、こう……熱でグネンってなるのが見てて嫌だ。
生木や青々とした草が多いから、森が燃えることはないだろう。少し先端や端が丸まってるけど。
けど、まだ海老を食べたい気持ちが変わらない。裏返したら似たような見た目なのに……。あ、カニでもいいな。
夕方になり第四村に帰るが、先に戻っていた北川も精神的に疲れているみたいだ。鎧に飛び散った粘液みたいなのが付いてるし。
「んじゃ、後数日くらい手を貸してくれ――」
「あぁ、わかった……。ゆっくり休んでくれ。酷い顔だぞ」
「知ってる。お前もな」
北川がそういうと、近くの丸太に腰掛け、ため息と共に頭を抱えた。あの光景は確かに嫌になるな。俺は遠距離から処理してたから良いけど、剣もベタベタだろうな。
「くさ! カームさん臭い!」
俺は第一村の執務室に戻ると、ウルレさんが鼻を押さえて事務所の方に逃げていった。
俺の鼻も、燃やしていた虫の臭いで利かなくなっていたみたいだ。けど酷いな……。
本当慣れって怖いなー。
俺は水浴び場に行き、ミントの石鹸で体を洗って、ついでに服も洗ってぬるま湯に突っ込んでおき、多分髪の毛にも臭いが付いてるので同じ石鹸で洗ってから、薄めた酢をリンス代わりに使い、いつもの服に着替えて執務室に戻ると確かに臭い。残り香でこれかよ……。ウルレさんのあんな反応も納得だ。
蒸留酒にラベンダーの精油を混ぜて噴霧したい。ってかそろそろ精油も作り始めて、香水の類でも作り始めるか。船乗りの臭い消しに。
ご婦人にも何かいい感じの物も作らないとなー。
とりあえず皿に、ラベンダーの精油を蒸留したてのベリル酒に少し混ぜて、机に置いておこう。少しはマシになるだろう。
そして俺はガウリさんに頼んで、海老とカニを取ってきてもらい。自宅前に転移する。
変にいじくり回さずに、塩ゆでにして食卓に追加で並べ、盛大に足を折って身をスルリと抜いてかぶりつく。
「うん、新鮮だから甘くてうめぇ!」
「んー、コレほぐしてサラダに混ぜよー」
「見た目気持ち悪いけど、ぷりぷりして美味しい」
「裏返した見た目が虫だけどおいしい。これは何にあうんだろうか? 魚系に……けど見た目気持ち悪いから、そのままじゃちょっと食べにくいかな」
やっぱり、あまり海を見たことのない人にとっては見た目が悪いみたいだ。
スズランは気にしないで、肉みたいにモリモリ食べてるから、好きなんだろうな。本当野菜以外は食べるなー。
さて、この後は魔法の勉強だけど……何を教えて良いもんだか――
俺は化け学大嫌いだしなぁ。
「今日は、炎系に関しての注意点って事にしておこうか」
注意点と言ったら、二人が首を傾げている。
「火が燃えるのには、熱さ、燃料、空気が必要になってくる。熱さはそのままだな。燃料は木だったり油だったり、まぁ俺達は魔力を使って燃やしてることが多い」
俺は拾ってきた枝の先に火をつけたり、ランプを指さす。
「じゃぁ問題は空気だ。空気には新鮮な物と使い終わった物があるんだけどな、使い終わった空気じゃ火は燃えない」
俺は広口の瓶の中に、火のついたロウソクをいれ薄い板で蓋をする。ってか酸素とか二酸化炭素とか言っても理解できないだろうな。
「火ってのは新鮮な空気を使って、使い終わった空気を出すから、こうして蓋をすると勝手に消える」
しばらくして、消えたロウソクを見て、子供達は少しだけ不思議がっている。
「空気にも重さがあってな、使い終わった空気は重いんだ。だから瓶の中に溜まり続ける」
俺は蓋を開けて、また火のついたロウソクを入れると直ぐに消えた。
「そして、使い終わった空気は吸っても苦しいままだ」
俺はわかりやすくするために、子供達の顔とランプに指先で丸を描くようにして指を動かし、海賊に気圧変化をかけた時のように空気の膜を作るイメージをする。
「息を吸っても苦しいままだから、少し経験しておけ。続けるぞ? 何が言いたいかって言うと、狭い洞窟の奥で火を使うと、新鮮な空気が一気に減るから全員息ができずに死ぬ」
そう言い終わったと同時に、テーブルにあるランプが空気を読んで消え、リリーの息づかいが荒くなっているのが確認できたので、魔法を解除する。
「本当に吸っても苦しいままだった」
「だろ?」
そして、ミエルも息が荒くなってきたので解除する。
その光景を、スズランとラッテはニコニコと見ていた。ある意味ほほえましい魔法の稽古だと思っているんだろうか?
「魔法で明かりを作るのは簡単だが、ロウソクを使ったランプを買って、腰にぶら下げておけば、洞窟の中で新鮮な空気がない事がわかるから、ロウソクは持って歩け、油のランプより敏感に消える」
実際に、なんかやばそうな地下とかに探索行く時は、懐中電灯の他にロウソクを別に持って行けって、よく言われてたしな。実家の近くにもそう言われてる場所があったし。
「新鮮な空気ってどうやって作るの?」
ミエルがそんな事を聞いてきた。まぁ、気になるよな。
「木や葉っぱが作ってくれる。木は、使い終わった空気を吸って、太陽の光を浴びて新鮮な空気を作ってくれている。ビルケ先生やフルールさんは実はすごいんだ」
水に電気通せば、酸素と水素が出るけど、電気系の魔法って俺じゃイメージし辛いから教えられない。ってか水素出されて引火させられたら、たまったもんじゃない。
「まぁ、ここまではある意味火の扱い方だな。ここからが本番だ」
俺はロウソクに火を付け、酸素を集めるようにしてロウソクを囲む。そうすると、火が勢いよく燃えだした。
「火は新鮮な空気と丁度いい具合で混ぜるとこうなる、そして――」
俺はポケットから薄い鉄の板を取り出し、細くて薄い黄色の炎を出して、熱で溶かしていく。火花? 不思議と出なかった。
「魔力と合わせると鉄が溶ける温度も作る事が出きるし――」
火炎放射の様に、指先からロウソクに炎を飛ばし一気に溶かす。
「火球以外の形で持続して出す事も可能だ。これは常に魔力を出して、燃やすイメージだな。たまにスズランが魔力量を間違えて火柱をあげるのと同じだ」
そう言った瞬間に二の腕をスズランに叩かれた。すごい音がして、皮膚が弾けたのかと思うくらい痛い。
「まぁ、火……って言うか熱だな。ロウソクの火の熱さが一だとすると鉄を溶かしたのが約三倍。勢いとかもあるけどな」
俺は顎に手を当て、たしかそうだったはず? と思う。
「ねぇ、鉄が溶けるのにはどのくらい必要なの?」
「ん? ロウソクの熱さの二倍かな? そうすればドロドロに溶ける」
俺は溶かした鉄を冷ましてミエルの前に置く。
「やってみろ。牢屋に閉じこめられた時に鉄格子とか、鍵の部分を壊せる」
「んー使い方が限定的だなー」
ミエルが鉄の板を持ってうなっている。
「リリーが大声出しながら、力を入れて鉄格子を破壊するよりは安全だ。静かだから見張りが集まってこない」
「あぁ、確かに」
「何で捕まる事前提なのよ。ってかお父さんもなんでそんな例えを出すのよ」
「だって……なぁ?」
俺はスズランの方を見てから、もう一度リリーの方を見る。
「もしかしたら力で解決するかもしれないし、脱出手段がないよりはいいだろ?」
そしてミエルの方を見ると、鉄は赤くなっているが、溶けてはいないみたいだ。
「空気の方を調整しつつ、魔力を細い穴から吹き出させる感じをイメージしろ。そうすればさっきみたいに、棒みたいな火が出る。火ってのは温度で色が違う。俺のはもう少し黄色だっただろ、ミエルのはまだ火としては冷たいぞ」
試行錯誤をしながらやっているので、鉄がだんだん熱くなって、水球を浮かせて鉄ごと手を突っ込もうとしたのでそれを止め、俺が【氷】を出して、そこに鉄を置くように言い、お茶を飲みつつ、水に突っ込むと一瞬で熱湯になって危険だと教え、しばらく見守った。
鉄を掴む奴をヴァンさんから借りてくればよかった……。
俺は一発で成功させたからそこまで熱くなってなかったけど、ミエルには悪い事をしちゃったな……。
ちなみにリリーはとっくに諦めているみたいだ。これでミエルに稽古を付けているって雰囲気になっているな。
そして三杯目のお茶を飲みつつ、ミエルの事を見守っていたら黄色の細長い火を指先から出して、薄い鉄なら溶かせるようになった。
「おめでとう。これで鉄格子やドアノブ、カギだって溶かせる。悪い事にはあまり使うなよ」
※飛び散る火花は殆どないものとする。




