第183話 別に島になくても良いと思った時の事
一週間後。
俺は案として、予定地の場所の木の伐採を始め、根っこを起こし、黒土部分をどかした。採掘場と、一段低くした沈澱層を二メートルほど脇に作り、常に水がそちらに流れるように作った。
そして一番高い採掘場の角から、最前線基地で使った、巨大な【水球】を作りだし、ゆっくりと地面に落とす。
そうすると、低い方へと水が流れ出し、沈澱層の一番深い入り口部分に流れ、どんどん溜まりだし、半分くらい少し濁った水が溜まった。
「んー、五百リットルくらいならまだ平気か……。それに、ここから溢れても、プールを半分にしたくらい広い沈澱槽だから、普通の雨や嵐なら平気だな。台風っぽいのも年に何回かあるけど、経験上は平気だと思いたいな」
独り言をつぶやき、季節的にはまだ冬だが、島は常夏なので、照りつける太陽で水たまりが出来てる場所以外は、軽く乾き始めている。
入り口の沈澱槽の濁った水も、合間を見て、敷き藁をするプール側に撒けば直ぐに乾くだろうな。
あとは赤土の採掘を、沈澱槽側に流れ込む、一番低い側からやってけば、水は自然に流れる。赤土の層を一枚剥がしたら、また一番低い側から掘っていけばしばらくは採掘できるだろう。
取り切ったら、隣の木の伐採と、黒土を取れば、また赤土が採取出来る。
これで多分平気だろう。分譲地にある、水が溜まるへんな区画に、台風でも水が溜まるのを見た事がないし。
どっかの都市の地下にある、大雨対策の場所並の物は必要ないだろうし。けど、黒土から沸いてくる水だけが怖いな、後で確認しないと。
とりあえず雨が降るのを待って、どうなるかだな。
そして、織田さんと話し合って決めたレンガ枠に、少し練った赤土でも積めて、カラカラに乾いたら試作品として焼こう。
◇
数日後。昼過ぎに巨大な雲が出現し、島に雨が降ると思われる感じで、こちらに近寄ってきている。少し長く住んでれば、多少は天気も読めるようにはなる。
すでに採掘所と沈澱槽には階段を作り、一段低く作った場所には梯子をかけた。子供達には近寄るなと言ってあるが、子供だから本当にわからない。
子供は、大人が考えてる斜め上過ぎる方向の遊び方をするからな。
そして島に雨が降り始め、撥水性のない布を張っただけの傘を手に取る。
「ちょっと水田のよ……赤土の様子見てきます」
「なんで水田って言ったんですか?」
「何ででしょうかね? 俺にもわかりません」
そう言って俺は傘を差し、気分は『ちょっと田んぼの様子見てくる』な感じで向かった。
ふむ、降り始めは問題ない。
採掘所の法面も崩れてないし、沈澱槽の方も無事だ。こっちは黒土を崩して、スコップでペシペシ叩いて崩れないようにしておいた。草が早く生えて欲しいけど、この程度の雨なら平気か。
本当なら転圧したかったけど。ランマーやプレート的なものないし、人力だししかたがない。
多少黒い水が流れこんでるが、この程度ならそのうち落ち着くと思う。
火山灰を利用したコンクリートも試したかったが、火山灰に降られて農作物が駄目になるから、無理には望まないけど、コンクリートの成分なんか一般人が知ってるはずがない。固まることはわかってるけど、固まる要素が多すぎて、ナニで固まるのかがわかってないけど、とりあえず固まるって聞いたし。
姐さんに最後に噴火した時期を聞いて、シラス台地を探した方がいいな。そうすればコンクリートが作れる。
しばらく眺めていたが、沈澱槽の深い部分にうっすらと水がチョロチョロと流れだし、この降水量だと、多分流れ出さないと思う。
そう判断し、俺は執務室に戻った。
綴った書類に降水時の様子を書き足し、普通の雨程度なら平気な事を書き、嵐の時は不明と書いた。
法面の草は、少し早めに生えるように工夫しないと駄目だな。最悪嵐になると、黒土が流れ落ちる。
その辺の、雑草が生えまくってる場所を、売ってる芝みたいに切って貼り付けてもいいかもしれないな。
◇
翌日には雨が上がっており、朝一で様子を見に行くが、沈澱槽の容量には特に問題はなさそうだ。水が流れ込む一段深い場所から多少溢れてるし、プール部分は水たまりだらけ。多分明日には乾くな。むしろ、藁を敷いたら、それが全部吸って、晴れたら速攻蒸発しそうだ。
この降水量なら五日は降っても問題ないだろう。嵐が続くとどうなるか不明だが……。
それに黒土部分から水が少しだけにじんでいるが、湧くという感じではない。後は開墾しながら燃料の確保と、住宅用の薪や炭の確保、植林だけだな。
植林はパルマさんと相談だけど、整地して、既に植えてる物でも問題なさそうだ。建材用と別に植林も考えないと不味いだろうか? レンガ作りの職人もどこかから割かないと。
まずは第一村の村長に話を通しておくか。それまでには竈用のレンガを焼くか、焼かせるか……。ここまで用意したから、テストケースとして俺が竈まで作るか。小屋は、大工の見習いにでも建てさせた方が練習にはなるか?
とりあえず、練って形整えて乾かすか。
うん、なんだろう。急に左官道具が欲しくなった。
練った赤土を枠に入れて、はみ出た物を平らな板でそぎ落として、枠を持ち上げてはずす。
それを繰り返してたから、環境を変えたくなったのか、効率を求めたくなったのか。何とも言えない気分になり、どうせ必要になるんだからと言う言い訳で、手を綺麗に洗ってからセレナイトの外に転移して、オルソさんの店に向かった。
もちろんルッシュさんに報告はしてません!
「お久しぶりです、オルソさんいます?」
店舗の中に入り、書類を書いていたであろう弟さんに声をかけた。
「申し訳ありません、少し出ておりまして……」
オルソさんはオルソさんで忙しいんだな。まぁ、七割くらい俺のせいだけどな。
「どのようなご用件で? なんなら伝言を預かりますが」
なんだかんだで、弟さんの喋り方も最初に比べて丁寧になってきてるんだよなぁ。
「いえ、これと言って用事はないんです。ただ、左官道具一式が欲しいので、扱ってる道具屋を紹介していただこうと思いまして」
なんでニルスさんの所じゃないかというと、何となく扱ってる商品に偏りがあるし、多分なさそうだと判断したからだ。ちなみにオルソさんの所は、よろずやって雰囲気だからな。
「左官道具でしたら在庫がありますので、ご用意できますよ?」
「ならお願いします。コテも細いのから太いのまで適当に見繕って下さい。壁塗り用の大きい奴も」
「何に使うんですか? それによってご用意しますが?」
「んー。レンガ作り、それで竈作り、その後に建材として壁や屋根、道にですかね? まぁ、レンガを生産します」
「あ、確かに適当に見繕って、ですね。それっぽい物を全部用意しますね」
「あとで、職人も増やしますので、全部五本ずつお願いします」
「ありがとうございます」
弟さんはそう言うと、急いでコテを持ってきてカウンターに並べた。
「こちらで、大抵は事足りると思います」
「ありがとうございます」
「それとですね、少しご相談が……」
弟さんは、紙袋にコテを入れながら話をしてきた。
「えぇ、なんでしょうか」
「ベリル酒の方なんですが、ここ最近需要があがっておりまして、もう少し多くご都合していただきたいのですが」
弟さんは、本当に申し訳なさそうに言ってきた。確かに需要は上がっている事は知っている。けどこっちも生産が追いついていない状態なんだよなぁ……。
「その件に関しては、少し待っていただけないでしょうか? こちらも常に作り続けている状態です。施設の拡張や、原材料の確保の為に畑も広げる必要があります」
「そうですよね、わがままを言って申し訳ありませんでした」
「いえ、こちらこそご迷惑をおかけして……」
なるべく早めに施設の増築と、人員の確保が必要か。ルッシュさんに現状を聞こう。
「では、ありがとうございました」
俺は軽く挨拶をして店を出た。
島に戻りレンガ作りを再開し、業務終了時間少し前に道具類を片づけ、ルッシュさんに今後の事をざっくり話しながら、畑とかの状況を聞こうと思っている。
「お疲れさまです、少し相談があるので早めに戻ってきました」
「お疲れさまです。どのようなご相談でしょうか?」
ルッシュさんは、綺麗に切りそろえられた紙を、トントンとそろえながら、首を横に向けて聞いてきた。
「ルッシュさんならわかっていると思いますが、ベリル酒の需要がかなり高まっています。オルソさんの商店から要望があり、早急に増築したいのですが、麦とサトウキビの生産量、人口、麦を酒にしている量の、書類を出してもらっていいですか?」
「わかりました」
ルッシュさんは手早く、壁際の棚からラックに入っている書類を持って来た。
「こちらです」
俺は書類に目を通し、島の人口と麦の生産量の余剰分が、どれだけ酒になっているかの項目に目を通す。
「春頃に第四村が完成し、魔族と人族を百人以上の受け入れ……。そして備蓄してある麦は、第四村に畑を作っても収穫の見込みは秋口。それまでは消費し続ける。蒸留所を増築しても、増産の見込みは冬までは無理そうですね……」
「そうですね。確かに直ぐに増産は厳しいですね。それに燃料の問題もあります。木の根を炭にしているといっても、他は建材としての利用もありますし、薪としての需要も高いですからね」
「ですね。第四村の方の木の伐採や、畑を増やしても結局は増えた人口で消費されますし、余剰分が多少増えるだけですので数字は変わらないと思います。かなり多めに畑を作りますか?」
「そうですね……。作っても管理できますかね? 一人で管理できる大きさにも限度がありますし」
「うーっす迎えに来たぜー」
仕事を終わらせたキースがルッシュさんを迎えに来た。ふむ、少しだけ待ってもらおう。
「すまないキース。もう少し待っててくれ」
俺は左手を広げて出し、待つようにジェスチャーも加える。
「一応蒸留所の増築案でも書きますか?」
「ですが、増築したところで、お酒が造れないのなら、遊ばせておくだけ無駄な気がしますが? それこそ夏の終わり頃に作り冬の完成を目指した方が良いと思いますけど」
「先に作っておけば、冬辺りには、さらに増えた畑の余剰分麦にあたふたせずに対応できそうですが? 麦の備蓄小屋にチョコチョコ運び込めますし」
「んー、なら備蓄小屋だけ先に作っておいて、むやみに木材の消費するのを押さえ、先に第四村の設備に使った方がよろしいかと」
「「んー」」
俺とルッシュさんは、唸りつつ案を出そうとしているが、キースは特に変わらない表情だった。
「俺も参加して良いか?」
いつもと変わらない感じで言ってきた。多分参加させても問題はないだろう。
「あぁ、頼む」
「いいわ」
ルッシュさんも同じ考えだったようだ。
「麦が足りない、木材も不足がち、酒作りが間に合ってない。これでいいか?」
「あぁ、そうだな」
「よそから麦を買うのはどうなんだ?」
「貨物船で運ぶなら問題ないけど、アクアマリンの船じゃ採算が合わないわ。運んでもらうと更にお金がかかるし」
おぉ、キースにはこんな風に喋ってるのか。何か新鮮。
「おいカーム。蒸留小屋造るのに、だいたいどのくらい金がかかるんだ?」
「そうだな……」
俺が資料のページをめくり、資料を探した。
「なんならよ、セレナイトに作っちまえよ。あっちもカルツァの領地なんだろ? 別に島の中だけで作って運ぶより、手間かからねぇだろ。こだわりでもあるんか?」
俺とルッシュさんはお互いの顔を見て、少しだけうなずく。
「この間調べた、土地の貸し出し価格表を持ってきます」
「私は麦の取引価格と、三十日分の人件費の計算もしておきますね」
「輸送費がかからない分、安くなった場合の計算と税金もお願いします。――おい、キース!」
俺は右手を高く挙げ、ハイタッチのポーズをする。キースもそれにあわせ、首を傾げながらも手を出して来たので叩いた。
いいねぇ。こういうのは、たま~にやっておくべきだ。
それからは早かった。土地の価格、小麦の仕入れ価格、雇用、酒の生産量と売値から、だいたいの儲けを計算し、赤字が出ない事がわかった。
「とりあえずカルツァに話しつけてきます? 町に酒造施設作るって。ついでにこの書類をもって、初期投資後、最低でも季節が十回巡れば元がとれる事を説けば、金を貸してもらえる気がしますが」
あんな事があったし、貸してくれるだろう。
「それでも良いかもしれませんが、お金があるならあまり貸しは作らない方がいいと思いますが? あんな事があったとは言え……」
「なら、貯金を崩すか……。貯金にはあんまり手を着けたくなかったんだけどなー」
「こう言う時に使わないでどうするんですか。ため込んでると経済がまわりませんよ?」
「そうでしたね……。で、セレナイトで酒作りをした場合の、販売価格どうします? 島のと差別化できます?」
「雇用問題もありますし、材料費もかかりますからね。多分島から船で運ぶのとあまり変わりませんよ?」
ルッシュさんは海運した時の値段と、作業員を雇用した場合の値段を指さし、あまり差がない事を言ってきた。
「そうですか。とりあえず出来映えを見て、等級をつけますか。もしくは、古くて少し悪くなった麦で差別化しないと、島の酒も売れなくなります。あー……。市場に売ってる果物を混ぜて混成酒作るか……」
上を向きなががらいくつかの案を出しつつ、思いついたのを呟く。
「平気ですか? 果物の汁気で腐りませんか?」
「故郷で既に検証済みですので平気です。試験品として、後で少し持ってきますよ」
まぁ、ウイスキーって加水して、飲みやすくしてアルコール度数四十くらいで売ってるし、原酒に果物をぶち込んでも多分問題ない。
話しに混ざってこないキースの方を見たら、こめかみに左手を当てて、頭痛に耐えてる時のような顔になっていた。かなりおもしろい顔をしている。
「お前等、いつもこんな話ししてるのか?」
俺の視線に気がついたのか、そんな事を言ってきた。
「今回は特別かな? キースの一言で、別に島の中で作る事にこだわらなくても良いかな? ってなって、島の外に作った場合の損害を受ける可能性を話し合いつつ、儲けが出るか、島の酒はまだ売れるか。の話し合いになってる。実際にやってみないとわからないけど、今までの書類とかから色々計算して、季節が十回巡れば売り上げが少なくても採算はとれる計算だ」
「あぁ、それ以上はもういい。頭いてぇから。けどよ、そうすると島に人が来なくなるんじゃねぇのか?」
「そうだな。けど、森の開拓が進んでないし、木材も職人も足りてない。人を受け入れる体制があまり整ってない状態だ。今は百人分の集合住宅を第四村予定地に作ってるが、人手がないと開拓も難しい。だからジワジワやってかないと駄目、けど周りは酒がほしい。ならキースが言った通りに、今回は島の外に作るしかない」
「なんか、すげぇ大変だな」
「そんなもんだ。まぁ、これからどんどん開拓すれば、自然と島民も増えるし、そうすれば島の中だけでも売れる。最悪造った酒は、人族の大陸に多めに卸せばいい」
「今取り引きしている、オルソさんの所はどうするんです? 一応うちの酒を扱ってますよね?」
ルッシュさんはオルソさんの所との繋がりも気にしてはいるみたいだ。
「商工会議所に加入して、そこに卸せば今までの実績があるから、今まで通り売ってくれると思います……。一応義理もありますし、そうした方が心情的にもいいと思います。問題は極力少ない方が良いですし、オルソさんの所が大手になれば、いずれこちらにも色々うま味が生まれます」
「では、直接販売はしないと?」
「そうですね、一貫して『オルソを通してくれ』って言わせれば問題ないかと。そうすればこっちも儲かって、向こうも儲かる。一応ウィン・ウィンの関係になります」
「ういんういん?」
真面目な顔で、なんか復唱してるルッシュさんがかわいく見えるわ。キース爆発しろ。
「まぁ両方勝つって認識で良いですよ」
「そうですか。管理者はどうします?」
「今島で働いてる、すべての行程を知ってる熟練した方三名くらい。魔族の方が問題は少ないと思います。建設は俺と織田さんとヴァンさんでセレナイトに話し合いに行きつつ、ちょこちょこ口出しに行く感じですかね? 設計図と違ってたらどうにもなりませんし。最悪古い家屋か倉庫の改築ですね」
「わかりました、それで行きましょう」
最悪セレナイトにヴァンさんが行くかもしれないが、農具とかの修理もあるからな。
「そうですね、翌日の暑くなる頃に計画書を書きます。涼しい時間帯は、レンガ作りの窯でも作ってますよ」
「おいカーム。おまえいつ休んでんだ? 明らかに仕事しすぎだろう。肉体労働に、書類書き。お前おかしいぞ?」
今後の予定を話しつつ、明日には書類を書くと言ったら突っ込みが入った。前世の仕事に比べれば多少ぬるいけどな。肉体労働もある程度筋肉あるし辛いとは思わないし。
「後で楽するのに、今苦労してるに決まってんだろ。一応それらしくなって、なにもしなくても島全体が、一個の村か町として回るようになったら相談役になって引っ込むし。どれくらいかかるかわからないけど、季節があと二十回巡るまでには引退したい……。割とマジで」
「馬鹿みてぇな考えだな」
「自分でもそう思う」
少しため息をしつつ、そろそろ夕飯なので事務室に広げた資料をしまい、皆で事務所を出た。
「悪いなキース。夕飯までの短い時間を奪っちまって」
「あ? まぁ、たまには良いんじゃねぇか? 」
「別に私もかまいませんよ? 付かず離れずくらいが程良いといいますし」
「そうですね。よくそういうのは聞きますね。まぁ、人目を気にせずにイチャイチャしまくってるのも長続きしてる気がしますけどね」
「俺はそんな事はできねぇな。恥ずかしい」
「同感です」
「俺もです。けど、なんだかんだで収穫祭とか年越祭で甘えてきたり、キスしてきたりで、恥ずかしいんですよね……酒が原因ですが」
「奥様方とは上手く行っているのですか?」
「まぁ、十日に一回は戻ってますし、その時に……まぁ色々と……」
俺は一応言葉は濁しておいた。
「いっぺんに二人相手か?」
濁した結果がこれだ、少しは空気読んでくれ。
「交互が多い、たまに二人……。いわせんな恥ずかしい! まぁ、片方はある意味強欲、片方は夢魔族。体がもたねぇよ」
「アピスさんに頼むのはどうです?」
ルッシュさんまでナニを言ってるんですかねぇ……。
「残念ですが、毒に近い薬は俺に効きませんよ。毒を盛られた果実酒と、料理を人族の王都で美味しくいただきましたからね」
「ばっかじゃねぇの! 毒が効かないとかありえねぇよ! ってか、飯食ったとは聞いたけど、毒盛られたとかきいてねぇぞ!」
「そうですね……。確かに異常です」
「まぁ、こればかりは仕方ないです。ある意味色々助かりますけどね。もしかしたら、知らない内に妻達に精力剤を盛られてた可能性もありますし」
俺の言葉に、ルッシュさんが特に何も反応せず、普通に歩いてるだけだった。ちょっとした反応が見たかったが揺さぶりに強いな……。
「あー、だから最前線基地で禁輸品の葉っぱを焚いたのに平気だったのか。やっと納得できたわ」
「興味があるわ、後で本人がいない時にでも聞かせてね。報告書でしか確認してないの」
「いや、本人隣にいるから……」
「ベッドの中でな」
「さっそくイチャイチャしてんじゃん!」
「あ? カームだからいいんだよ」
キース君。後でじっくりお話しましょうか……。酒抜きで!
なんだかんだで初めて雨の描写かもしれない。
※何回か書いてますが、この世界の麦の収穫は秋です。
ノーフォーク農法で収穫時期をずらした麦作りもや畑を倍に増やす方法も考えていますが、労力が圧倒的に足りていませんので、今は避けています。




