表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓三年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/324

第182話 赤土について考えた時の事

多分合ってると信じたい。

 あれから島に帰り、正式な書類として、ニルスさんのサインが入った契約書をルッシュさんに渡し、業務に戻った。

 ルッシュさんは契約に書かれてる、倉庫の在庫からの売買を認めると書いてある一文を見たのか、何も言わず種類分けされてるラックにしまった。



 翌日、俺はレンガ材となる赤土を探そうと思い、重い腰をあげる。ある程度目星はつけてはいるが、場合によっては場所の移動を考えなければ不味い。

 目標は、練る為の水源が近くにあり、各村から近い事だ。

 とりあえずだが、第一村の池の向かい側をレンガ作りの場所にしたいと思っている。

 第二村近くは平地が多く木も少ないので、軽く掘れば赤土が出ると思うし、第三村もカカオの木が生えてる場所までのどこかを考えている。

 まぁ、まずは第一村だな。ってかいい加減村の名前も決めないとな。


 そして、村の池の向かいに着き、魔法を使い表面の黒土をどかし、赤土が出るまで掘る。

 元々水が溜まってた沼なんだから、腰くらいまで掘れば赤土が出ると思うんだよな。うん、出たね。ってか池の近くだから、赤土近くの黒土をどかしたら、既に泥沼状態で、赤土の表層に水が溜まりだした。

 赤土は本当に水はけが悪いな……。もう少し離れないと無理だな。

 俺は黒土を戻し、少しでも標高が高い方に移動する。今は小川が池に水が流れ込んでる場所から、上流に百メートル、横に五十メートル程度離れた場所に立っている。

 この辺なら多分赤土の層も傾斜だから平気だと思いたい。

 そしてもう一度黒土をどかし確認をする。一応黒土は乾いていたし、水もにじんで来ない。俺は穴に降りてスコップを踏んで赤土を掘り起こすが、ガチガチに硬いって事もなく、スコップで事足りる。

 土塊(つちくれ)を手で半分に割り、少しだけ指で摘んでこすってみるが、かなり小粒の火山岩が含まれてるので、ツナギとしても十分だと思う。わざわざ山の温泉付近のザラザラした、土になりかけてる物を持ってくる手間も省ける。

 そして【水】を出して、半分にした方を手の中で練ってみるが、粘土みたいになるので水分を調節すれば枠にも入ると思う……。問題は伐採と根起こしと排水だな。村を拡張するのに、小川に沿ってある程度は当たりを付けながら伐採だけはしてあるが、レンガ作りの場所までは考えてなかった。

 採石場付近は水が出なさそうだし、井戸から水を汲み上げるのも手間だと思う。やっぱりここか。道を敷く予定地から五十メートル離れてれば、景観もあまり損なわれないだろう、けど将来性を考えるなら、ここにレンガ作りの作業場を作るのはどうかと思う。けど運搬の手前を考えるならここ(・・)が便利だ。

 干しレンガじゃないから、積んで置いても溶ける心配はない。ただ、これだけ掘って雨が降った場合の排水が問題だな。足場が悪い状態で作業は危険なのでさせたくはない。池の方に流すと水が濁るだろうし、底に粒子の細かい物が蓄積され、そのうちせき止めて大掃除も必要だろう。

 一ヶ所だけ岩盤を掘り抜き、そこから排水が最善だと思うが、それも多分詰まるだろう。

 俺は粘土を握って、垂れた黄土色の水を靴で延ばすが、かなり滑る。摩擦係数とかはよくわからないが、雨になったら乾くまで辛いだろうな。問題は子供や孫の代に回したくはない。

 溜まった水はそのまま練るのに使用しても良いが、多分使いきれない気がする。プールみたいに、一段下げて汚水升のようにして汲むか? 問題はどこに排水するかだよな。

 なんとしても汚水の海への流出は避けたい。晴れた日に赤土の上に蒔いて、乾かすしかないか?

 もしくは逆の発想だな。流れ出た汚水がものすごく広い水田みたいな場所に流れ込むようにして、綺麗になった上水だけ排水出きるようにして、真水でも平気な生き物を養殖する方法だな。

 後者の方が生産的だろうか? 確かマングローブの何かの植物を植えて、落ちた葉っぱについたバクテリアを餌にしてたし、どんどん黒土化も進むような養殖方法があった気がする。けど排水もするから、水流を強く生む。家禽類は放せないだろうなぁ。そう考えると何かの養殖も避けたい。ここは素直に沈殿槽だけを作る方が問題は少ないだろう。

 ってか何か植えて養殖云々は、何かの土壌汚染対策だった気がする。赤土の水質汚染じゃない。

 言うは易く行うは難し、だな。

 これは勇者達に赤土と海への流出の相談だな。

 これで行くしかないかな。内陸過ぎる場所で作っても、運搬が困難だしな。


 俺は服に付いた汚れを払い、靴の土も念入りに落として執務室に戻り、計画書を書き始める。

 レンガ作りの場所は水源近くである事、景観を損ねない場所、赤土の海への流出による水質汚染からの珊瑚礁の保護。

 今後の運搬経路の確保、荷車等での最大積載量、島内での大きさの均一化、燃料用の木材確保後に育ちが早い木材の植林計画。

 今のところこのくらいだろうか? とりあえずは多分これで平気だろう。あぁ、もうこんな時間か、夕食食べないと……。

 気がついたら、作業机の上にはルッシュさんが処理した書類があり、冷め切ったお茶も置いてあった。根を詰めすぎたか……。一回始めちゃうと、区切りが良くなるまで作業する癖は直した方が良いかもしれない。っていってもまだ夕方六時くらいだけど。

 赤土レンガ作りの場所、それに伴う汚水処理方法の企画書を紐を使い綴り、今日の作業は終わらせ、フルールさんに頼んで会田さんにアポを取る。詳しい人がいればいいけど……。

 そして、机の後片づけをしていたら、パーラーさんに夕食に呼ばれたので、夕食を食べに行く。

「話しかけても返事がなかったんですけど、一応書類仕事も真面目に出来るんですね」

「酷いですね、俺だって真面目に出来るんですよ?」

「料理やお菓子作りだけかと思ってました」

 ははは、ひでぇ……。



 俺は日本酒を木箱に入れて梱包し、ルッシュさんに一声かけてから王都に向かおうとしたら、昨日は何を熱心に書いていたのか気になったらしく、素直に計画書を見せた。

「軽く目を通しましたが……、正直に言うと一部だけ私には理解できませんでした。珍しく根を詰めていると思いましたが、こんな事を考えていたんですね……」

「えぇ、石材の枯渇は目に見えてますからね。ここは噴火して出来た火山島ですし、赤土なら掘り返せばかなりの埋蔵量だと思いましたので」

「この、海に赤土が流れて、珊瑚が駄目になると言うのは?」

「それですか? 黒土と違い栄養がないので、海の植物や魚に良い事はないです。それにものすごく細かい土が遠くまで行って、沈んで海の底を汚染しますので、なるべく海に流さないで処理する方法ですね。ですから、ものすごく広い池みたいな物を作り、雨が降った時に、そっちに流れるように作り、沈殿させます。嵐で溢れるようなら拡張です。そうしないと、水棲系の魔族の方々が攻め込んでくるでしょうね。まぁ、ずっと水が流れ込んでるって事はないので、水田みたいにそこまで溜まって溢れることは少ないと思いますが」

「そんなに酷いんですか?」

 ルッシュさんは険しい顔つきで聞き返してきた。

「赤土って色々やっかいなんですよね。だから念には念を入れないといけません。なのでこの沈殿槽の掃除はこまめにしないと不味いですね、ですから、ちょっと勇者に相談しに行ってきます。周りの珊瑚礁を全滅させたくないので」

「カームさんが相談する程度には、深刻と言う事ですね」

 褒めてるのか、貶してるのかわからないな……。俺だって知らない事くらいある……。

「そうですね。俺は専門家ではないですし、確信が欲しいので相談(・・)です。では、行ってきますね」

「魔族嫌いに襲われて、殺さないように気を付けて下さい」

「わかってますよ」

 確かに勇者達は俺の事を知ってると思うけど、他の兵士とかメイドとかが問題だよな……。俺は苦笑いをして、執務室戻った。


 俺は地下室に転移し、毎回のように挨拶をして日本酒の箱を渡す。

「アクアマリンで作った日本酒ですので、みなさんで飲んで下さい。もちろん気に入ったら購入を。中に会田さんへの手紙もありますので、開けたら渡しておいて下さい」

「わかりました。それにしても日本酒ですか……。キノコのピルツさんの能力で菌関係がいじれると聞いてましたので、さほど驚きはないですが、やっぱりうれしいですね、感謝します」

 今日の見張りさんは、ものすごくまじめそうな感じだ。

「おっと、今日も遅刻か。申し訳ありません」

「いえ、今来たところですよ」

「で、相談というのは?」

「これを見て下さい」

 俺はレンガ作成の計画書を机に置いた。

「見ても?」

「えぇ、どうぞ。赤土の水質汚染だけクリアできれば問題ないんですが、俺の知識ではどうにもならないところがありますので……」

 会田さんが、赤土の沈殿槽のページまで来たら、見張りの為に作業をしていた勇者が口を出してきた。

「あーこれですか? 近所で騒いでて、法律も作られてたので多少は知ってますよ。犬の散歩コースの近くでしたし」

「本当ですか!? ちょっと詳しくお願いします」

「えぇ、かまいませんよ。えぇっとですね、これを見る限り、珊瑚礁云々の知識はあるみたいですので、赤土の土砂が流れない為の構造ですね。この場合だと、掘って赤土を露出させてるから、雨が降ったときの汚水の問題だけですね」

「えぇ、そうです」

「山を削って赤土を露出させると。周りにU字溝みたいなのが必要なんですが、これなら水が一ヶ所に流れるような図面ですので、沈殿槽の入り口に、深めの水貯め場を作るのは正解です。大抵の物はここに沈殿します。けど細かい物は無理ですので、敷き藁をして、ソコに付着させます。あとここの斜めになってる……のりめん? ってよむのかな? は赤土のままではなく、保護シートか、芝生でしたね。とことん赤土の流出を防ぐ感じです。この上水が流れ出る溝の清掃もこまめにすれば。殆ど流出は防げますよ」

「沈澱槽に敷く藁は、多い方が良いって解釈して良いですかね」

「はい、水槽の濾過器みたいな感じですので、詰め込んでもいいんじゃないんですかね? その辺はわかりません。腐って黒土とかになりそうなら交換で。藁が流れないように、もちろん上澄みを流すところには、網みたいので流れるのを防げばそれっぽいです。何度も言いますが、最初の深い所の清掃はこまめに……」

「わかりました」

「専門家が必要かと思いましたが、ご近所さんって手もあるのか……。人族の大陸でも、推奨させたほうがいいかな?」

 俺と、見張りの勇者が話してた横で、会田さんが何かを考えている。

「台風みたいな雨が数日続かない限り、この構造でも平気そうですね、水が流れ込んでる訳でもなさそうですし」

「そうですね。いやー詳しい人がいて助かりました。カレンダーとかテレビに出てもいいような、綺麗な海と景色ですからね。本当に感謝です」

「いえいえ、自分の知識が役に立ったのならうれしい限りです。島の開発がんばって下さい。会田さんももの凄くがんばってますので」

「みたいですね、なんか隣でぶつぶつ言いながら、赤土の水質汚染問題っぽい事書いてますし」

「この人も苦労してますからねー。また温泉に誘ってあげて下さいよ」

「ははは、そうですね。では、今日はありがとうございました。なんか考えるのに忙しそうなので、会田さんによろしく言っておいて下さい、お願いします」

 俺は思いがけないところで情報を手にいれ、早速執務室に戻って、計画書に、先ほどの事を書き足した。

活動報告に、アクアマリン島のイメージ図を投稿しました。

なんとなくこんな感じになってるんだなー。と、確認したい方はこちらへどうぞ。

自分の中のイメージを壊したくないという方は、見なくても問題はありません。


http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/428528/blogkey/1646996/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ