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第119話 ハーピー族がかなり凄いとわかった時の事

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。

 あれからすぐ、島民に逃げ出した勇者の事と、俺を狙ってくる可能性がある事を伝えた。

「あくまでも可能性なので、そんなに心配する必要は有りませんが、一応島の内陸に、逃げ出せる準備をしておいて下さい」

「来る可能性はどのくらいなんでしょうか?」

「んー。これ見よがしに、その勇者の恋人と思われる第三王女を、椅子に縛り付けて、着てる物ひん剥いて、拷問は嫌いなんで羽箒でくすぐりまくって失禁させました。その後に、理性を失った勇者が襲ってきたので、盾で思い切り殴りつけて、転がってる所に首に刃物を当てて、こいつを殺されたくなかったら王を説得して下さいって、笑顔で言っただけです」

「来るよ! 絶対勇者来るよ! 絶対その二人から恨まれてるから!」

「あくまで可能性ですから……ね?」

「ね、ってその楽観的な根拠はどこから来るんですか!」

「勇者による、港町の監視、見回りの強化。王都での各門を厳重に監視、取り締まりの強化?」

「なんで疑問系なんすか……」

「さぁ? まぁとりあえず、勇者が見つかったって報告が有るまで、警戒しておこうと思うし、水性系魔族の皆さんや、ハーピー族の皆さんに、不審船への牽制も視野に入れてますから」

「具体的にお願いしますよ!」

「船底へ、特殊工具を使って穴を開ける、空から酒を落とし、マストや甲板を燃やす。幸い、大型船が島に乗り入れる為には、湾内に入らないと無理、島の外周で停泊して、小型船で島に乗り込もうとしたら、パルマさんの報告が有り、島内に入り込まれたら、フルールさんの監視有りで逐一報告が有ります」

「それに竜族の姐さんもいますからね」

「あー、言いにくいんですけど、クラーテルさんは戦力に入ってないです。皆に報告する前に伺って、もしもの場合は防衛に協力して下さいって言いに行ったんですが『いやよーめんどくさい。私を狙ってるならともかく、狙われてるのはカームちゃんでしょ? けど安心して! 蒸留所と酒蔵とそこで働いてる人は守るわ!』だそうです、なので全員酒蔵に逃げて下さい。間違っても、農具を持って応戦しようとしないで下さい」

「ひでぇ話っすね」

「全くです! たぶん頭の半分以上は酒しか考えてないです! むしろ頭の中に酒が詰まってます」

 そんな話を食事後に皆にして、最悪の場合は、酒蔵に逃げるように言っておいた。

 ちなみに、農具がミスリル製なのは鍛冶が出来る二人しか知らないので、応戦すると言う意見は出無かった。



 俺は、ハーピー族の住む場所まで転移し、規模は問わないけど、小さな火球を使える子を紹介してもらい、話をすることにした。

 ハーピー族の女の子は地味な子が多いと思ってたけど、黒一色って言うのも珍しいな。なんかカラスみたいだな。

「空を飛んでても使えます?」

「はい」

「空を飛ぶ時に、どのくらいの重さの物までならもてます?」

「そうですねー、コーヒー袋の半分の半分よりちょっと軽いくらいまでですかね?」

 十キログラム程度か。壷より皮袋に、蒸留酒と調理に使った廃油を入れて投下させると良いな。けどこの子が魔法を使えるなら、他の子達に一斉に酒と油を投下させて、それに火球を撃った方が良いな。それで行くか。

「では明日の昼食後に、入り江に知り合いを五人連れて来て下さい」

「はい」


 そして俺は、鉄板に料理に使った廃油と酒を振り掛け、小さな火球で着火し、どの酒がどのくらい量なら、廃油が発火温度にまで達するかを大体で覚える。

 油だけだと小さな火では発火しない、酒だけだと燃焼時間が短い。なら酒で、無理矢理発火温度まで上げれば良い。

 カップ一杯の油に対して、どの程度の酒で油が発火するのかを試し、酒が燃え尽きた時に油に火が着いているかを覚え、どの程度の量を皮袋に入れるのかを割り出す。



 翌日の昼食後、キースを連れて砂浜に来た。船長達が乗ってる船の大体の大きさを砂浜に描き、ハーピー族が来るまで待つ事にする。

「おい、なんで俺が呼ばれてるんだよ」

「ん? 空に向かって思い切り矢を射ってもらうつもりだからだ」

「何でだよ」

「ハーピー族が矢に当たらない高さまで飛んでもらって、この水の入った皮袋を、砂浜に描いた船と同じ大きさくらいの場所に当てられるか知りたい」

「俺は大体の目安かよ!」

「そうだな、全力で頼むぞ」


「ってな訳で、お願いします」

「まずはある程度の高さで止まって、飛んで来た矢を追いかけて、落ち始めた場所から、この線の中にこの水の入った袋を落とせば良いんですね、やってみます」

 そう言うと、ハーピー族の女性六人が、器用に水袋を足で掴んで一斉に空に散っていく。

 本当に十キログラムなら持った上で飛べるんだな。

 しばらくして空中で、翼を広げながら一定の高さでクルクルと輪を描きながら飛んでいる。いつでも平気という合図だ。

 キースがそれを見て、ギリギリまで引き絞った矢を放ち、見事に縁の中心を抜けて行った。そうすると、彼女達は一斉に上昇し、更に高い位置まで飛んで行く。

「おー、すげーなー。もう黒い点にしか見えねぇぞ」

「そうだなー。俺の矢って空に放つと、あの辺まで届くのか」

 そんな会話をしていると、俺の一メートル先に矢が突き刺さった。俺はキースを睨むと、

「いやいや、風のせいだから! かなり高い位置の風なんか読めるかよ! 偶然だかんな!」

 そんな事を言っていたが、どや顔で「俺の腕も褒めて欲しいね」くらいは言ってほしかったな。戦力的に。まぁ、こいつもこいつでシンケンよりすごいのは知っている。フレーシュさん? アレはエルフ族だから多分論外だね。

 そんなやり取りをしていると、空中から飛来して来た革袋が、次々に船の形をした線の中に入っていき、黒いシミを作っていく。

「すげぇな」

「そうだな、鷹の目とか本当に信じたくなってきたわ」

 上を見ていると、急降下して来て、地面近くになると羽をバタバタさせて、砂を巻き上げながら降りて来た。

「いやー、すごいですね」

「こんなの簡単ですよ」

 ニッコリと微笑みながら言ってくる。

「では、今度はあの沖で航行中の船に、さっきと同じ高さから落としてみてください。心配しないでも平気です、船長には話をしてあるので」

「わかりました」

 そう言って、また水の入った水袋を持って飛んで行った。


 そして俺は、前にキースに見せてやったスコープっぽい物を渡し、自分でも覗いて見る。

 船の上空と思われる場所で、旋回しているのが辛うじて見えるが、何をしているのかさっぱりわからない。

 けど足元に置いてあったフルールさんの鉢植えが「六個全部甲板に命中だってー」と言ってきた。

「動いてる船にも全部命中か、すげぇな」

 スコープっぽい物を覗きながらつぶやく。正直ハーピー族舐めてたわ。未来位置予測とか風とか有りそうだけど、全部当てられるとは。正直島にいる全員で落としてもらったら、十隻くらいで乗り込まれても甲板は火の海にできるな。

 ってかあの子達、カラスじゃね? なんか普通に会話できるし、魔法が使える程度には想像力が有るし、動いてる船に物を落として当てられるし。

 都心のカラスがかなり頭良い事を思い出したぞ。鳥類の中でも、頭が良いんだったな。

 そんな事を思っていると、

「そうだな。それとこれ、もっとデカくなんない? これでもまだちいせぇんだけど」

「出来るけど、いろいろ調節が面倒だからやんない」

 そんな事を話しながら考える。矢の届かない位置からの液体投下は出来たので、あとは火球を当ててもらえれば問題無いな。

 さっき急降下してきた時に、視認外からの急降下爆撃的な物が有ったのを思い出したけど、この時代の飛び道具の弓か魔法を先制攻撃される前に、落とせれば良いので、急降下爆撃の案は自分の中で却下した。安全優先だからね。



 後日、少し長い鉄の棒をクランク状に曲げた先をドリルに作ってもらい、水生系魔族達に配り、

「俺が敵と認めた船はコレで船底に穴を開けて下さい。ちなみに使い方はこうです」

 刃先を木材に当て、両手を回す様にして木材に穴を開けていく。

 ちなみに刃先は螺旋では無く、かなり鈍角に刃を付けただけのドリルだ。百五十度くらい? 錆びても穴くらい開くだろう。

「こういう風に使えば穴が開きますので、もしもの場合は船底に穴を開けまくってください。最悪沈みますし、最低でも嫌がらせになりますので」

「まぁいいだろう、船底なら確実に死角だから、銛を投げられることもないだろう。多少鉄臭いのが気になるが」

 アジョットが腕を組みながら言っている、俺はお前に銛を投げたいよ……

「お願いします」

 水中を高速で移動できるから、島の反対側までも。停泊してる状態なら多分、相手が色々準備してる間に嫌がらせくらいできるな。



 勇者達が、嬉々として米を磨いでいる頃


 ジャスティスが幽閉されていた地下牢の、さらに下の階に在る拷問室。その隠し扉を進んだ先に彼等はいた。

 人が一人中腰で歩ける程度の大きさで、至る所に水溜りや、丸々と太ったネズミが徘徊している。

「ここが閉鎖されて、誰もいないのが幸いだったわ」

「そうだな、あの糞みたいな連中に感謝だぜ」

「貴方達の国の人間は甘すぎるのよ。まぁ今はそれが幸いしたけどね」

「あぁ、俺達の国の人間は平和で礼儀正しいからな。確かにこんな場所が有れば即閉鎖だな。まったく馬鹿な奴等だ」

「あら、貴方も同じ国の人間なんでしょ? そんな事を言って良いの?」

「あ? 俺は良いんだよ、優しくねぇからな。へへっ」

「私には優しいのに……何を変な事を言ってるのかしら?」

「レルスはすげぇ綺麗だし、王族だからな。一緒にいて損はねぇよ。優しい国でも俺みたいに、強い奴と一緒につるんで色々やってる奴もいるんだよ」

「酒場でたむろしてる、素行の悪い冒険者や盗賊の様に?」

「あぁ、殺し以外の事ならなんでもやったぜ」

「あら、なんで殺しはやらないの?」

「優秀な憲兵みたいのがいるんだよー。まったくあいつ等マジウゼェんだよ。だから殺しはしねぇ、色々めんどくせぇからな。所でこの道はどこに繋がってるんだ?」

「城壁の外の森に有る、王家の墓までよ。一本道だけど、本当に緊急用だし、知ってるのは極わずかよ。動員された奴隷も最小限で、その後始末されてるって話だからね」

「ぶっちゃけそろそろ腰がいてぇんだよ。なんでもっと広く作らせなかったんだよ?」

「さぁ、人員の問題と、この岩の硬さじゃないかしら? 聞かされてはいたけど、使ったのは今日が初めてだし」

「どうせ使い捨てんならもっと高く掘らせろよな、まったく使えねぇ奴隷だなぁ」

「本当よ、臭いし汚いし水溜りは有るし、もうこの服は捨てるしかないじゃい」

「マジ鼠がうぜぇんだけど! きたねぇから踏みつぶしたくもねぇぜ」

 そんな愚痴を続けながら、二人はどんどん通路を進み、王都の外に有る王家の墓まで向かった。

おまけSSを更新しました

http://ncode.syosetu.com/n4699cq/


初めてR18に挑戦しました。

興味のある方は「魔王になったら領地が無人島だった(ノクターン版)」で検索をしてください。

内容の方はある程度察して下さい。コレで色々向上できれば良いんですけどね。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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