天国ですか?
私の勉強不足で完結済みにしていましたm(_ _)m
まだまだ続きます!よろしくおねがいします。
あの日、急いでいた私には分からなかった。
十字路から凄いスピードを出してこちらに向かってくるバイクに。
ヒステリックに叫ぶ女性の声に。
気が付いた時にはもう遅くて。
まるでコマ送りのようにバイクが近づいてきて。
逃げなきゃいけないとは思っていても、体は言うことをきかなかった。
こりゃ死ぬな。
そう思った。
バイクまでの距離はあと5メートルもない。
さよなら、みんな。ダイスキダヨ。
・・・。
完全に死んだと思ったのになんでこんな森の中にいるのでしょうか。
もしやここは天国なのでしょうか。
いや、断じてない。
たとえそうであったとしても私はここを天国とは認めない!
こんな鬱蒼とした森が天国だと?
バカにしているのか私を。
天国というのはさあ、もっとメルヘンでしょ!メルヘン。
なのにこの森ときたら・・・メルヘンな要素全然ないよ。
もしやこの先にいくとお菓子の家があったりするんですか。
いや、ないでしょう。絶対になさそうだもん。
しかもあえて突っ込まなかったけれど、なんで犬耳と尻尾が生えているのでしょうか。
天国っつうのは普通、輪っかじゃないでしょうか。
実は輪っかなんてないんだ・・・天国に逝くとみんな犬耳と尻尾がつくんだよ。
みたいな冗談は通用しませんよ。
そんなの寒すぎて笑えもしないわ。
さて、かれこれ3時間ほど彷徨っていますが、まったくもって外に出れません。
むしろ緑が深くなっている気がします。
真夜中だということもあって、実をいうとメチャクチャ怖いです。
誰か助けてください。
もう死んでるから、死ぬことはないだろうけど。
でもやっぱり怖い。
だって、歩いてる時にできた擦り傷がズキズキと痛むから。
まるで自分が生きているようで、ここが天国ではないような気がして。
ひとりは嫌だ。
今まで生きてきて、何とも無いように振る舞っていたけど、実はすごく寂しかった。
もしここが異世界なら私は本当に一人ぼっちになってしまう。
今まで形だけでもいた家族がいなくなってしまう。
そんなの嫌だ。
ガサガサッ
「っ!!!!」
物思いにふけっていれば、何かが動く物音がした。
もしや獣!? 私を食べようというの!?
おいしくないよ私。
ガサッガサガサ
何が出てくるかビクビクしていたけれど、茂みから出てきたのは、人間だった。
び、びっくりしたあ。
獣が出てこなくてよかった。
食べられちゃったらいくら天国でもひとたまりもないよね。
人間が出てきたということは、私は助かるかもしれない!
よかった、とりあえず飢え死には避けられる。
「あ、あの「おっおい!獣人がいるぞ!みんな、こっちにこい!」
・・・え?
ジュウジン?何それ、ニンジンの仲間??
ジュウジン・・・獣人・・・!?
もしかして私のこと?
確かに、よく見てみると相手の人間には犬耳と尻尾はなかった。
代わりに昔の私と同じ、普通の耳しかなかった。
「おお、本当だ。久しぶりに見つけたなあ。イッヒッヒッ!しかも子供じゃねえか」
「おい、よく見てみろ、狼だぜ。言い値で売れるだろうな!」
「キシシシシ、これで寂しい生活ともしばらくオサラバだぜ!」
な、何???
どういうこと?もしかしてこの人達は私のことを襲おうとしている・・・?
「お嬢ちゃん、怖くないよお。こっちにおいで」
「そうそう、おじさんたちは怖い人じゃないよ」
う、嘘だ!明らか怪しいじゃないか!
「い、嫌っ!」
私は残っている力を振り絞って森の中を走った。
足にできた傷が痛んだが、そんな気にしている場合ではなかった。
ニゲナイト、ニゲナイト、、、コロサレル・・・!!
本能が告げる。
早く遠くまで逃げなければ・・・!
「おい、逃げやがったぞ!追え!!アレを放て!!!」
ビュンッ--------------
「っうっ、ぃたぁ」
足に何かが刺さった。
激痛が走る。
でも逃げないと。なんでこんなに逃げたいと思うのか。
自分でも分からなかったけど。
にげないと・・・!!!
足を引きずりながら森を走ったけど、やはり相手の方が早かった。
「ケケケケ。少し傷つけちまったが、こんくらいなら大丈夫だろ。」
人間が私の腕をつかむ。
「っこ、コイツ、他の狼とちょっと違うぞ!?」
「ほんとだ!でも大丈夫だろ。色以外は変わらないじゃねえか」
どういうこと。
ここは天国なんじゃないの。
私は、ひとりになってしまうの・・・?
----------シュッ
「「「グエッ」」」
・・・!?
慌てて上を見上げれば、
そこには私を襲った人間の塊と白く輝く麗人が夜の空に映っていた。