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ビョウブを最初に見つけたのはノモンだった。
姿の見えないビョウブを探して湖へ向かったノモンはその光景を目にし、激しく咆哮した。
「うおおおおおおぁぁぁ!!」
ノモンは真っ赤に染まったビョウブを抱え、とぼとぼと町へと戻った。
その姿に人々は言葉を呑んだ。
誰も声を掛けられず、集まった人々が道を開け、その村人のアーチの中央をノモンは歩いていった。
その姿に人々は、口を押さえ、目を背けた。
ノモンがやって来た時、ヨキはその場にへたり込んだ。ノモンの手に抱える絶望がヨキの視界を真っ暗にした。
「な、なぜ……」
先ほどまで楽しく喋っていた相手。親しい間柄。信頼を寄せていた仲間。
味方の国にいることで安心していた。こんなことがここで起こるなんて思いもしなかった。油断していた。
「い、いったい何が……?」
ノモンは動かすのも辛そうに首を振った。
「分からねぇ……。オレが見つけた時には一面、血の海だった……」
「血の海……」
ノモンは激しく顔を歪ませた。
「ちくしょう!! いったい誰がこんなこと!」
迫り来る喪失感と共に、ヨキの目の前に突然、映像が浮かんだ。
血の海……。
倒れる者……。
動けない……。
ちくしょう!
ちくしょう!
ちくしょう!!
切り抜いたフィルムが断片的に頭に過り、眩い光を目の前で放った。
たくさんの情報がヨキの頭に一気に入り込み、脳を小突くように叩いてゆく。
煙のように浮かんでは消えてゆく記憶の欠片。
それらがヨキに何かを訴え続ける。
その衝撃の応酬にヨキは頭を押さえた。
「ううう……」
激しい頭痛がヨキを襲った。
そしてふっと意識が遠のき、ヨキはその場で前のめりに倒れ込んだ。




