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ビョウブは俯せに倒れながら、自らの血の海を眺めていた。
あーあ……
ほんと……
ツイてないわね……
二度もあの子の大剣を味わうなんて……
もっと警戒すべきだったわ……
ビョウブは喉に込み上げる血の塊に激しく噎せた。
万事休すね……
魔法を封じられた魔法使いなんて、ただの亜人でしかないわ……
薄れゆく意識の中で、ビョウブはヨキの顔を思い浮かべた。
それでも……
どうにかヨキちゃんに……
知らせないと……
ビョウブは力を振り絞って仰向けへと体を動かした。夜空に浮かぶヨキの顔。
はぁ……はぁ……
ヨキちゃん……
どうか……
この世界を……
救っ……
ヨキは冷たい夜風に目を細めた。
目の前では宴会がまだ盛り上がっている。
それなのに何だか今夜は懐にぽっかりと穴が空いたようにやたらと風が身にしみる。
ヨキは火にあたりながら腕を擦った。
夜風はからかうように、身を縮こまらせたヨキの耳と鼻とほっぺを抓っていった。




