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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第5章 アルージ国編
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20


体勢を整えるためにヨキ達はドラゴン族のディーカイト・カゲ国へと一旦戻った。


ドラゴン族はヨキ達の凱旋(がいせん)を歓迎して労をねぎらってくれた。


「大丈夫だったか?」

ヨキが尋ねると、フジナミは剣を掲げて誇らしげに(うなず)いた。


「はい、ヨキ様のお力とイデヨ様の遺志の賜物(たまもの)です」


ホイホイの切羽詰まった発信に危惧(きぐ)が募ったが、ヨキが思うほど案じるほどではなかったようである。


怪我人はいたが、ホイホイが治せる程度の少人数であったし、国内に混乱は残っていない。


「せっかくの再建を早々壊されては(たま)りませんから」


町並みへの被害も最小限で、国民は変わらず前向きに復興に勤しんでいた。

攻め込んできた亜人やタヌキ・キツネ族も介抱されて復興を手伝っている。


彼らになぜ攻め込んできたかを尋ねても、上からの命令である以上の理由がなく、彼らは何も聞かされていなかった。子供も多く、何も知らずに参加させられただけの者ばかりだ。


レイチョウのことも詳しく知る者はいない。


なぜ三国を一斉に攻めてきたのか。確実な勝算があったのか。

どうもヨキにはそうは思えなかった。


単なる威嚇(いかく)なのだろうか。その割には手が込んでいる。

ヨキは腑に落ちない状況に頭を悩ませていた。




ヨキ達のために豪勢な夕食が振る舞われ、町の者も侵略者を退(しりぞ)けた喜びも相まって、お祭り騒ぎとなっていた。


自分達は強い、負けるわけがない。

そう確信して疑わなかった。



ヨキ達は何も成し遂げた感触がないままの帰国で、祝われることに抵抗があったが、町の者が(にぎ)わっているので、それに合わせて楽しんでいた。


トリ族の掛け合いに笑い、ブタ族の腹踊りに拍手を送る。異なる種族同士で肩を組み合い、酒を酌み交わす。


ヨキ達が望む平和な世界の縮図のようだった。


宴会は夜遅くまで続いていた。


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