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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第5章 アルージ国編
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17


亜人の群れは黒い法衣を(ひるがえ)し、ヨキ達を取り囲んだ。


「これは……本物の亜人か?」


ヨキのその疑問に答えるように、亜人は間髪を入れず魔法を放ってきた。炎や氷が降り注ぐ。


「ひぃぃ!」

チャガマとタンタンは頭を抱えてしゃがみ込んだ。


ヨキは皆の前に立ちはだかり、その魔法を受け止めた。


「本物の亜人だ!」


魔法を放てるということは亜人である証拠である。


息をつく暇もないほどの魔法が飛んできた。


魔法に関してはすべて無効化出来るため損傷はないが、こちらから応戦が出来ない。


ビョウブが隙をついて善意の魔法を亜人に向けて放った。しかし亜人は結界を作り、善意魔法を受け止めた。結界は善意によってすぐに壊されたが、他の者がまた張り直している。


「ちっ、なんなの! 消耗戦でも狙ってるのかしら?」


壊されては結界を張り直し、攻撃魔法を繰り出してくる。


ヨキ達は防戦一方で攻撃に耐えていた。


「みんな耐えろ! 魔法は生命エネルギーだ。相手も放ち続ければそのうち出せなくなる」


けれど大群が次々に放ってくる魔法は、一向に止む気配がない。互いに間隔を空けて放つことで持続性を保っているようだ。


(ごう)を煮やしたブヒゾウが魔法石を取り出し、悪意の姿に変わった。


「オイラが蹴散らしてきます!」


善意の剣を構え、ブヒゾウが飛び出した。


ブヒゾウの善意の剣は、ブヒゾウの悪意の体に影響を及ぼさないよう、柄は鉄製で、刃の部分だけに善意が閉じこめられている。


「よせ、ブヒゾウ! 無闇に出るな!」

ヨキは叫んだ。


善意の力を体に帯びていない者は、悪意の姿だろうと、善意の姿だろうと、魔法の影響を受ける。


「ブヒゾウ! 魔法石を捨てるべ!」


ブヒタロウが叫んだ束の間、ブヒゾウの体から血しぶきが飛んだ。


「ブヒゾウ!」


ブヒゾウは血を吐いた。


体に禍々(まがまが)しい大剣が突き刺さっている。


突如、降ってくる魔法の大剣。かつてビョウブを突き刺し、ドラゴン族のブルースの命を奪ったあの大剣が三度(みたび)襲い、ブヒゾウの体を貫いていた。


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