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亜人の群れは黒い法衣を翻し、ヨキ達を取り囲んだ。
「これは……本物の亜人か?」
ヨキのその疑問に答えるように、亜人は間髪を入れず魔法を放ってきた。炎や氷が降り注ぐ。
「ひぃぃ!」
チャガマとタンタンは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
ヨキは皆の前に立ちはだかり、その魔法を受け止めた。
「本物の亜人だ!」
魔法を放てるということは亜人である証拠である。
息をつく暇もないほどの魔法が飛んできた。
魔法に関してはすべて無効化出来るため損傷はないが、こちらから応戦が出来ない。
ビョウブが隙をついて善意の魔法を亜人に向けて放った。しかし亜人は結界を作り、善意魔法を受け止めた。結界は善意によってすぐに壊されたが、他の者がまた張り直している。
「ちっ、なんなの! 消耗戦でも狙ってるのかしら?」
壊されては結界を張り直し、攻撃魔法を繰り出してくる。
ヨキ達は防戦一方で攻撃に耐えていた。
「みんな耐えろ! 魔法は生命エネルギーだ。相手も放ち続ければそのうち出せなくなる」
けれど大群が次々に放ってくる魔法は、一向に止む気配がない。互いに間隔を空けて放つことで持続性を保っているようだ。
業を煮やしたブヒゾウが魔法石を取り出し、悪意の姿に変わった。
「オイラが蹴散らしてきます!」
善意の剣を構え、ブヒゾウが飛び出した。
ブヒゾウの善意の剣は、ブヒゾウの悪意の体に影響を及ぼさないよう、柄は鉄製で、刃の部分だけに善意が閉じこめられている。
「よせ、ブヒゾウ! 無闇に出るな!」
ヨキは叫んだ。
善意の力を体に帯びていない者は、悪意の姿だろうと、善意の姿だろうと、魔法の影響を受ける。
「ブヒゾウ! 魔法石を捨てるべ!」
ブヒタロウが叫んだ束の間、ブヒゾウの体から血しぶきが飛んだ。
「ブヒゾウ!」
ブヒゾウは血を吐いた。
体に禍々しい大剣が突き刺さっている。
突如、降ってくる魔法の大剣。かつてビョウブを突き刺し、ドラゴン族のブルースの命を奪ったあの大剣が三度襲い、ブヒゾウの体を貫いていた。




