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自らの国を死守していたヨキ軍の戦士たちは、ひっきりなしに攻め込むアルージ国の猛撃に追われた。
しかしさすがは善意の剣と言ったところで、触れれば相手が倒れる力は絶大だった。
剣を振るう者が剣士であれば尚更、流れるような殺陣捌きで自らの勢いを緩めずに相手を倒してゆく。
ドラゴン族たちは既に亜人の猛進を食い止め終わっていた。
「なんと圧倒的な剣の能力。これならば魔法を使う亜人にも負ける要素がない」
フジナミは剣を眺め、その光沢を瞳に映した。
「加えてイデヨ様の御加護もある。磐石とはこのことか」
フジナミは地面を埋め尽くすほどに倒れた亜人に目をやった。
「それにしても……これはいったい……」
サントーリオはトリ族と共に倒れた亜人を介抱していた。
空を飛ぶ有利性を活かし、こちらも戦闘は今しがた終えた。
ブヒノスケ達にとっては慣れない戦いであったが、トリ族たちの戦いぶりの見よう見まねで懸命に応戦した。
何よりブヒゾウ、ブヒタロウの名を聞いてから、自分達も負けていられないと奮起したのであった。
戦いを終え、サントーリオは嘴で毛繕いを始めた。
「我々も強くなったものだ」
サントーリオはしみじみと呟いた。
「まぁ、ほぼ善意の剣の力ですけど」と兵が遠慮なく諌める。
「そんな言い方だと私が無能みたいじゃないか。しかしまぁ、これは……」
サントーリオは倒れている者を眺めた。
「驚き過ぎて羽根がごっそり抜けちゃったぞ」
兵が軽く突っ込んだ。
「いえ、単なる生え変わりの時期です」
ネコ族ノモンは太い腕をくるくると回した。
「なんでぇ、骨のない奴らだ」
こちらもようやく戦いは終えたようだ。他の国より応戦の人数が少なかったが、悪意トラのノモンの怪力と、ミャーサ率いるネコ族の素早さは亜人を圧倒した。
襲撃した亜人をノモンは肩に担いで運んでゆく。
「しっかし、なんだこりゃ。亜人の中にタヌキ族とキツネ族が紛れてやがるな」
「なんか、ごちゃまぜだミャ。というか、タヌキとキツネのほうが多いミャ」
「おまけに亜人の魔法使いもいやしねぇ。しかも子供が多いな」
「こちらの兵力を削ってから、本番の襲撃をする気かミャ」
ノモンは鼻を親指で弾いた。
「へん、小細工しやがって。いつでも第二陣、三陣と襲ってきやがれ」




