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町を通り抜け、その先へと続く大通りの先にひときわ大きな建物が見える。
「あれが宮殿か?」
ヨキが尋ねると、ビョウブは頷いた。
「そうよ」
巨大な敷地の中央に高く聳える絢爛豪華な建物、白い壁に黄金が鏤められ、両端に尖塔が繋がっている。
ヨキ達は茂みに隠れて様子を窺った。
周囲は見回りの者が数多く見受けられ、厳重な警備が敷かれている。
「さて、どうするか」
そう呟いたものの、取るべき行動は皆も分かっていた。
「正面突破しかないわね」
「突き進むのみでしょう」
「ここまで来たら前進あるのみ」
ヨキは皆のその言葉に背中を押された。
「よし、行こう!」
ヨキ達は茂みから飛び出し、宮殿の表門へと駆け出した。
ヨキ達には恐れるものはなかった。
法衣を纏った軍団に出会おうとも、剣を携えた兵士がいようとも、やるべきことは変わらない。
彼らに善意の力を当てるだけである。
並みいる者達を勢い緩めず、一直線にばたばたと倒してゆく。
想像通り、その者達は魔法使いだろうと兵士だろうと、正体はタヌキ・キツネ族であった。
「宮殿付近も亜人がいないとは」
「まさか全員侵攻に参加しているのか?」
宮殿内へヨキ達は一気に進んでいった。迷路のように入り組んでいるが、ビョウブが先導することで迷わずに進んでいける。
王直属の兵たちが重厚な鎧を身に付け、サーベルを手に待ち構えていた。その者達をヨキ達は善意で薙ぎ倒した。
その兵達は倒れ、元の姿に戻った。
「亜人だ!」
この国に来て、ようやく本物の亜人に出会った。それが一行にはなぜだがホッとする嬉しさがあった。
「さすがに宮殿内は亜人のようだな」
本物の亜人であろうとなかろうと、ヨキ達を止めることは出来ない。建物内なら特にまとめて魔法が当てやすく、亜人兵はヨキ達に指一本触れることすら出来ない。
そして遂に宮殿の奥、真紅の絨毯が伸びた先の重々しい扉へと辿り着いた。
ビョウブはヨキに向かって黙って頷いた。
ヨキを先頭にその厚い扉を開ける。
扉は音もなく開いた。
円形に広がる空間の奥手には弧を描いた壇が幾重にも連なり、その高い頂に玉座が祀られている。
そこにどっしりと鎮座している者は、肘掛けに両手をだらりと乗せ、まるで来るのを予期していたかのようにヨキ達を見下ろしていた。
「レイチョウ……」
ビョウブが静かに呟いた。




