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ドラゴン族の国、ディーカイト・カゲ国ではフジナミの指揮のもと、善意の剣を身構えた兵達が国境を囲み、亜人の襲来を迎えた。
「なぜトーリュ・フホル国から亜人が来るかは知らないが、そんなことは取るに足らぬこと」
フジナミは兵達へ善意の剣を掲げた。
「我々はイデヨ様の遺志を継いでいる。イデヨ様が常に心に寄り添っている。恐れることは何もない!」
フジナミは叫んだ。
「気高き竜の血を引く者共よ、行くぞ!」
兵達は勝鬨をあげた。
「おお!!」
「みんなご無事で何よりです」
トリ族の国、トンディーク国のサントーリオはそう微笑んだ。
「まさか南の山脈から亜人の群れが来るとは思わんかった。ここへ逃げるのが精一杯で」
ブタ族の村の長ブヒノスケはおどけて笑った。
ブタ族は村を離れ、都へ逃げてきていた。
「いやいや、賢明な判断ですよ」
サントーリオはそう言って善意の剣をブヒノスケと村の者へ手渡した。
「これはヨキ様の力を込めた剣です。これで触れれば相手の悪意は取り除けるでしょう」
ブヒノスケは受け取りながら、まじまじと眺めながら感心した。
「へぇ、こんなもんが作られてるなんてすげぇな」
「あなた方もブヒゾウさんやブヒタロウさんのように素晴らしい活躍が出来るでしょう」
ブヒノスケは2人の名を聞いて、旅立った姿を思い出し、少しばかり涙ぐんだ。
「そっか……、あいつら頑張ってるんだな……」
洟をすすったあと、胸を張って力強く叩いた。
「よし、任せとけ! オレ達も戦うぞ!」
村の者達も士気をあげた。
「おー!」
ネコ族の国、ミャーザ・ワッケンジー国ではノモンが先頭にて息巻いている。
「へん、バッカス国から亜人の襲来たぁ、おもしれぇ」
指の骨をバキバキと鳴らしながら笑った。
「誰だろうと構いやしねぇ。ヨキやビョウブがオレたちを信じてこの国の防衛を託したんだ。蹴散らすまでよ」
ノモンは振り返った。
「よし、お前ら、やってやるぞ! …………って、少なくねぇか?」
ミャーサは欠伸をしながら答えた。
「みんな眠いから帰ったミャ」
ノモンはガックリと肩を落とした。
「ホント、気まぐれな奴らだ……」
けれどノモンは太い腕に力を込め、隆々とした筋肉を膨れ上がらせた。
「多かろうが少なかろうがやるこたぁ一緒だ。オレが1,000人でも2,000人でも薙ぎ倒してやるぜ!」
「今日のノモンはカッコいいミャ」とミャーサは目を輝かせた。
ノモンは鼻の下を伸ばした。
「え、そうか? 終わったらうち来るか? いいネコジャラシが手に入ったんだ」




