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ホイホイの突然の報告に一同に緊張感が走った。しかしながら、想定はしていなかったわけではない。だからこそ、少数でここへ来たわけだし、各国は防衛を厚くしている。
亜人ならば魔法を連発してくるだろうが、善意の力を駆使すればすべて無効化できる。腕力ではドラゴン族やネコ族のほうが勝る。
「大丈夫でげすかね?」
心配だが、これは仲間を信じるしかない。
ヨキは信念を貫いた。
「ビョウブ、亜人の王はどこにいる?」
手っ取り早いのは、亜人の王から悪意を取り除くことだ。そうすれば亜人全体の悪意も消失する。すべきことは、帰って加勢することより亜人の王を探すことにあるとヨキは判断した。
「レイチョウは普段、北の宮殿に住んでるわ」
ビョウブはヨキの心情を察して答えた。
「今回の亜人侵攻に参加してると思うか?」
ビョウブは首を振った。
「まずしないわね。前線で戦うようなタイプじゃないもの」
ヨキの隣にいたカナはビョウブに尋ねた。
「亜人の王って……、最初の悪意の人?」
ビョウブは縦にも横にも首を振らなかった。
「あくまで推測でしかないわ。けれどおそらくそうだと思っているわ。このゲームの主催者でもあるし」
「つまり一番の親玉ってことでげすか?」
ブヒタロウも興味津々に尋ねた。
それに対してはビョウブは首肯した。
「このゲームに関しては、まさしくそうよ」
今まで漠然としていた黒幕が、皆の頭に形となって現れた時、一同の胸に決意が漲ってきた。
「その者を倒せば終わるんですか?」
ブヒゾウは尋ねた。
昂る皆の士気を下げたくはないが、ヨキは冷静に答えた。
「それはやってみないと分からない。この世界の全員が元に戻ることはないだろう。
けれど、悪意を振り撒く元凶は消える。我々が目指す、全員解放を成し遂げるために最も重要な人物であることは間違いない」
ブヒタロウは拳に力を込めた。
「ならば行くでがす!」
ヨキは頷いた。
「そうだな」
ヨキは北を指差した。
「行くぞ、宮殿へ!」




