8
「どういうことだ!? この国は亜人の国じゃないのか!?」
ヨキは思いがけぬ展開に困惑した。
その問いにビョウブもケージも答えられなかった。
「何か入り組んだことが起きてそうね」
ビョウブは腕を組み、指を忙しなく動かした。
「一度、タヌキ族に話を聞いてみるべきね」
悪意が取れて気を失っていたタヌキ族の目覚めを待った。
善意を取り戻したタヌキ族のひとりは円らな瞳をヨキ達へ向けた。
「お、おっと!? あっしを治したのは旦那ですかい?」
そのタヌキ族はチャガマと名乗った。
ヨキは彼に尋ねた。
「君達はなぜ亜人に化けているんだ?」
チャガマは両手を広げて素っ頓狂な声を発した。
「そりゃないですよ。あなたたち亜人がそうしろと仰ったんじゃないですか」
「亜人が? なぜ?」
「そんなことはあっしには窺い知らぬ案件です」
「亜人が何かを企んでいるのか……?」
ヨキは考えを巡らせた。
「君達の大将はどうした? この国にいるのか?」
「クタニのことですか? それもまた窺い知らぬことですな」
「大将のことなのに?」
「大将だろうとなかろうと、知らないものは知らないですな。ずっと見掛けないですから」
「ずっと?」
「同じタヌキ族だとしても、変化したら見分けがつかないもんでして。未熟者だったら尻尾を出してすぐにバレますが、大抵は、特に大将ともなると完全に紛れてしまって、そうなるともうお手上げです」
その時、ヨキ達の頭に声が響いた。
「ヨキくん、聞こえるかい?」
それはホイホイの発信した声であった。カナやビョウブ達もその声は響き、耳を傾けて聞いていた。
「大変だ! バッカス国の亜人が攻めてきた」
「なに!?」
「ディーカイト・カゲ国に大量の亜人が侵攻中!」
「亜人なんてここへ来る道中出会わなかったぞ?」
ホイホイの声は一方通行であるが、それでもヨキは叫ばずにいられなかった。
ホイホイの声は尚も続く。
「しかもトンディーク国、ミャーザ・ワッケンジー国にも亜人が攻めてきている模様! ボ、ボクたん達を完全に潰しに来てるよ!」




