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フジナミの望みに添い、イデヨの骨を善意の剣に加工していった。体の部分の骨を用い、頭蓋骨はそのまま母国の冬眠施設に祀ってある。
イデヨの骨はフジナミの言う通り加工に適していて、善意の剣を作ることにおいて非常に長けていた。
生産性も高く、350本もの剣を作成することができた。
イデヨがクジラより7倍大きいということではなく、7倍生産効率が良いということである。
それらはドラゴン族へ配られ、彼らはイデヨの遺志を身に付け、大きな士気を纏った。
それでも善意の剣は足りない。これだけ仲間が増えると全員に持たせることは到底不可能であり、持たぬ者は国の復興や作物を育てる役目にまわる。
国土は焼け野原と化したが、逆にこれを利用してマメやイモ、モロコシなどを育てるという焼き畑農業的栽培を推進した。
この知識を提供したのはホイホイである。
ドラゴン族との争いで死線に触れることになった彼は、戦いへの恐怖から前線を退き、この国の再興に力を注ぐことを望んだ。
戦略家としても優れていたが、国の復興を手助けするために知識を活かすほうが彼には合っているようだ。
そしてこれからの戦いは侵略以上に防衛が大事になってくる。解放した4つの国を再び悪意に染めさせるわけにはいかないためであった。
前回はドラゴン族とムシ族の紛争を止めるべく合戦のようになだれ込む形をとったが、亜人の国アルージには、少数で向かうほうがいいだろう。
ネコ族大将ノモンはネコ族の国を、サントーリオ達はトリ族の国を、フジナミはドラゴン族の国を守る。
ヨキ、カナ、ビョウブ、ケージ、ブヒゾウにブヒタロウ。結果的に6人がバッカス国へと向かうことになった。
国境付近まではトリ族やドラゴン族に乗せていってもらい、そこからは慎重に歩いてバッカス国を目指す。
「何だか初期メンバーって感じね」と軽い足取りのカナ。
「まぁ、少人数のほうが動きやすいさ」とヨキが笑う。
「何かあったらホイホイに伝言を飛ばすよう言っておいたわ」と扇子をあおぐビョウブ。
「何かぁ、ホイホイ、フジナミにビクビクしてたよぉ」と眠るイワンニコフを抱えるケージ。
「まぁ、ホイホイには引け目もあるし、痛い思いをしたからな」
ヨキは苦笑いを浮かべた。
「アルージ国には魔法石がたくさんあるはずよ」
ビョウブは道を先導しながらヨキにそう告げた。
「それは助かる。もう加工する骨も尽きてきているし」
ペンダントの加工技術は未だに軌道に乗っていない。精密な作業が非常に難しくその技術を持つ者がいない。手先の器用な亜人が仲間に増えれば、そういった技術を持った職人に出会えるかもしれない。
「魔法石の産地はキツネ・タヌキ族のバッカス国だけれど、亜人が独占してるからね。
まぁ、魔法石なんて魔法が使えなきゃただの砂利だから、亜人しか欲しがらないけど」
ブヒゾウとブヒタロウは4人の亜人の後ろを歩いていた。
「亜人の国って、4人の故郷ってことだべ?」
「だろうけど、ヨキ様はどうだろうか。明らかに異質な気がするが」
「確かに他の亜人とは違うべ」
「特別な存在であることは間違いないな」
「悪意を取り除いちまうんだもん。すごいべなぁ」
「もちろんカナ殿も特別な存在だ。もう立派な魔法使いになられたしな。努力も人一倍している」
「分かったべ、分かったべ。ブヒゾウはカナ様のこととなるとすぐにムキになるべな」
「うるさい!」




