後説
ドラゴン族と共に地域の復興に努めているビョウブのもとへネコ族大将ノモンが訪れた。
「こっちもだいぶ進んだな」
焼け野原となった町も少しずつ形を成し、再興は思ったより早く終わりそうだ。
「作物はだいぶ炎でやられちゃったけど、建物はひと通り竣工しそうよ」
ドラゴン族は山や湖などの自然に棲むことがほとんどだが、寒さに苦手なため、冬籠もり用の施設が必要だった。
それらはこれからの寒さに備え、急ピッチで建て終えたようである。
ノモンは町の中央に聳える石の塔に気付いた。
「あれは?」
ビョウブは設計図を丸めながら答えた。
「ああ、長と軍部長の石碑よ」
ドラゴン族は戦いによって心の支柱を2つ失った。その想いと彼らの功績を讃えた象徴が町の中央に建てられていた。
そして皇帝レニビーを含めムシ族の戦没者のための慰霊碑もムシ族の祖国に建てた。
「あなたも随分と無茶な戦いをしたようね」
ビョウブはノモンに顔を向けた。ノモンはバツが悪そうに額を掻いた。
「聞いたのか」
「ええ。あなたの生き様はあなたの勝手だけど、あなたもまたネコ族の象徴であることは忘れないでちょうだい」
「へん、だからこそ生き様を見せつけたんだよ」
「格好良い死に様より、死んだ悲しみのほうが上回るのよ、残された者の心には」
「なんだ、説教かよ」
「生き様を全うしたところで種族が全滅したら、語り継ぐ者は誰もいないってことよ」
ビョウブはノモンへと鋭い視線を送った。
「種族を何がなんでも生かすってことも、大将の立派な生き様よ」
ノモンはすべてを納得したわけではないが、「分かったよ……」と渋々ビョウブの言葉を受け止めた。
「ところでよ……」とノモンは話を足した。
「向こうの軍部長が死んだ時、でっけぇ剣が突然現れて突き刺さったんだ」
ビョウブは目を見開いた。
「お前の時も飛んできたよな?」
ビョウブはあの時の痛みも思い出し、少し身震えた。
「そうね、さすがに終わったと思ったわ」
「あれ、なんだ?」
ビョウブは神妙な顔をした。
「あれは……魔法よ」
「魔法?」
「遠距離からでも一撃で相手を仕留めることのできる最強魔法」
「魔法なのか。あんなことも出来るのか。ったく、とんでもねぇな」
「けれどあの魔法を使える人物なんてそうそういないわよ」
「そうなのか」
「わたしも噂では聞いてたけど、本当にあると知ったのは、自分が食らった時よ」
「幻の技か」
「そうね、まさしく。使えるとしたら2人思い当たるわ。ひとりはあり得ないと思うから、あともうひとり」
「誰だ、そりゃ?」
ビョウブは南側を遠く眺めて呟いた。
「亜人の王、レイチョウよ」
(第4章 後説 完)
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