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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第4章 ディーカイト・カゲ国編
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35


血だらけのノモンは踏ん張っていたが、とうとう地に膝をついた。


相対するブルースは、大剣を(しな)らせるように振り回し、そしてノモンを威嚇(いかく)するように喉元へ突き付けた。


「分かったか、トラよ。つまらぬ矜持(きょうじ)などではこの世は動かぬということを」


ノモンは呼吸すら痛そうに口を歪め、答える気力も残っていなかった。


「貴様に必要なのは意地ではない。敗北を認めるという意気地(いくじ)だ」


ノモンは荒い息遣いを繰り返しながら、ブルースの言葉を受け入れようとせずにまんじりと(にら)んでいた。


ブルースは細くため息をついた。


「やれやれ。ここまで愚かだとは。死して生き様を突き通そうとしたところで、それもただの死だ」


ブルースは大剣を握る手に力を込めた。


「オレに屈した死を、死んだ後も後悔するがいい」


ブルースの剣先の冷たさを喉に感じてノモンは目を閉じた。





ズバーーン!!





その激しい音が自分の首から発したと思い、ノモンはじっと身を固めていた。

けれど意識が遠のかず、首からの痛みもない事実がノモンの目を開けさせた。


ノモンは目を見開いた。


目の前のブルースの体に巨大な剣が突き刺さっている。剣はブルースの背中を貫通し、地面に突き刺さっている。


ノモンは茫然(ぼうぜん)とその不可思議な剣をしばらく見ていた。


そしてそれはどこかで見た光景であると思い出した。

ヨキ達と戦っている際にビョウブに突き刺さったあの剣と同じだ。


どこからともなく飛んできて、圧倒的な殺傷能力で一撃で仕留める。


いったいどこから……?


ノモンは辺りを揺らぐ視界で見回した。けれど探索する余力も残っておらず、ノモンはその場に仰向けに倒れた。




ブルースは既に息絶えていた。


兵士たちが救おうとしたが、回復魔法の使えないドラゴン族にはなす(すべ)がなかったのである。


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