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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第4章 ディーカイト・カゲ国編
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33


その頃、東側のヨキ軍もまた待ち構えるドラゴン族の群れに遭遇していた。

その先頭で額に傷を持つドラゴンが激しい威圧を解き放ち、ヨキ軍の足を止めた。


「フジナミ副長!」


たったひとりそこに立つだけで、ドラゴン族の流れを止めるとは、それだけで大人物だと分かる。


「あのムシ族どもはお前たちの差し金か」


ヨキ軍のドラゴン族はフジナミに首を振った。


「我々は関係ありません」


「お前ら、イデヨ様に何の恨みがあった!」


「ですから我々は……」


フジナミは冷ややかな笑みを口元に浮かべた。


「あいつらはひとり残らず焼き尽くしてやったわ!」


ヨキはその言葉に悲痛な面持ちで目を閉じた。


「遅かったか……」


顔を歪めた時、同じように苦悶しているホイホイが前へ進み出た。

その姿にフジナミが気付いた。


「おやおや、ホイホイ様もご一緒でしたか」


ホイホイはフジナミに相対し、決意を瞳に浮かばせた。


「フジナミ……、これはボクたんの招いたことだ。ボクたんがムシ族を裏切ったせいでこんなことに……。申し訳ない……」


フジナミはカラカラと笑った。


「何をおっしゃる。ムシ族どもを壊滅させてくれたではないですか」


「それがこんな復讐の連鎖を生んでしまった……」


フジナミは笑いを止めた。


「復讐? これはゲームなのでしょ、亜人が始めた」


「い、いや、そうだけど……」


「今さら正義ぶって介入するつもりですか?」


「そ、そんなつもりは」


フジナミは座った目でホイホイを(にら)んだ。


「坂を転がる岩に止まれと言っても無駄でしょう。あなたが転がしたくせに」


フジナミは目を見開いた。


「我々は……もう止まらないんですよ」


その時、後方に待機していたブヒタロウが叫んだ。


()けるでがす!」


その声を理解する前に、ホイホイの体から血飛沫(しぶき)が舞った。


カメレオン型のドラゴン族が二名、姿を現し、ホイホイの体を鋭い鉤爪(かぎづめ)で突き刺していた。


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