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その頃、東側のヨキ軍もまた待ち構えるドラゴン族の群れに遭遇していた。
その先頭で額に傷を持つドラゴンが激しい威圧を解き放ち、ヨキ軍の足を止めた。
「フジナミ副長!」
たったひとりそこに立つだけで、ドラゴン族の流れを止めるとは、それだけで大人物だと分かる。
「あのムシ族どもはお前たちの差し金か」
ヨキ軍のドラゴン族はフジナミに首を振った。
「我々は関係ありません」
「お前ら、イデヨ様に何の恨みがあった!」
「ですから我々は……」
フジナミは冷ややかな笑みを口元に浮かべた。
「あいつらはひとり残らず焼き尽くしてやったわ!」
ヨキはその言葉に悲痛な面持ちで目を閉じた。
「遅かったか……」
顔を歪めた時、同じように苦悶しているホイホイが前へ進み出た。
その姿にフジナミが気付いた。
「おやおや、ホイホイ様もご一緒でしたか」
ホイホイはフジナミに相対し、決意を瞳に浮かばせた。
「フジナミ……、これはボクたんの招いたことだ。ボクたんがムシ族を裏切ったせいでこんなことに……。申し訳ない……」
フジナミはカラカラと笑った。
「何をおっしゃる。ムシ族どもを壊滅させてくれたではないですか」
「それがこんな復讐の連鎖を生んでしまった……」
フジナミは笑いを止めた。
「復讐? これはゲームなのでしょ、亜人が始めた」
「い、いや、そうだけど……」
「今さら正義ぶって介入するつもりですか?」
「そ、そんなつもりは」
フジナミは座った目でホイホイを睨んだ。
「坂を転がる岩に止まれと言っても無駄でしょう。あなたが転がしたくせに」
フジナミは目を見開いた。
「我々は……もう止まらないんですよ」
その時、後方に待機していたブヒタロウが叫んだ。
「避けるでがす!」
その声を理解する前に、ホイホイの体から血飛沫が舞った。
カメレオン型のドラゴン族が二名、姿を現し、ホイホイの体を鋭い鉤爪で突き刺していた。




